第二十四話 デスワのデスワ?!
今回はあやの視点です。
ハッ!! 七回目……。ウィッグがないと先には進めないってのに、チロルちゃんは何もわかってない‼︎
……………………。
あっ、ログボログボ。今日は接続障害の詫び石貰えるんだよなぁ。はいゴチ〜!
ポチポチポチポチポチポチ。
ーーはぁ。純粋に昨日寝て今起きただけ。
うん。そっか。あれは全部、夢だったのか。
アニメの見過ぎ、ゲームのし過ぎだわコレ。
俺の頭ファンタジーかよ。
とうとう脳みそおかしくなっちまっ……た。
この部屋のパソコンやらフィギュア、カードゲームを売って100万円。正気の沙汰じゃねえ。死よりも恐ろしい。これ無くなったら死んじゃうから!!
夢って恐ろしい。あー、こわっ。
…………腹減った。喉乾いた。体も重いし、なんだか怠い。ーー冷蔵庫。
バタンッ。
テクテクトントントントントントン。
◇
し、しまったぁ……まだ親父仕事行ってなかったのかぁ。
玄関で鉢合わせになっちまった。
変な夢のせいで、家庭内リスクマネジメントを怠った結果とでも言うのか……クッ。
背広にオールバック。少し白髪増えたか? 家出る1分前ってとこだな。はぁ。あと、1分遅ければ。
「おはよう」
「あっ、お、お、おはようございます」
ズドンッ。あれ? 尻餅着いちゃった。大股広げてガクガクしてるだと? しかも敬語?
待ってくれよ。確かに久々だ。こうやって顔を合わせるのは数ヶ月振り。
怖いニュースも最近多くなったよ。
でも、あんた! 俺に怯えるようなタチか?
あんたに会わないよう家の中を逃げ回って生活してるのはこっちだぞ?
「悪い。もう顔見せないから」
「えっ、あっ、いや……。み、みさこぉ! みさこぉぉぉぉ!」
尻餅つきながら母ちゃんの名前を叫ぶなよ……。これじゃまるで俺が張っ倒したみたいじゃないかよ。
母ちゃんは俺の理解者だから。場を納めてくれるだろう。
でも、久々に顔を合わせてこれじゃあ、もうこの家にはいれないよ。
テクテクテクテクテクテク。
「はいはい。なんですか。電車の時間に遅れちゃいまーー」
…………。
どったの母ちゃん。そんなヒステリックな顔して。
「み、みさこ?」
「あ、あなた?」
真剣な眼差しで見つめ合っている……?
「ついにたかしがやりおった。誘拐だ……け、警察に電話を……終わった、終わった。……終わった」
「あなた待って、か、彼シャツにトランクスよ……?」
誘拐、警察、おわた、彼シャツ、トランクス?
あれ?
そーっと胸に手を伸ばす。
そーっとそーっと……。
「ッッ!!」
ーー特盛ッ‼︎ ダブル特盛ッ!!!!! マシュマロ‼︎
…………。まじかッ‼︎
ーーすぅぅぅぅぅぅー。深呼吸。よしっ!
「初めまして。お父様、お母様。わたくし、たかし様の婚約者のアヤノと申します。何卒、よろしくお願い申し上げます」
って、おーーい! ちょっと違うぞ。いや、色々違うぞ。もっと柔らかく……柔らかく。
「あっ、やだ。緊張しちゃって。たかしさんとお付き合いさせていただいております。昨日はその……お泊まりで……初の朝チュンを……」
「「…………?」」
ちがうだろーー! 落ち着けおれーー! 欲望を親にぶちまけるな!!
親父も母ちゃんもポカーンとして口がマッハに開いちゃってるよ。顎外れちゃうよ‼︎
やばいやばい。どーしたらいいの?!




