表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/26

02

 ――うん?

 

 あ、身体がある。

 

 さっきまでミステリ漫画の犯人みたいな状態だったけど、うわあ制服だ。

 ブレザーだよブレザー。

 プリーツスカートだよ。

 

 リボンタイだよ!!!!

 

 これぞ憧れの女子学生。

 

「メリザンドさん、ですね。あなたをマグダレーナ女子魔法学園は歓迎します」

 

 あ、ども。

 ありがとうございます?

 

「メリザンドさんはファンタズム召喚課ということなので、寮はこちらになります」

 

 ……寮?

 あ、そうか。

 この学園って全寮制なんだっけか。

 

 オフィシャル・ホームページにそんなことが書いてあったなあ。

 

《メリザンドは『寮の鍵』を手に入れた》

 

 おお、鍵を手に入れた!

 

 ……って見れば分かるか。

 

 ええとメニュー画面は左手の甲を触るんだっけ?

 

 アイテム、と。

 

 おお、大事な物欄にちゃんと鍵がありますね。

 

 ついでにステータスも見ておきましょうか。

 

《名前 メリザンド

 種族 ウェアキャット 年齢 12歳

 所属 ファンタズム召喚課

 スキル 【召喚術】【炎魔術】【水魔術】【杖】【MP増加】【調合】

 装備 木の杖

    学園のマント

 服装 学園の制服

 下着 白の上下

 所持品

 大事な物 『寮の鍵』

 所持金 0G

 髪の色 黒 瞳の色 黒

 身長 130cm 体重 28kg

 B 63cm W 44cm H 65cm》


 ってちょ、ストップ! ストップ!?


 なにこれスリーサイズ表記とかいらないし!


 あと年齢12歳ってどういうこと!?

 ここって高校くらいのイメージだったんだけど!?


 あの校長……じゃなくて学園長! 私って12歳なんですか!?


「はい。本学園では入学試験に合格すれば年齢に関わりなく入学できます」


 おお。

 良かった、別におかしいことじゃないんだね。


「メリザンドさんは本学園の最年少入学者になりますね」


 ……なんですと?


「では早速、寮に向かってください。まずは自分の部屋を確認しておくように」


《「クエスト:寮の自室に行こう!」を受領しました》


 いきなりのクエスト!


 いやこれチュートリアルなのかな?


 何の前触れもなくいきなりクエストとか言われても……ってプレイヤーは困りませんかね。


 ま、私は入院時代に散々、VRMMOをプレイしてきた廃人ゲーマーですからね。

 ゲーム用語が出てきても困りませんよ。


 えーと視界の右上あたりにミニマップが表示されていますね。

 ミニマップでは自分の周囲しか分かりません。


 大抵の場合、メニュー画面に全体マップがあるので、そこから寮の場所を……ってなんじゃこりゃぁ!!?


 ちょ、これ見てくださいよ。

 なんですかこの広さ。


 学園、広すぎでしょう……あ、施設名でワープできる仕様ですか。

 さすがにこの広さは歩いてられませんからね。


 じゃあ早速、門までワープしましょうかね。



 門の前は割と多くのプレイヤーがいて驚きました。


 そうそう忘れてましたが、今日はサービス開始日なんですよね。

 確か正午ちょうどにサービスインしたはずです。


 ……ってことは私、9時間も先行プレイヤーから遅れているってことですね。


 あ、ちょっと廃人思考が入りましたが、お気になさらず。

 入院時代はサービス開始と同時にログインしていたもので。


 ……ああ、あの懐かしの自由な日々、病弱だった以外は割と快適な生活でしたねえ。


 まあ私の若かりし頃についてはさておき、とりあえずクエストをクリアしないとモフモフ召喚できなさそうなので、まず学園を出ましょう。


 ちなみにゲーム内時刻は現実と同期していまして、つまり今は夜です。

 しかし煌々とたかれた魔法の明かりのおかげで、現代社会と変わらず眠らない街ならぬ学園となっております。


 そうでなくとも空には巨大な月があり、たとえ魔法の明かりがなくても夜の暗闇に困ることはなさそうです。


 しかしでっかい門ですねえ。

 これ現実で建てたらお金がすごくかかりそう……。


 …………ってうわ、街も広そう!


 全体マップ、はと。


 ああー、はいはい。

 広い広い。


 ていうか、あれだけ広かった学園が五百円玉サイズって……なんでこんな広いんですかね。


 寮は……お、エクスクラメーションマークがついています。

 ここがきっとクエストに関連ある場所、つまり寮なわけですね。


 どうやら街の中も地図ワープ可能なようなので、サクっと移動しましょう。


 はい、ポチリ。


 んー?


 んんんー?


 なんですかこのラストダンジョンみたいな塔は。

 これが寮とかマジですか。


 どんな豪華な設備があるんでしょう。

 屋内温水プールとかあるのかな。


 では早速、突入!


 まず広々としたホテルのようなロビー。

 ここ、本当に学生寮ですよね?

 どっかの高級ホテルとかじゃないですよね?


 まあ、あんな禍々しい外見のホテルなんてないでしょうけど。


 取り敢えず受付カウンターに挨拶してみましょう。

 なんか頭の上にエクスクラメーションマークが輝いているおばちゃんがいますから、きっとあの人が……寮母という奴なのでしょう。


 寮母という言葉が出てくるまでに逡巡したのは、ホテル支配人という言葉が脳裏によぎったからです、はい。


 こんにちは。

 ここがファンタズム召喚課の寮で間違いないですか?


「あら、可愛らしいお嬢さん。新入生かしら? 今日はたくさんの新入生がやってくる日なの。お名前を教えてくれるかしら?」


 メリザンドです。


「め……め……メリザンドさんね。確かにここの名簿にあるわ。お部屋は1303室ね」


 1303室!?

 えーと、それは13階の3号室という意味ですか!?


「そうよ。この学園には沢山の生徒さんがいるでしょう? 貴重だったり高価だったりするアイテムを持っている生徒さんもいるからね。全員、個室なの」


 な、なるほど。

 もしかして6つの課の寮って、どこもこんなに大きいんですか?


「そうよ。今の所どこが一番大きいかはまだ分からないけど、今夜0時に結果が出ると思うわ」


 メタいし!

 運営の告知の時間なんてどうでもいいですよ!?


 あ、でもどこの課が人気なのかは知りたい気もします。

 モフモフ召喚課が一番人気かは分かりませんね。

 ホムンクルス研究課という美少女をパートナーにできる課がありますから。


 ホムンクルスの外見はやはりランダムで、美少女生成エンジンが使われているらしいですから。

 外見に拘る人はリセマラもするんでしょうね。


 ちなみに私、リセマラは好きではないので基本的に一発勝負です。

 どんなにカスな引きでもそれで始めますよ。


「それでメリザンドちゃん。お部屋への行き方なんだけどね」


 おおう、まだNPCと会話中でしたよ。


「奥にテレポーターがあるから、そこに乗ると何階に行くか聞かれるの。メリザンドちゃんは1303室だから13階と応えるのよ。そうすれば後は3号室へ行くだけ」


 ほほう、テレポーター……エレベーターじゃないんですね。

 ハイテクというよりファンタジックというべきでしょうか。


「自分の部屋に一度入れば、後はいつでも地図から直接、部屋に行くことができるから」


 メタいから!

 チュートリアルだから仕方ないですけど、地図からワープできるとか言われると違和感ありますよねえ。


 社会人になってからVRMMOから遠ざかっていましたけど、そういえばどこのVRMMOのNPCもある程度はメタメタしかった気がします。


 こればかりはゲームだから仕方ないですね。


 さて必要な情報も得ましたから、早速テレポーターに乗りに行きましょう。


 これみよがしに魔法陣が書いてある床が、恐らくテレポーターでしょうね。

 じゃあ乗りますよ?


 てい。


《何階に行きますか?》


 13階でお願いします。


 フォン、って凄い軽いサウンドエフェクト。

 SE班、もうちょっと頑張って。


 それはさておき、広めのホールです。


 ホールからは「米」の字のように八方向に放射状に廊下が伸びていて、沢山の扉が見えます。


 ていうかこれもうダンジョンですよね。

 扉多すぎ。


 1~10と書かれたボード、あの廊下に私の1303号室があるようです。

 放射状に伸びた廊下ひとつに10室ということは、この13階だけで80もの部屋があるということですか……。


 このゲームのプレイヤー数が増えれば増えるほど、寮の階層が上がっていき部屋数も増えていくというわけですね。


 まあ月額料金がかからないとはいえ、パッケージ購入という敷居がありますからそうメチャクチャな人数にはならないと思いますけど……。


 さて3号室は、と。


 ありました。

 手前から3番目ですね。


 では鍵、鍵……と。


 大事な物は取り出せません?

 ああ、そうですか。


 ガチャリ。


 扉のノブに手をかけると、勝手に開く仕組みですね。

 ハイテクだなあ。


 さて部屋の中はどんな感じでしょうか。


 ……って結構広いですね。

 1DKですか、学生の一人暮らしとしては贅沢な部類でしょう。


 トイレと風呂がないのはゲームだから仕方ないですが、こうして見ると奇妙な間取りに感じられます。

 あるべきものがないというのは、不安になりますね。


《「クエスト:寮の自室に行こう!」をクリアしました!》


《奨学金として1200Gが支給されます》


《「クエスト:ファンタズム召喚課へ行こう!」が発生しました》


《「クエスト:幻獣召喚をしよう!」が発生しました》


 おっと、クエストはクリアになりましたか。

 それと新しいクエストですね。


 いよいよパートナーを召喚するときが来たようです。


 さあ、モフモフちゃんをゲットしに行きますよ~。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ