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古(いにしえ)の薔薇  作者: Kazu
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オリビアという名の魔法使い

いつもありがとうございます。

宜しくお願い致します。


 東の塔に足を踏み入れ、軽い足取りでオリーの部屋へ向かう。


 現在、東の塔で部屋を持っているのはオリーだけのようで、人の気配がしない。

 ロウもそれを感じとっているらしく、周囲を警戒している様子もなく、穏やかな空気を纏っている。


(オリーに会ったら何を話そうかな~)


 心の中で、ここ数十年の出来事を思い浮かべようとするが、思い出されることはアリクウェードのことばかり。

 20年前、アリクウェードが襲われたときのこと、10年前アリクウェードに剣技を教えたときのこと、最近城下町でアリクウェードと再開した時のこと・・・・・・・


(オリーの娘さんが産まれたのって・・・・・40年程前のことだったかなぁ・・・・・?)


 そんなに昔のことでもないのに、正確に思い出せない。

 今までこんなことなかったのに・・・・・


 ここ数十年の思い出に思いを馳せていると隣からロウの咳払いが聞こえてくる。


『・・・・ローズ。行き過ぎてるぞ』


 オリーの部屋のドアの前を少し過ぎた所でロウを振り返っていた。


「・・・・・。オリーと何を話そうか考えてたら見えてなかったよ~」


 笑いながらロウの傍まで戻り、オリーの部屋のドアをノックする。

 部屋の中から笑い声混じりに「どうぞ。お入り下さい」と返事があり、勢いよくドアを開く。


「オリー!!お久しぶり~」


 ドアを開けると共に元気よく声をかける。


「ローズ様はお変わりございませんね」


 椅子に腰掛けたオリーから、笑顔と笑い声混じりに返事があり、ドアの外での様子がバレていたことに軽く肩を竦める。

 そのローズの様子にもオリーはクスクス笑いが止まらないようだった。


 数十年ぶりに会うオリーはシルバーの髪の艶も落ち、顔には数え切れないほどの皺が出来ていた。瞳はパープルとブルーのオッドアイではあるが、少し濁った印象をあたえるものとなっていた。


(・・・・オリー・・・・眼が・・・・?)


 表情を崩さず、明るい声音でオリーに話しかける。


「今回はこの姿で、薬師として王城に招かれたんだ~」

 ローズの言葉にオリーも()を伏せ、小さく頷く。


「ジョシュー様の治療ですか?」

「オリーは何でも分かるんだな。相変わらず・・・・ってことか~」


 それから暫く、前国王(ジョシュー)の病気のこと、以前施した魔法での治療のこと、これからの治療の計画等をオリーと話し合った。


 どの治療方法も有用ではないこと、せいぜい多少命を延ばすことができるかどうかだということがお互いに分かっただけだった。


「マリーも心配そうにしてたしなぁ・・・・・」


 小さく呟いたローズの言葉にオリーが小さく息をついた。


「マリー様が・・・・・。そうですか・・・・」

 やはりローズ様には見えるのですね・・・・と少しの間をおいて続けた。



「そう言えばオリーの娘さんは?今はどうしてる?」


 何気なくオリーに尋ねたが、その一言でオリーの表情が曇る。


「娘は・・・・・亡くなりました。20年前に・・・・・・」


 小さく小さく囁く程の声だったがローズもロウも聞き逃すことはなかった。


 弱々しく、年老いたオリーが更に小さくなったように見えた。


 ローズもロウも詳細を聞いても良いものだろうかと悩み、口に出すことが出来なかったが、小さく見えるオリーが小さな小さな声で語り出した。


「・・・・・王弟様が・・・・古い古い忌まわしき方法で王都をを破壊しようと・・・・・

 ・・・・・その犠牲に・・・・・

 

 突然のことでしたので、・・・・・ローズ様に相談することもできず・・・・・娘は・・・・・自らの命と引き替えに・・・・・

 ・・・・・王都を守ったのです・・・・・・・・」


 小さく小さくなるオリー。涙は涸れ果てたのかパープルとブルーのオッドアイからは生気のない様子だけがうかがえた。


「・・・・・そう・・・・。20年前に・・・・・・」


 オリーの遠回しな言い方でも、まだその時の傷が癒えておらず、はっきりと言い表せないことが分かる。

 そう言う悲しい出来事がないようにと、女児が産まれるときにはローズが立会い、封印を施しているのだ。


 20年前・・・・・記憶を探る。

 アリクウェードが襲われた後、暫くして急に空が荒れ出しそうになったことがあった。

 何事かと思い、慌てて王都に駆けつけようとしたところ、荒れると思われた空がおとなしくなった。

 今までにない、理解できない空の様子に数日(しばらく)空を眺めていたことがあった。


(あれがそうだったのか)


 オリーの娘さんは、オリーが『正しい相手』と結ばれたので、オリーの魔力(ちから)を受け継いでいた。魔法使いだったのだ。

 数少ない魔法使い。彼女たちを守る為に今まで努力してきたのに・・・・・守り切ることができなかった悔しさがローズを襲う。

 強く握りしめた掌から滲んできた血の匂いでロウが慌て、ローズを仰ぎ見る。


「分かっている。どうすることも出来なかった自分が許せないのだ」


 魔法使いの血には魔法(ちから)が宿る。僅かな血でも、善くも悪くも働くのだ。


「ロザリアナ様・・・・・」


 オリーが手をかざし、傷付いたローズの手を治療する。


「ありがとう。オリー・・・・・」


 温かい光に包まれ、次第に癒えていく掌を眺めながらどうすることも出来ない思いに、消えることのない哀しみに力が抜けていくのを感じていた。


「・・・・・。失礼致しました。ローズ様。・・・・お名前を・・・・・」


 言いかけたオリーに手をかざし、言葉を遮る。


「・・・・・いいのよ。伏せられた名前(ロザリアナ)は・・・・もう殆ど知る人のない名前だから。そう呼ぶ人もいないわ」


 瞳を伏せ、低く呟くような声であったが、オリーは小さく頷いた。


「でも、皆には秘密ね」


 最後は明るく、微笑みながらオリーに話しかける。

 オリーも表情を緩め、数回頷いた。



 それから、薬草室にローズの部屋の準備が出来るまで、王城に来てからのこと、ジョシューやアゼリアードに会ったこと、騎士団長殿に会い、剣術の指南を請け負ったこと等を話した。

 アゼリアードが相変わらず『聡い男』だったこと、騎士団長殿が思っていた以上に生真面目な性格だったこと等を話した。


 ローズの率直な感想にオリーも笑顔を零し、「そんなハッキリ言えるのはローズ様くらいですよ」と穏やかに返答していた。



お読みいただきありがとうございます。


まだまだ書き切れていない感じですが、これからもぼちぼちとボチボチ頑張っていきたいと思います。

書きたいことが上手く伝えられるように時々改稿もいたしますので、宜しくお願い致します。


今回は、先見の魔法使いオリビアのお話でしたが、人生楽しいことばかりじゃないといこと、魔法使いは特に思うところがあり、オリビアもまた辛い過去を抱える魔法使いの1人です。

魔法使いのことを思い、ローズの悩み苦しむところもこれからもっと上手く描ければと思っています。

(その辺りがもっと上手く描ければ・・・・もっと深い物になるのでしょうが・・・・)

精進致します。


週一回の定期更新を目指しております。

遅筆なのでかなり遅れることがよくありますがボチボチ更新致しますので宜しくお願い致します。

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