表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

 禄太郎の姿が見えなくなるまで、響は口を開くことが出来なかった。

 綾女もまた、そんな響を思いやったのか、黙ったままその時を待った。

 やがてーー

「綾女さんはあの男を知っているんですか?」

 その質問に綾女はすぐに答えた。

「あなた、西ノ宮については知っている? あの男はねその『宮家陰陽寮』を束ねる四家の一つ青龍の家系である蒼鬼家の人間よ。蒼鬼百太郎あおきももたろう。それが彼の本当の名前」

「……蒼鬼」

 その名前に聞き覚えがあるような気がした。だが、ハッキリとは思い出せない。「さっきボクについて……玄野響という人について教えてくれると言っていましたよね」

「そうね、そう言ったわ。私の一存でこれを話していいかどうかはわからない。でも、黙っているのもキミにとってはプラスにはならないでしょうね」

「教えてください」

 綾女は小さく頷いてーー

「玄野響、それはね宮家陰陽寮を束ねる四家、玄武の家系である玄野家の長男だったのよ。若くして優れた陰陽師と噂される人だった。人望も厚く、いずれは必ず宮家陰陽寮の首領となる人物と見られていた。そして、その結果、お家騒動の中で暗殺された」

「暗殺……それじゃ、その犯人があの人」

「その詳しい事情は私も知らない」

「でも、あの人はそう言っていました」

「そうね、でも、あいつが本当のことを言っているとは限らない。あの男の言うことをそのまま受け入れないほうがいいわ。あいつの言葉は毒でしかない」

「じゃあ、真実は」

「自分の目で見つけるしかないでしょうね」

「見つけられるんでしょうか?」

「見つけたいんでしょう?」

 響は頷いた。

 そうだ。真実は自分の目で見つけるしかない。


   了


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ