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【実況】マグダレーナ女子魔法学園を遊びますよ!  作者: イ尹口欠


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「――で、ここが目当てのお店」


 なるほど、確かに分かりづらいですね。


 来たのは街中にあるランジェリーショップです。


 デフォルトの白の上下に罪はありませんが、スパッツに下着のラインが出るのがどうも落ち着かないので、シームレスなショーツが欲しかったんですよ。


 ミサキちゃん曰くそういうショーツも見かけたそうなので着いてきましたが……。


 ここって本当にランジェリーショップですか?


「え、どうして?」


 こんな路地裏にひっそりとあるのがまず立地的におかしいですし、……他に候補があるのに、わざと怪しいお店を選びましたね?


「あらバレちゃったか。まあでも普通のも揃ってるから入ってみてよ」


 え……ちょっと待ってください。


 うわあ、やっぱりそういうお店じゃないですか。

 どう見ても見せるための下着ばかり……でもないのか。

 隅の方に普通の品揃えがありました。


 あ、シームレスなのもちゃんとありますね。

 というかこのゲームがここまで下着に力を入れているという事実におぞましいものを感じるのですが。


「そんな細かいこと気にしたら駄目だよ。もともと男性向けのギャルゲーだってのは、お姉さんだって理解した上でプレイしているんでしょ」


 まあ確かにそうですね。

 R15レーティングは伊達じゃないということですか。


「下着は脱げないんし、別にいいんじゃない? ちなみに肌の色に近い色をデリケートゾーンに配色した下着を制作して着用しようとすると、警告が出てつけられないから注意してね」


 しませんよそんなこと。

 ていうか、もうそんなバカなことをした人が?


「ウチの部員にね」


 退部届はどこから出すのかな~……。


「わあ、やめてよ。大丈夫だって、確かにエロいけど男はみんなそんなもんでしょ? ちょっとオープンなだけで」


 オープンなエロ発言をするプレイヤーってことはセクハラするプレイヤーだってことじゃないですか。

 どこがマナーを守ってるんです?


「いや、だから女性プレイヤーには言わないよ。私はそういうのオッケーだって知ってるから話してくれるだけで。お姉さんは中身が女性プレイヤーだってことも有名だから、さすがにセクハラはしないと思うよ。あったら言ってよ、奴の方を退部させるから」


 ううむ、まあそこまで言うなら退部は思いとどまりましょう。


「で、下着の話ね。そこで奴はどこがギリギリセーフなのか確かめようとしてね」


 その話、続くんですか?

 別に興味ないですよ。


「あれ、そう? まあそう言うなら別の話題を提供しようか。ええとそうだな、いま生配信中だっけ? まあいっか」


 なんです?

 リアルに関わるような話題は止めてくださいよ。


「そこは大丈夫。ただレベル20になるとパートナーが自前で新しいスキルを習得するって話」


 それ詳しく。


「んふふ。お姉さんも好きだねえ。この動画だとすぐに情報が知れ渡っちゃうけど、逆に握りつぶすことにならないから便利だなあ。何か新発見があったらお姉さんにお話すれば、すぐに知れ渡る」


 ミサキちゃん、私の配信動画を悪用しようとするのはやめてください。


「悪用じゃないよ、有効利用だよ。それに情報はあくまでお姉さんを通じて、だからお姉さんは新発見おもしろ情報をいち早く知れる立ち場なわけで」


 おもしろ、がついていなければ良質な情報だと思いますけど。

 ついているからこの場合はロクでもないことを聞かされるハメになるだけなのでは。


「まあまあ。それでさ、レベル20になるとスキルを選べるわけ。キャラメイクのときみたいな画面が出てきて、たくさんある中から選ぶんだよ」


 それ、結構凄い情報じゃないですか?

 パートナーがレベル20になったプレイヤーなんてまだそう多くないでしょう。


「多くはないけど私以外にいないってほどでもないでしょ。でさ、多分これはホムンクルスだからそういう選び方になったんだと思うんだよね」


 他の課だと違う、と?


「お姉さんのフロストワイバーンがさ、人間用のスキル一覧から好きなスキルを習得できる光景、想像できる? 私はできないなあ」


 ああ、そうか。

 確かに言われてみればそれはホムンクルスの特権なのかもしれませんね。

 初期のスキル自由度が低いのはバランスを取るためでもあったと。


「私はそう考えてるよ」


 でもそれじゃあ、ホムンクルスでもレベル20になれば戦力強化できるじゃないですか。

 さっきの話と違ってきませんか?


「でもキャラメイクのときのスキルに戦力を一気に増強できるようなスキルなんてなかったでしょ? つまりその程度なの」


 ああ、まあ言われてみれば確かに。

 【MP増加】とか【魔力増強】とか取得できる程度ですもんね。


「だから私は開き直って生産スキルを増やしたよ」


 え、それはそれで凄いですね。


「ウチのレギュラー陣は武器スキルひとつと生産スキル3つの精鋭だよ。目指せ生産マスター」


 面白そうなプレイしているなあ。

 そうか、レベル20でスキルが追加かあ。

 まだ先は長いなあ。


「って言ってもさ。明日から土日でしょ? 断言できるけどお姉さんは一日中ログインしてあっという間にレベル20に達するよ」


 う、それは否定できない。

 確かに今夜から月曜の朝までは『マグ学』三昧になる予定でした……。


「……そういえばここ水着も置いてるんだよね。どっかで泳げるのかな」


 そういうダンジョンにはまだ到達していないんですか?


「うん、来てない。来るとしたら多分、次くらいかな。買っておこうかなあ」


 じゃあ私にはまだ必要ないですね。


「そういえば旧スクール水着があったよ」


 別に要らない情報ですね。



 『電撃』と『服飾』を交換して、お互いをフレンド登録し合った後、ミサキちゃんとはお別れしました。


 『帰宅部』のメッセージチャットに挨拶を書き込んで、さあやっとこさ図書館です。

 時刻は現在、深夜の2時です。

 とはいえ眠っているから深夜の何時だろうと構わないわけですが。


 ミサキちゃんの言った通り、明日明後日は土日なのでたっぷりゲームをする時間があります。

 インスタント食品も買い込んでありますから、外出すらしませんよ、ええ。


 図書館はやはり巨大な建造物でした。

 多分、中は見た目よりも広いんでしょう。


 入ってみれば、ヨーロピアンな雰囲気ただよう素敵な空間です。

 分厚い洋書が並ぶあの素敵空間が再現されている、というか手にとって読めそうですね。


 昨今ではAIを投入してテキストをいくらでもでっち上げることができるため、こういう疑似創作物まで作り込むVRMMOが多いとか。

 図書館に行くと言ったら教えてくれたミサキちゃん情報です。


 話しぶりの通り、彼女もまた生粋の廃人ゲーマー。

 そしてその彼女がゲーム友達と呼ぶ部員もまた、恐らくは。


 『帰宅部』、このゲームで割と天下取れるんじゃないでしょうか?


 まあ私という普通の社会人がひとりいるくらいのハンデはもろともしないでしょう。


 さて受付の司書さん、こんにちは。


「こんにちは。新入生ですよね、図書館は初めてですか?」


 はい、初めてです。

 何かルールなどがあれば教えていただけるとありがたいです。


「そうですね。蔵書の持ち出し禁止。図書館では静かに。それから飲食も禁止です。ルールはこの程度で、生徒なら誰でも入れますよ。あ、そうだあとひとつ、深い階層へは許可がなければ入れない、というルールもありましたね」


 最後の重要なルールじゃないですか。

 ちなみにどうしたら許可が得られるんですか?


「そのときが来れば自ずと分かりますよ」


 なにその思わせぶりなセリフ……素敵。


 あ、そうだ。

 司書さん、薬草に関する本を探しているんですが、できれば図や絵の入っているものがいいです。

 知らない薬草を見つけたので、どういうものか調べたいんですが。


「なるほど、分かりました。それでしたら右手の階段を登った先にある470番を探してください。そこにある背表紙から『図版入り』と書かれた薬草関連の書物を探すと良いでしょう」


 470ですね、ありがとうございます。


 さてそれじゃ、まずは薬草から片付けましょう。

 いま現在、名称不明の現物がひとつと、召喚されてきた『紫毒々草』という薬草の使い道が不明です。


 薬草に関する本から得られた情報で何に使えるかまで辿れるならそれで良し。

 そこまでの情報がなければ【調合】関連の書物を探しましょう。


 さあ、読書タイム突入です!

 見ていて視聴者さんには退屈な時間になると思いますので、配信はここまでにしたいと思います。

 図書館から出たらまた再開しますので、そのときまでお別れですね。


 それでは良い夜を!


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