第三十六話 サンドウィッチですわ!
カチャ、カチャカチャ。カチャーン。
「んっっ、っと。はい脱げたっ。完了っ!」
プルンッと大きく揺れて登場したのは、二つの膨よかなお山。
鎧の下はまさかのブラトップのみ。圧倒的クビレがお山の破壊力を際立たせる。
でかっ!! やっぱりヒメナちゃんは大っきかったんだ。
目が釘付けに……じゅるり。
「完了じゃないでしょー? その重そうな鎧のブーツも脱いで。どうせ脚バタバタさせるんだから、重心がズレる」
「いや、これは多分……うん。絶対やばいよ。これだけは……今、脱いじゃダメっぽい……かな?」
適当人間のヒメナちゃんが急に真顔になった。疑問系を投げかけるように言ってはいるが、何かを確信している。
「……あーね。なるなるぅ。まっ、そういう事なら仕方ないかー」
「はぁぁ、良かったよぉエリリンで! レオとかカシスだったら絶対に通じてないよ」
「そりゃあ……ね?」
「「あははっ」」
ブーツの中に魔物でも飼っているのか?
──二人の会話の意味がまったくわからなかった。
◇
「で、その脱いだ鎧をどうして大切そうに持ってるのよ。バカなの?!」
「えー、脱げば良いって言ったじゃん!!」
「脱いでも手に持ってたら重量は変わらないでしょ? バカ!!」
「なるほど。エリリンの言う事は一理あるかも」
大切な鎧なのか、ふかふかベッドの上に優しく置き「いい子にしててね」と切なそうに撫でた。
「あーー、もーーう。そんなに大切なら歩いて帰ればいいでしょ!」
「それは無理。歩くのめんどくさい。絶対無理っ!!」
この様子だとヒメナちゃんを家まで送って行く流れ。
第三王女。住まいは王都。ま、まさかね。でもさ、帰るって何処へ行くんだろう。
──不安……。
◇
「よーし! しゅっぱーーつ! ごーごー!!」
「いや、だから脚揺らすの禁止! アヤノちゃんが居る事忘れないでよ?」
「んー? 大丈夫だよねぇ?」むぎゅっ。
不安など一瞬で吹き飛ばすとんでもない事態になった!
背中をほと走るこの感触。むぎゅっと押し当てられるはヒメナちゃんのお山。
ピタッとムギュッとギュウッと後ろから抱きつかれて居るっ!!
正面にはエリリンの背中。ツインテールのテールの部分が鼻をなびく。
通常の人生では恐らく体験出来ないであろう。
箒に跨り三人乗り。三ケツの極!!
〝サンドウィッチ〟
夕日も落ち、夜が見え隠れする時間。
ひんやり冷たい風をも吹き飛ばす、超ぽっかぽか状態!!
「わんわーん‼︎」
「なにそれ可愛いーー! ごーごー! わんわーん!」
空中デートの時は卑猥な事よりも楽しさ嬉しさが勝っていたけど、今は違う。
やましい事で頭いっぱい夢いっぱいだ!!
「わんわーん‼︎」
「ごーごー‼︎」
「わんわーん‼︎」
「ごーごー‼︎」
「あーもう、まじうるさい。さっさと帰って一緒にお風呂入ろうね! アヤノちゃん!」
えっ?! ど、どこに帰るって言うんだよーー!! お風呂?!!
「ワオーーン‼︎」
びゅいーーーーん!!
──幸せいっぱい夢いっぱいの三ケツ空の旅が始まった。
どうやら、目的地はお風呂があるところのようだ!!




