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 というわけでやって来ました、レンタル工房。

 地図ワープだから一瞬ですけどね。


 こんにちは、【調合】のために工房を借りたいんですけど。


「いらっしゃい。【調合】だけかい? それなら調合用の工房でいいね。……じゃあお嬢ちゃんは2016室に行ってくれ」


 2016室!?

 それって20階の16号室ってことですか!?


「そうさ。それ以外になにかあるかね」


 いやいやいや、確かに大きな建物でしたけど、高さが20階もあるようには見えませんよ!


「そりゃ見た目と中身の空間の広さは一緒じゃないよ。ダンジョンだって同じだろう?」


 比較対象がダンジョンってどうなんですか。


「あれだって学園が建てたものだからなあ。学園の建物も大抵は見た目と中身の広さは違うはずだが」


 あ、そう言われると確かにそんな気はしました。

 ゲームだから建物の外観と中はマップが違うから広さは当然、違います。


 しかし高さ20階はあまりにも外観と違いすぎて同じように考えることはできませんでしたが。


 まあとにかく2016室でしたね?

 あちらにあるテレポーターで20階を指定して、16号室に行けばいいんでしょうか?


「そうだよ。使った時間に応じてお金がかかるからね。5分ごとに10Gだよ」


 結構小刻みに数えるんですね。


「部屋に入ったらカウンターが動くから、いくら位かかるかはそれを見て考えてくれ。所持金を越えるレンタル料に達すると、自動的に部屋から追い出されるからそこは気をつけておいてくれよ」


 おお、中でのんびりしているわけにはいかないですね。

 ではささっと済ませてきましょう。



 調合用の部屋というわけで、中にはすり鉢やフラスコ、秤などが置かれていますね。

 じゃあ早速、レシピを確認しながらポーションと解毒ポーションを作っていきましょう。


 まずはポーションです。

 ヒール草の葉を刻んで、すり鉢ですりつぶします。

 更に魔石を細かく砕いて、これを先程の葉と一緒にすり鉢で混ぜ合わせます。

 そしてこれらと水をフラスコに入れて火にかければ、ポーションの出来上がり、と。


 うわ、結構簡単にできましたね。


 これ1本分の分量ですけど、まとめて作れたりしないかな?

 材料を2倍にして試してみましょう。


 ……。

 …………。

 ………………。


 うん、できますね。

 ただ砕いた魔石と混ぜるのが大変なのと、フラスコにはポーションひとつ分の量しか入らないので火にかける手間は変わらないですが。


 あ、鍋もありますね。

 これでまとめて火にかけて、それからフラスコに入れればいいのでは?


 早速、試してみましょう。


 ……。

 …………。

 ………………。


 おお!

 上手くいきましたよ!


 これで量産できそうです。


 ただ魔石が少し足りませんね。

 解毒ポーションの分だけ確保して、ヒール草の葉は余らせましょうか。



 さてポーションは普通に出来ましたから、次は解毒ポーションです。

 作り方はポーションと変わりません。

 ヒール草の葉が毒消し草の葉に変わるだけですね。


 というわけで普通に1本作ったら、鍋で一気に量産しちゃいましょう。


 ……。

 …………。

 ………………。


 簡単、簡単。

 よし後は量産してレンタル工房を出ればいいですね。



《「トロフィー:【調合】でポーションを10本作ろう!」をクリアしました!》


《報酬として簡易調合キットを手に入れました!》


 うお!?

 レンタル工房の部屋から出た途端にこれですよ。


 どうやら出先でもポーションが作れるようになるキットです。

 量産用の鍋もないし、大量生産には向きませんが、初心者ダンジョンで見つけた野営地のような場所でちょこっと作るくらいなら丁度いいですね。


 おっとレンタル料の請求も来ました。

 55分ですか、時間としてはかかりましたが、値段はこれでも110Gしかかかりません。

 ただしフラスコ代が別途請求されてまして、こちらが1本10Gで66本分なので660Gもかかりました。

 ポーションの原価を考えれば安いものの、結構ガッツリ現金が減りましたね。


 さてもう一度くらいダンジョンに潜る時間がありそうですが念の為、授業表を確認しておきましょうか。


 ……ううむ、この魔力操作訓練の授業は出ておくとスキルがゲットできるとかですかね?

 一度試しに出てみましょうか。



 ザワり、ってなんですかね。

 この雰囲気は。


 みんなこっち見てヒソヒソしてますけど。


 教室に入った途端、これですよ。


 おっと先生が来ました。

 昆虫みたいな透き通った綺麗な羽根からすると、あれがフェイでしょうかね。

 エルフほど長身ではないですが、普通にヒューマンくらいの身長があります。


 あ、よく見ると足元が浮いていますよ。

 浮遊能力があるんですね。

 そういえばウェアキャットには何か特別な能力とかあるんでしょうか。


 授業が終わったらヘルプを確認しましょう。


「は~い、みなさん初めまして。魔力操作訓練の授業を受け持つアリアンナです。新入生のみんなはこの授業を通期で受けると、魔力操作の基礎を習得できるので、みんな振るって参加してね♪」


 明るい感じの先生ですね。

 ちょっとあざとい感はありますが。


 そういえばこのゲーム、今まで女性しか見ていませんけど……男っていないのかな?


「それじゃまずみんな席を立って。軽く伸びでもしてリラックスしてくださいね~」


 完全な座学じゃないのですね。

 ずっと座ってばかりだと疲れるのでありがたいです。


「じゃあまず、みんな頭の後ろを見ようとしてみてください。もちろん実際には見えませんけど、どうにか頑張って見ようとすると視野が広がりますよね。その状態を基本だと思ってください」


 ふむふむ。

 なるほど、頭の後ろという見えない場所を見ようとすると、どうしても両目が外側を見ようとします。

 その結果として視野が広がるようですね。


「その状態で、体内の魔力を感じるところから始めましょうか~。まずはお腹の下、おヘソのすぐ下の辺りに魔力が多くあります。そこに温かいものを感じたら成功ですよ」


 んんん?

 あるのかな、そんなの。


 ……ううむ。

 難しいですね。


「なかなか上手くいかないでしょう? でも諦めずに続けていれば、自分の魔力を感じられるようになるので、これは暇な時に訓練してできるようになってください」


 おっと宿題というヤツですかこれ。

 想像していたのとは違いますけど、できるようになっておきなさい、ということですから。

 次の授業までになんとか自分の魔力を感じられるようになりたいですね。


「では次に移りますよ。今度は魔力を外に出してみましょう。こう手をかざしながら、指先に魔力を集めるよう集中してみてください。魔術を使える人は、魔術を使う要領でやってみるといいですよ。あ、でも本当に魔術を使わないでくださいね」


 魔術なら何度か使ったので、これはなんとかできるかな?


 むむむ、先程の魔力を感じる訓練はできなかったけど、こうして集中させると確かに指先に熱いものが集まってきているのを感じます。

 なるほど、これをお腹でやればいいのかな。


「これは簡単かな? できる人もちらほらいるようだし。次回はもっと具体的に魔力そのものを動かす練習をしていくから、みんな来週も来てね~」


 というわけで授業は終わりのようですね。


 授業表を見れば同じ授業が1週間の間に何度も繰り返されています。

 来週になったら、新しい薬草学と魔力操作訓練の授業が始まる、という感じなのでしょう。


 いくつ授業を受けて、どのくらいダンジョンに行くか。

 なかなかこのバランスを考えさせられますね。


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