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……と、ダンジョンに入る前に装備を整えましょう。
それなりの現金がありますので、初期装備から更新できるはずです。
はい、察しの良い方はお気づきかもしれませんが、予め攻略サイトで武器防具の店の内容をチェックしておきました。
地図ワープで行ける店以外にも様々な店があるようなのですが、そこへは徒歩で直接行かなければならないらしいので、今回はパスです。
ちなみに学園内の購買では体操服などが買えますが、これは装備ではなく服装カテゴリで、防御力などはなく見た目だけが変更されるものですね。
下着も服装カテゴリと同様、防御力はありません。
実は昨日の戦いで思ったのですが、スカートに直パンだとうっかり見えちゃいそうで。
後で購買にも寄ってスパッツだけ買っておこうと思います。
さあ武器防具屋に到着です。
この店では初心者を脱した私のような生徒から、もう少し先まで進んだ生徒向けの品々が取り揃えられています。
まず魔力増幅効果のある杖からですね。
ええと、魔法攻撃力を上昇させるのはロッドですか。
MP節約のスタッフ、追加で魔術が使えるようになるブックが選択肢にありますが、ブックはどれも高いですね。
一番安いウッドロッドが600Gなので、これを買いましょう。
不要になった木の杖は下取りに出します。
防具は色々ありますね。
ブレストレザーの500G、メイジマントの800Gが一番安いようです。
あと黒のスパッツがここで売っていたので一緒に買いましょう。
スパッツが200Gするので、手持ちの現金はほとんど使い尽くすことになりますが。
ま、どうせこれから稼ぐのですから、ぜんぶ買っちゃいましょう。
おや、学園のマントは大事な物で売却不可なんですね。
制服とセットでついてきたものだから、行事などでまた着ることになるのかもしれません。
木の杖を売れなかったらお金が足りなかったところでしたよ。
今の所持金、47Gなり。
さあ、準備も万端ですからダンジョンに行ってガンガン稼ぎますよ!
というわけで、やって来ました森林ダンジョン。
浅層の途中までは戦ったので勝手は分かります。
おっと結構なプレイヤーがいますね。
邪魔にならないようにとっとと進みましょう。
「あらメリザンド、なにやら注目を集めているようね」
「同じ女子生徒でありながら、不埒な視線を感じます」
「なに? 喧嘩でもするの?」
なに周囲と喧嘩しようとしているんですか、ヒルデガルド。
別にガンつけられてるわけじゃないんですから、周囲の視線なんて気にせずに進みますよ。
戦うのは魔物とです。
「うん、分かった!」
素直で良い子なんですけど、脳筋バトルジャンキーな性格設定はどうしてこうなったんでしょうか。
もしかしたら種族である程度、性格パターンが決まっているのかもしれませんね。
まあ付け替えない限りは成長し続けるので、矯正も可能でしょうけど……。
魔物と戦う分には不都合ないのでこのままでいいかな。
さあ早速、キラービーのお出ましです。
こいつとは昨日、散々やりあってますからね。
戦い方はパターン化してます。
〈サモン・ハウンド〉!
行け、ワンちゃん!
猟犬を囮にして毒攻撃を受けさせて、他の3人で攻撃します。
これで解毒ポーションを節約しながら戦うことができるんですよ。
ハウンドには可哀想なことをしてますが、効率を考えるとこうなります。
ちなみにプレイヤーのMPの自然回復速度はかなり早くて、ゼロから全快まで10分で全快するペースです。
戦闘中は自然回復が遅くなりますが、初心者ダンジョンのボス戦でもMPを使い切らなかったので余裕があります。
私には【MP増加】もありますしね。
多分、プレイヤーが強制魔法使いなので魔法使いたい放題な仕様なんでしょう。
代わりにというか、パートナーのMP自然回復はプレイヤーに比べてかなり遅くてゼロから全快まで1時間もかかります。
だからハウンドを使い捨てにしてもゲーム的には問題ない、というわけですね。
……動物愛護的には問題ありますけど。
さあ昨日の場所までは一気に進みますよ!
◆
出てくる魔物といえば毒をもつ蜂キラービー、牙の大きな猪レイジングボア、鋭い爪で引っ掻いてくる兎ラビッドラビット、樹上から投石してくる猿オーバースローモンキー、人間ほどの大きさの蟷螂リトルマンティス、鋭いくちばしをもつ烏グリムビーククロウ、などなど動物や昆虫ばかり。
特に兎は被ダメージが避けられませんし、猿にもよく奇襲されます。
またグリムビーククロウは必ず集団で現れるためこちらもノーダメージで切り抜けるのは難しい相手です。
初心者ダンジョンから続投しているキラービーとレイジングボアは安心して戦える相手なんですけどね。
人間並みの大きさでリトルなどとつくカマキリは森の奥に登場するジャイアントなカマキリの伏線でしょうか。
一体、どれくらい大きいのか楽しみでもあり恐ろしくもあります。
とはいえこちらの陣営も負けていません。
エルダートレントのマーガレットの【鋭い枝】は殴りのくせして遠くまで届き、要所で【風魔術】の〈ウィンド・カッター〉を繰り出します。
セアカスパイダーのシャルロットは【壁歩き】で木に登り【粘糸】で魔物を絡め取る縁の下の力持ちを務めてくれてます。
フロストワイバーンのヒルデガルドは牙も爪も鋭く尻尾にすらトゲがあり、全身凶器のような奴です。
このうえ飛行したりブレスまであるというのだから強いとしか言いようのない活躍ぶり。
この森は1~2体のパートナーを連れたソロプレイヤーがクリアできる難易度であると思われるため、3体のパートナーを連れた私にはまだまだイージーモードです。
「メリザンド、この猿が魔石(3)を持っていました」
よしでかしたシャルロット。
そうです、シャルロットには【幸運】があるためか、彼女がトドメを刺した魔物からはよくレアドロップがあるのです。
また牙でクリティカルを出したところも見かけていますから、【幸運】はかなり適用範囲の広いの強スキルなようですね。
「あら、メリザンド。この草、普通の雑草とは違うようだわ。なにかしら?」
どうやらマーガレットが【薬草発見】で新しい薬草を見つけてくれたみたいですね。
どれどれ?
確かに雑草とは異なる独特な葉の形をしています。
ヒール草や毒消し草が葉を使ったレシピなので、一応この草からも葉を頂いておきましょう。
薬草学の授業は今週一杯ずっと初回授業と同じ内容なので出なくてもいいのですが、この薬草が何か先生に聞いてみたいですね。
いやそれより図書館に行って調べる方がいいかもしれません。
通常召喚で出てきたアイテムがどのように使われるのか、調べなくては。
ああもう色々とやることのあるゲームですね。
楽しい!
突如、森がシンと静まり返りました。
虫や動物の鳴き声も、風で鳴る木々が鳴らすさざめきも消えて、異変を明確に突きつけられます。
「メリザンド、周囲の様子がおかしいわ」
「気をつけましょう。何か危険の兆候かもしれません」
「え、強い魔物が出てくるの?」
はいヒルデガルド正解。
つくづく攻略サイト頼りで申し訳ないのですが、浅層のボス戦の演出です。
ちなみに何が出てくるかまでは知りたくなかったので、演出だけ見たらさっさとブラウザバックしました。
さて、何が出てくるかな?
静寂の森に音もなく突如として現れたのは、――巨大なカマキリでした。
なるほど、ここで伏線を回収しに来ましたか。
早すぎですよ!
ジャイアントマンティスです、みんな気をつけて!
「〈ウィンド・カッター〉!」
「糸で動きを止めてみます!」
「ブレスいくよーっ!」
私も戦いますよ!
〈サモン・ハウンド〉!
さあ総力戦です。




