表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/26

08

《「ミッション:キラービーの巣を壊して」をクリアしました!》


《報酬として50マナ金貨を手に入れました!》


「ありがとう、メリザンド。予想以上に強かったよ」


 いえいえ、お気になさらず。

 毒になったヒルデガルドに苦い葉っぱを食べさせるハメになったのは恨めしいですが。


 序盤はこういう窮屈なイベントもあるということを学べましたよ。


「それじゃあ、……はい、これあげるよ。お礼に」


 おや、ありがとうございます。

 というかさっき報酬、もらったんですけど。


「それは気にしないで。……はい、初心者ダンジョン卒業証明書」


 ……はい?


「ごめんね、これ実は試験だったんだ。私はホムンクルス研究課の3年生で、初心者ダンジョンをクリアできる実力のある子に卒業証明書を渡すっていうアルバイトをしているの」


 ああ、そういうことだったんですね。


「メリザンドは余裕だったね。キラービー・クイーンが出たのに平然と魔法を撃ち込んでた」


 いやまあ、ウチのヒルデガルドなら楽勝でしたし。


 それに私の出番があるような戦闘も、こうしてパーティを組まないと当分は縁がなさそうでしたからね。

 いい機会でしたよ。


「まあともかく。メリザンドは初心者ダンジョンをクリアしたから、森林ダンジョンに行けるようになったよ。受付にそれ渡せばだけど」


 もちろん渡しますとも。


《報酬として『初心者ダンジョン卒業証明書』を手に入れました!》


「それじゃこれで。また機会があったら一緒に遊ぼうね」


 はい、いずれまた。


 …………ふう。

 出てきていいですよ、マーガレット、シャルロット。


 ごめんね、ふたりを戦わせたかったのに。


「あら気にしないでメリザンド。大したことじゃないわ」


「そうです。それよりヒルデガルドはメリザンドに迷惑をかけてないでしょうね?」


「かけてないよ。大活躍だったんだから!」


 やれやれ。

 しかしこれで初心者ダンジョンをクリアしてしまいましたね。

 時間は……もうとっくに夜中の0時を回っています。


 あ、そういえばどこの課が人気なのか運営から発表があるんじゃないでしたっけ?


 ……ええとメニューのお知らせかな。


 あった、初日のプレイヤー動向!


 なになに。

 ああ、やっぱりホムンクルス研究課がトップですか。

 我らがファンタズム召喚課は2位につけています。

 一番人気がないのは、アンデッド降霊課ですね。


 後は……ランキング更新?

 これは何のランキングでしょう。


 へえ、毎時0時に倒した魔物の数などをランキング形式で発表するようですね。


 …………うん?

 なんか妙な項目までランキング表示されるんですね。

 身長とか体重とか、ランキングにするもんじゃな――


 うわあああああ!?


 なにこれ、なにこれ!?

 正気か運営!?


 見て、いや見ないで?

 ちょっと視聴者の皆さん、これどう思います!?


 身長、体重、スリーサイズのランキングですよ!

 確かにこのゲーム、ターゲットは男性でしたけど……。


 しかもしかも、これをご覧ください。


 身長、体重、スリーサイズ。

 全て私がワーストワンじゃないですか!


 ちょっと、ハーフリングやドワーフは何をやってるんですか!?


 僅差で私より体型がいいとか……私のアバター、そんなに小柄だったのか。

 薄々、みんなより視線が随分低いなあと思ってましたけども!


 まあいいです。

 男ならともかく、私はれっきとした女ですから、こんなランキングに一喜一憂する趣味はありません。

 ランキングのことは忘れてゲームを楽しみましょう。


 さあ、街に戻ってドロップ品を精算して、通常召喚と【調合】をやりましょう。

 まだ朝になるまで随分あるので、次のダンジョンの下見もしてもいいかもしれませんね。



 というわけで『帰還の札』を消費して地図ワープでファンタズム召喚課の受付にやってまいりました。


 深夜ともなるとレムドライブで寝ながらゲームする人が増えるので、ゲーム内人口が増えていますね。

 明らかに混雑しています。


 受付に話しかけるのはやっぱり諦めて、ウィンドウで通常の召喚の儀式の申込みをします。

 2階へ上がって行うようですね。


 ささっと地図ワープしましょう。



「初めまして。私は通常の召喚の儀式を担当しているベルティーユです。あなたは申請のあったメリザンドさんね?」


 はい。

 召喚を4回、お願いします。


「分かりました。では早速、召喚しましょう」


 よろしくお願いします。


「……繋がれ幻想界の扉。()でよ小さき縁に呼ばれしもの、ここにある召喚者メリザンドの前に現れたまえ」


《『炎の宝珠』を手に入れました!》

《『紫毒々草』を手に入れました!》

《『白露の糸』を手に入れました!》

《『七色の羽』を手に入れました!》


「縁は紡がれた」


 ええと、これらは一体どう使えば?


「メリザンドさんは通常召喚の儀式は初めてでしたね。これらは幻想界に存在する品々です。この世にはない素材として、生産に活かすことができます」


 なるほど、そういう使い方になるんですね。


「何をどう使うかはあなた次第ですので、詳細な説明は控えさせてもらいますね。これも学習の一環ですので」


 自分で調べるのも勉強ですね。

 そういえば図書室なんかもあるんでしょうか。


「ありますよ。学園内に図書館が。入館は無料、閲覧も無料、ただし貸出はしておりません。また深い階層に入るには、それ相応の資格が必要になります」


 深い階層には、資格が必要?

 ええ、どんだけ広いんでしょうか。


「それは実際に見てみましょう。見聞きすることも学びの一環ですよ」


 なるほど、百聞は一見にしかず、ですか。

 分かりました、後で図書館に行ってみます。


「それがいいでしょう」


 召喚した素材は貴重らしいので、売らずにとっておくのが良さそうですね。

 おっと所持品欄が凄いことに。

 魔物のドロップアイテムは売ってお金にするのを忘れていましたよ。


 ダンジョンの入り口の迷宮入場受付の近くに買い取りカウンターがあったので、そこに売却しに行きます。

 うっかりしてました、『帰還の札』を使った後に売っておくべきでしたね。



 売却総額は1644Gにもなりました。

 ダンジョンをひとつ踏破したわけですから、いい儲けですね。


 しかし次のダンジョンは更なる儲けを出すでしょうから、もう一度初心者ダンジョンに潜ろうとは思いませんが。


 さて所持品欄もスッキリしたし、ここで迷宮探索後のステータスを確認しましょう。

 入る前からどのくらい成長しましたかね。


《名前 メリザンド

 種族 ウェアキャット 年齢 12歳

 所属 ファンタズム召喚課

 スキル 【召喚術】【炎魔術】【水魔術】【杖】【MP増加】【調合】

 召喚術 〈サモン・ハウンド〉

 炎魔術 〈フレイム・アロー〉

 水魔術 〈ウォーター・スピア〉

 調合レシピ 『ポーション』『解毒ポーション』

 装備 木の杖

    採取ナイフ

    学園のマント

 服装 学園の制服

 下着 白の上下

 所持品 『帰還の札×4』『スキルカード:電撃』『ポーション×6』

     『ヒール草の葉×59』『毒消し草の葉×17』

     『魔石(1)×28』『魔石(2)×16』『風の魔石(2)×1』

     『炎の宝珠』『紫毒々草』『白露の糸』『七色の羽』

 大事な物『寮の鍵』『授業表』『初心者ダンジョン卒業証明書』

 所持金 2294G マナ晶石 0個 マナ金貨 50枚

 髪の色 黒 瞳の色 黒

 身長 130cm 体重 28kg

 B 63cm W 44cm H 65cm》


《名前 マーガレット

 種族 エルダートレント Lv5 高度な知性

 主人 メリザンド(ウェアキャット)

 スキル 【鋭い枝】【風魔術】【魔法耐性】/【薬草発見】

 風魔術 〈ウィンド・カッター〉》


《名前 シャルロット

 種族 セアカスパイダー Lv5 高度な知性

 主人 メリザンド(ウェアキャット)

 スキル 【毒の牙】【粘糸】【壁歩き】/【幸運】》


《名前 ヒルデガルド

 種族 フロストワイバーン Lv6 高度な知性

 主人 メリザンド(ウェアキャット)

 スキル 【毒の牙】【氷の吐息】【飛行】/【再生】》


 あんまり成長したって感じにはなりませんでしたね。

 総じてレベル5に到達して、最後に1体だけ戦ったヒルデガルドがレベル6になったくらいです。


 売らなかった魔石は、ポーションの素材になるので手元に残しました。

 キラービーの針とかそういう魔物の部位ドロップは、すべて売却したんですけどね。


 ところでお金と薬草は増えましたけど、そもそもプレイヤーにはレベルがありません。

 どうやって私自身は成長するんでしょうか。


 あ、そういえば薬草学の授業で単位がどうとか言ってましたね。

 ヘルプで調べてみましょう。


 ……お、なるほど。

 単位を取得することで、スキルを習得することができるらしいです。


 学生ですものね。

 授業を受けて成長するというわけですか。


 さてそれじゃあいよいよ【調合】でポーションを作成しましょう。

 街にあるレンタル工房に行けば、設備が借りられるみたいですよ。

 前に見たヘルプにそう書いてありました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ