表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/62

第三十八話 チワワですわ!


「ちょっ、あはっ、はははっ、くす、くすぐったいよぉぉ」


 クンクンクンクン。うっ……こ、これは、

 あぁ、青春の匂いだ。そうだ、青春。青くもほろ苦い、決して甘くはない。……夏の青春ッ‼︎


 ──意識が、遠のく。何処かへ消えてしまいそうだ。



 しかしチラッと顔を上げればヒメナちゃんの……絶景が‼︎ 黒とピンク‼︎


 刈り取られそうだった意識が一瞬で舞い戻る。刹那の時間‼︎


 シュタッ‼︎ ハッ‼︎


 わんわんモぉぉぉード‼︎


 クンクンクンクン。うっ……意識が……。チラッ


 わんわんモード‼︎


 クンクンクンクン。うっ……意識が……。チラッ



 わんわんモードの強制発動と強制終了。

 

 思わぬ発見。なんという収穫!!

 幸か不幸かわんわんモードの制御に成功した。


 この感覚、忘れるてたまるか!!


 クンクンクンクンクンクンクンッ! はぁぁぁぁ。

 クンクンクンクンクンクンクンッ! はぁぁぁぁ。



 ◇


「あっ、んんっ。も、もうダメッ……くすぐったくてやばいっ。あ、アヤノちゃん、じゃ、ジャッジは?!」



 クンクンクンクン。はぁはぁ。はぁはぁはぁ。



()きたて……焙煎(ばいせん)……香ばしい‼︎」


「……? ひきたて?!」


「癖になるやつ‼︎」

「あっ、コーヒーの事かな?」

「多分そんなとこっ」



 少し言葉を(にご)らせた。

 俺はこの戦いを止めるんだ‼︎



 ヒメナちゃんはすごい嬉しそうに、俺の後ろに居るであろうエリリンにドヤ顔を向けた。



「はぁ。上がっていいわよ」

「やったねっ!!」



 良かった良かった。丸く収まった……。

 力ある者が争いを止める。成し遂げたんだっ!


 ◇


「気使わせちゃってごめんね。でも、ありがとう」


 背後からの耳打ちっ。エリリンの声。

 ゆっくり振り向くと頭を撫でられた。


 その顔は優しくもどこか安堵しているように見えた。



 ──今の彼女はチワワ。魔力は殆ど残っていない。

 キャンキャン吠える事は出来ても戦えないんだ。


 ◇



 ガチャン。


「ねぇ! 先にお風呂もらっていい? 汗でベトベトするぅ。流したーい」

「はぁ? 泊まってく気?!」


「もちろん。さすがに今日は帰れないよ」



 ほんの少しマジ顔になるヒメナちゃん。意味深。緊迫。


 ……………………。


「まー、今日が終わればどーせレオの事だから、任務完了って虚偽報告するでしょ。それでこの件は終わりっ」


「絶対するね。平気な顔して嘘つくからねぇ」



 「「あははっ」」



 ちょっぴり緊迫した空気が流れるも一瞬で和んだ。


 ネタか? いやガチっぽい。笑い事ではないだろ‼︎

 最低な男だ……。あのイケメン勇者。笑い話に出来るほど、嘘をついてるって事かよ。許すまじ。


 でも、嘘をつく事に抵抗の無い最低男だからこそ、生存ルートに辿り着けるのか。感慨深い……。




 ◇◆◇◆◇◆




 ──で、どうして俺は今……下着姿のヒメナちゃんに脱衣所で壁ドンされてるんだ?



 手に持ってるそれは……。


 まさか……嘘だろ……?! 嘘だと言ってくれ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンクはここ→◆◆◆◆◆◆ ツンデレ聖女の幼馴染は『ラッキースケべ』が大嫌い☆ ◆◆◆◆◆◆
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ