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第二十八話 ちゅんですわんわん

今後は暫くあやのちゃん視点です。


 チュンチュン。チュンチュンチュンチュン。

 ミーンミンミンミンミンミーン。


 我が家の小さな庭に音楽団が舞い降りる。


 小鳥のさえずりとセミの鳴き声。

 絶妙なセッションを奏で朝を知らせる。


 ふぁぁぁ。



 結局、月曜日の深夜0時には何も無かった。いつも通りに起きて8日目を迎える。


 ーー起きたくない。もう嫌だ。


 フィギュアは売れないし部屋から出れない。

 可愛い女の子になったのに、この世界は残酷だ。

 生粋の引きニートだという現実をただただ突きつける。


 どうしょうもない残酷な現実。


 だから二度寝をする。起きても厳しい現実が待っているだけなのだから。


 ◇


 すぅーはぁーすぅーはぁー。

 むにゃむにゃ。むぎゅー。


 柔らかい。むにゃむにゃ。


「んんっ。んふぅっ」

 

 クンクン。クンクンクンクン。……女子高生の匂い。んなわけ。


 クンクンクン。


「んっ。んん」

 

 この抱き枕、動くぞ? んっんっと声まで放つ。

 温かい。いや、、蒸し返すように暑いッ!!


 スリスリ、むにゅっ。この湿った肌の感触、どう考えても抱き枕じゃない。それ以前の問題だ。これは人間‼︎


 〝ハッ!〟


 目を開くと黒い髪の毛が視界に入る。

 制服姿の小柄な女の子。


「んっ……」


 寝苦しくて、んっんっ言ってたのかな。



 チュンチュンチュンチュンチュンチュン。


 小鳥のさえずりが……妙なリアリティを演出する。



 ドクンドクン。どういう状況? 

 ドクンドクンドクンドクンドクンドクン。


 鼓動のエンジンが……最高潮に。

 この感覚。わんわんモードが始まるとでも言うのか。



「んんーっ。……あれぇ、起きたんだ。おはよぉ」


 静かに起き上がり目をゴシゴシ。天使だ。


「…………っ」


 か、可愛い。黒髪ショート。パチクリおめめ。

 クンクンクン。なるほど、女子高生の匂い。納得だ。リアルJKじゃないか! ろ、ろりじぇーけー!!



 あれ、この子と抱き合って寝てたの?


 ドクンドクンドクンドクン。

 ドクンドクンドクンドクンドクンドクン‼︎



 いや、まて。まてまて。

 誰?! この子、誰?!


「わんわん? わんわんわおーん?」


 あれ、言葉が……。そんな馬鹿な?!


「わんわん‼︎ わんわんわんわんわんわん‼︎」


「どしたのあやのちゃん? 寝ぼけちゃったぁ?」


 首を傾げ不思議そうに名前を呼ぶロリJK。


 でもこの声、どこかで……。この匂いもどこかで……。へあごむ!


 ち、チロルちゃん? だとすると……じぇじぇじぇーしー!!



「ワオーーーーン‼︎」


 だめだ。わんわんモードが邪魔をする。

 聞きたい事、たくさんあるのに。



「あぁ……そっか。そういう事だったんだね。喋れなくなっちゃったから……そっかそっか。この一週間大変だったね。ごめんね気付いてあげられなくて」


 何故か抱きしめられ頭をヨシヨシされる。

 この一週間? たった今、喋れなくなっただけなんだけど……。



 ーーでも落ち着くなぁ。このままでいいか。



 チュンチュン、チュンチュンチュンチュン。

次話、女子力アップでガールズトーク。決戦に備え本格始動いたします!

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