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《第七戦目:フロストジャイアント》
くぅ、厳しい!
第六戦目で出てきたワイトナイトとかいう馬に乗ったアンデッドの騎士で負った傷がまだ回復しきっていませんよ!
斬りつけられるともれなく毒を食らうという陰湿さ、あれのどこが騎士か。
そんなことより新手のフロストジャイアントも名前からして嫌な予感がします。
ヒルデガルドのスキル選択、【氷無効】でも良かったんじゃないですかね。
〈フレイム・アロー〉!
よし、効く!
でもシャルロットの【粘糸】が凍りついてバキリと剥がされます。
彼女が戦力外なのは痛いですね。
アンリエットの【電撃】が放たれます。
よしよし、効いてる!
あ、でもヒルデガルドの【氷の吐息】は効かないかもしれません。
「大丈夫、殴り倒すから!」
前向きな発言、ありがとうございます!
よし突撃! ――ってうわぁ!?
思いっきりカウンターで殴りつけられましたよ!?
HPバーが凄い勢いで消し飛びました。
ポーション……あ、間に合わない。
アンリエット、突撃!
「分かりましたメリザンド。ヒルデガルドの仇はこの私めが!!」
おのれフロストジャイアント!
くらえ復讐の〈フレイム・アロー〉!
ああっ!
アンリエットも太刀打ちできない!?
肉弾戦を挑んだのが敗因ですか……!?
パートナーは足止めに徹して〈フレイム・アロー〉が正解でしたかね。
これは継戦不能です。
素直にリタイアしましょう。
《第六戦目まで勝ち抜きました!》
《第一戦目初回クリア報酬『スキルカード:炎魔術』を手に入れました!》
《第二戦目初回クリア報酬『炎魔術の教科書』を手に入れました!》
《第三戦目初回クリア報酬『スキルカード:氷魔術』を手に入れました!》
《第四戦目初回クリア報酬『氷魔術の教科書』を手に入れました!》
《第五戦目初回クリア報酬『スキルカード:雷魔術』を手に入れました!》
《第六戦目初回クリア報酬『雷魔術の教科書』を手に入れました!》
《試練場成績が6勝に更新されました!》
《またの挑戦をお待ちしております》
はて。
スキルカードはともかくとして、教科書はどう見ても生徒用ですよね?
もしかして習得できるのでしょうか、新たな魔術が。
こういうときは困った時のミサキちゃん頼みです。
「え? ああ教科書ね。そうそう、スキルカードみたいにプレイヤーにスキルを覚えさせるアイテムだよ。試練場、何回戦まで行ったの? 6勝? いきなり? それ凄いよ」
え、そうなんですか?
「だって途中の連中、どいつもこいつも予め知らなきゃ対策打てないじゃんか。お姉さんのとこのパートナー、対応力あるなあ」
そうなんですかね。
まあ確かに解毒ポーションと消化ポーションは使わされましたけど。
あれ、試練場ってアイテムはもらえるけどお金はもらえないんですか?
これじゃ赤字だ!
「あはは。そうなんだよねえ。ポーション代がかさむかさむ。だから仕方なく火山へ稼ぎに行ったり、ついでにレベル低い控えメンバーを育てたりするんだよ。お姉さん、ようこそ最前線へ。コンテンツが追加されるまでそんな感じなんで、よろしく」
うわあマジですか。
薬草の現地調達がてらクラーケンのレベルを上げに行きますかね……。
「ちなみに教科書は共通なんだけど、スキルカードは課によって違うんだよ。お姉さんのとこだと……魔術系? パートナーに魔術はいまひとつだよね」
教科書の使用制限はなにかありますか?
「いんや、今の所ないみたい。手に入った教科書は全部使用できてるよ。4冊使って問題なしだよ」
なるほど、じゃあ使い切って問題ないんですね。
「そうそう。そうやって手に入れたアイテムで強化して、再挑戦してようやく私は9連勝したってわけ。でも10戦目はちょっと勝ち筋見えないから今は9勝で満足しとくしかないかな」
わかりました、ありがとうございます。
「いいよ~。そうだ、どうせアプデ来るまでみんな闘技場で足が止まるんだから部内掲示板に攻略情報とか載せようか。よっし編集してくる」
お疲れ様です部長。
……さて、教科書を使いますかね。
既に所持している魔術の教科書も多分、選択しなかった魔術を使えるようになるはずです。
多分ですけど。
使ってみれば分かりますね。
《『炎魔術の教科書』を使用しました!》
《炎魔術を選択して下さい》
ほらね?
さて、ここは補助がいいですかね。
〈バーニング・プロテクタ〉は対象に炎の鎧をまとわせ、近接攻撃される度に反撃のダメージが発生するようになるというものです。
なお名前に反して防御力は一切、上がりません。
《『氷魔術の教科書』を使用しました!》
《氷魔術を選択して下さい》
選択肢が増えることはいいことではあります。
しかし既に〈ウォーター・スピア〉もあることですし、氷属性の攻撃魔法は必要ありません。
やはりここでは補助一択。
〈フリーズ・バインド〉は相手を氷漬けにして動きを拘束する素敵な魔法です。
【粘糸】にばかり頼らず、私も妨害に加わるべきでしょう。
《『雷魔術の教科書』を使用しました!》
《雷魔術を選択して下さい》
この属性は攻撃魔法が優秀ですね。
特にこの〈スタン・ボルト〉は相手を気絶させる効果があります。
補助魔法に近いためか威力は低めですが、付加価値が高いためこれを採用しましょう。
さて、スキルカードたちはどうしましょうかね。
正直なとこ魔術のスキルカードはホムンクルス研究課から溢れていますから価値は低めでトレードも望めません。
……いや、ガチャに課金しない人たちには需要があるのかな?
でもそんな友人もいませんし、死蔵するしかなさそうです。
時間的に午後は調合をして終わりですかね。
試練場でポーションをかなり消費してしまったので、それを補充しなければなりません。
……。
…………。
………………。
出来る限り【調合】はしましたけど、ヒール草が足りませんね。
森林ダンジョンへ行ってクラーケンのレベリングのついでに薬草集めをしましょうか。
では視聴者の皆様、午後はこれで実況は終わりにしたいと思います。
夜にまたお会いしましょう。
それでは!




