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第十六話 デース。わ‼︎


 ゼロか百で考えるな。

 ちょっとだけ。1分だけ‼︎


 くるりん……パァ‼︎


「ひゃあ‼︎ えっ、なになに? くすぐったいよぉぉ」


 ごめんヒメナちゃん。1分だけ。1分だけだから‼︎


 少し湿った太ももはまるでマシュマロみたいだった。

 初めて体験する究極の膝枕。ここはまさしく楽園ッ‼︎



「なにこの膝枕。これって膝枕なの? ねぇアヤノちゃん?」

「わんわん‼︎ ぐはっ」


「うーん。なんだかクマゴロウみたいなんだけど。だからカシスも気に入っちゃったのかなぁ」

 

 クマゴロウも逆膝枕を? なかなか気が合いそうだな……ってカシスちゃんだ。深過ぎる……。




 ……………………。



 このまま眠れば痛みなく簡単に死ねる。楽園気分でそれはもう、最高だろう。


 でも、まだ……死ねない。

 クマゴロウと行くんだ。クレープ屋さんに……‼︎



「わおーーん‼︎」


 ひざひざまくら!!

 下から見るか横から見るか。横だ‼︎



 顔を横にしエリリンのほうを見た。

 本来ならもう死んでいる事だろう。わんわんモードの効力も切れかかっている。


 痛い……あっさり死んだ三回とは違って、迫り来る死の恐怖までも襲ってくる。


 でも、約束したんだ。……約束したんだ。諦めてたまるか。



「アヤノちゃん。もう助からないよ……無理しないで……。せめて安からに」


 お馬鹿キャラの癖して最もらしいことを……頭まで撫でて……母性的な何かを感じる。──そそるよ。


 あれ、わんわんが(みなぎ)る。チャージされているのか?


 ヒメナちゃんありがとう……。君がそそってくれたおかげで、もう少し頑張れそうだよ。



 わんわんモーード!!

「わんわんわんわん‼︎」



 ◆◇◆◇



「ほらほらぁ、全部弾けるかなぁ?」


 エリリンの属性は風。

 風を司る魔法使い。遠距離タイプの物理攻撃に特化したオラオラ系の肉食系だ。


 

「う………ッ」


 上空から無数に降り注ぐ短剣。まるで時雨のように。

 ナイフとフォークで必死にカットしてるけど、防ぎ切れてない。


 このままじゃカシスちゃんが……。



「所詮はガキなのよねぇ! 相性も考えずにわたしに喧嘩売るとか、馬鹿なのぉ〜? ねぇねぇねぇ?! きゃはッ」


 カシスちゃんは満身創痍になりながらもどうにか防ぎ切った。良かった。でも、次はもう……。



「見せパン履いて保身に走ってるエリリンに言われたくないです」


「んなっ?!」


「この位置から丸見えですよ。見た目によらず、ビビりなんですね」


「ななっ?!」


 カシスちゃんの言葉がエリリンに突き刺さる?!

 恥ずかしながらもパンツ。ではなく見せパンを隠す素ぶりをするエリリン。しかしその姿をみて「フッ」とあざとく笑うカシスちゃん。



「ころす!! ころしてやる!! カシス!」

「いーえ、死ぬのはあなたです。エリリン!」

 


 殺し合いが始まってしまう……。どうして……。


 唇を噛みながらヒメナちゃんも二人の様子をみていた。


 多分、俺が死んだら飛び掛かっていく。──死んでたまるか……。



 ◇



「はいはい、やめやめ! もうおしまい!!」


 パンパンッと手を叩きながらのご登場。ジャスミン姉さんだぁ!!



 「「うるさい」」


 息ぴったりで殺意に満ちた目でジャスミン姉さんを睨みつけた。



「いいのよ。二人まとめて相手にしてあげても」


 

 う、嘘だろ……。姉さんまで……。



 ……………………。一触即発。始まる。もう誰にも止められない……。





「も、もうやめてくれ!! 俺の為に争うのは……やめてくれ!!!!」



 男の叫び声が場を覆った。誰?



 ……声の正体はレオ様だった。ここまで沈黙を貫き通してきた男がついに立ち上がった。



 しかし〝俺の為に〟などと皆目見当もつかない事を叫びだしたのだ。──場の空気は凍ってしまった。沈黙。


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