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ESCAPE from 異世界ナイトメア  作者: プリン皇帝
3/12

~もうリタイアしたい俺の冒険~

異世界に入ると言ったな、あれは嘘だ。

「えっ?えっ?女神!?使命!?いや、ちょっ!! なんすか、それええええええええええええ!?」



自称女神様のその娘は非常に満足そうな顔で仁王立ちしている。


うん、かわいい。女神様って言われても信じちゃいそう・・・じゃなくて!!


何だ、これは!なんだ、この状況は!!


はっ!ドッキリか!ドッキリ番組なのか!

「東京都にはびこるキモオタの実体をモニタリング!」みたいな番組か!


いや、それにしてはおかしい。

この真っ白に光る空間。カメラらしきもの、というか物体がひとつも見当たらない。

最近流行りのマジックミラーとか3D技術という線もあるが、俺が目をつむっている数秒の間にそんな大がかりなものを準備できるとは到底思えない。


と、なればこれは夢!?

俺は暑さでぶっ倒れて夢でも・・・

んな訳ねーか。自意識がはっきりしてるし、ちゃんと地面を踏みしめている感覚もある。


ということは・・・これはリアル?現実なのか?俺は今女神様と話してるのか!?


「えっと・・・すんません。 その~使命とかの前に今自分がどんな状況におかれてるのか教えてもらっていいっすか? まだ自分、ここがどこかとかあなたがどういう存在なのかとか、ザックリとしか聞かされてない、というか、全く知らないんで・・・」


いつもの俺の口調からは考えられないほど丁寧な口調で話しかけた。

相手が超絶美人な女の子ということもあるが、相手が本物の神様である以上、無礼な行いをしたら不思議なマナ的な力で消される危険があるからだ。


「あぁ~そうよね。確かにそれを先に話さないとね。じゃ!ちょっと面倒くさいけど話してあげるわ!」


「お、お願いします!!」


「う~ん、そうね~ じゃあまずここがどこか教えてあげるわ!」


女神様は一呼吸おいて言い放った。


「ここは神々、天使、人間界から天に召された者たちが住まう場所【天界】よ!! あなたたちの言う天国みたいなとこね!」


「て、て、て、天国!?」


そんな天国だって!?

そこに俺がいるということは・・・つまり俺は死んじまったってことか!?

そんな・・・後10年は悠々自適なヒキニート生活を続けていたかったのに・・・欲を言えば童貞を捨ててから逝きたかった・・・


「あっ!別にあなた死んじゃった訳じゃないわよ? 私の力を使って召喚しただけだし、使命が終わったらすぐ地上に帰してあげるわ!!」


「あっ、そうなんすか!?ありがとございますっ!」


「いや、別に謝らなくていいのよ?私が勝手に呼んだんだから当然のことよ!

じゃあ、次は私が誰なのかだけど・・・」


彼女はコホンと咳払いをし、お手本にしたいくらいのドヤ顔で自信たっぷりに叫んだ。


「私は天界連合日本支部6番隊隊長を務めるエリート女神であり!地上、天界、異世界問わず全ての男共の視線と愛情を独り占めする完全無欠の超絶美女神でもある!愛を司る女神リーべよ!!」


・・・なんだか少し気になることを言った気もするが、わざわざ掘り返すのも何かアレなのでそこには触れないでおこう。


「へ、へ~ そんなにすごい女神様だったんすね~ ところで、リーべさん? 何か天界連合とかいうあんまり聞き慣れない言葉があったんですが・・・」


しみじみと自分の言葉に浸っていたリーべはハッと我に帰り、慌てて俺の方を視て言った。


「あっ、あぁ~天界連合ね! そうか、これも説明しとかなくちゃね、うん!

天界連合っていうのは、まぁ簡単にいうと天界を統治したりとか、人間の住む地上を監視・管理したりする大きな組織のことよ! 2つの世界の面倒を見るだけあって、その組織には当然強力な力を持つ優れた神々、天使しか入れないのよ。 そして、私はその天界連合の日本支部の部隊の隊長! 更に、20部隊あるうちの6番隊の隊長! つまり、けっこう偉くてけっこうスゴいっていうことよ!分かる~!?」


・・・何だか途中からリーべさんの凄さ自慢になってた気がするが。


「な、なるほど~。よく分かりました。ありがとございますっ! で、その~先ほどから言っている俺に任せたい使命って一体何なんでしょうか? ぶっちゃけ俺そんなスゴい神様の助けになるようなことできる気が・・・」


「そうそう!それなんだけど・・・ ん~、これも事の経緯から話した方が良いかもね~ たぶん、使命だけ話されてもすぐに事態を呑み込めないと思うし・・・ じゃあ、ちょっと長くなるけど話すわ! あぁ、適当にくつろいでいいわよ? ここ私の部屋だし」


「あぁ~すいません。ではお言葉に甘えて・・・えっ!?ここってリーべさんのお部屋なんですか!?」


「えっ!?うん。そうだけど?」


おいおい、嘘だろ?産まれて初めて入った女の子の部屋が女神様の部屋だなんて・・・ こいつぁとんだサプライズだぜ!! ん?それにしてはずいぶん・・・


「ず、ずいぶんと殺風景なお部屋ですね。家具どころか、窓もドアも無いなんて・・・」


「いやいや、そんな訳無いじゃない!! 私の部屋はカラフルでかわいいわよ!? これは私の部屋全体を私の作った光のベールで覆ってるだけ!!」


「? 何でそんなことを?」


「いや~、その部屋がかなーり散らかっててね? いつもは綺麗にしてるんだけど、最近、バタバタしてて。 食べかけのお菓子とか脱ぎっぱなしの服とか下着がそのままで、あんまり人に見せたくないかなぁ~なんて・・・」


「あぁ~なるほど。わかりました・・・」


そ、そんな!?

ここに、俺が今座っているこの部屋の中に!?


この女神様の脱ぎっぱなしの服とか下着が!? 


くそっ!!さっきまで輝かしく見えていたこの光が死ぬほど憎い!! 

ふっ、しかし慌てることはない。

見えないのなら想像すればいい!

俺には2年間のヒキニート生活で培った妄想力がある!! 

さぁ、想像しろ俺!

インスピレーションを働かせるんだっ!!


「おっ、なんだか真面目な顔つきね! じゃあ話を始めるわ!」


「はい!よろしくお願いいたします!」


俺は話を真剣に聴くために前屈みになる。あくまで、真剣に話を聴くためにだ。


「まず、事の発端は1年くらい前だったかしら。 ある日、天界連合日本支部の第1番隊隊長から第20番隊隊長までの20人の神々が集まって天界や人間界の様々な問題点を話し合う会議が行われたの。色々な話し合いがされたのだけれど、その話し合いの最後に第1番隊隊長を務める、終焉を司る神ラグナが口を開いたのよ」


ーーー「最後に・・・これは私的な話になるが許してくれ。最近、我は職務や本部の神々との連日の会議で心身、特に心が疲弊しきってしまっていてな・・・ 何か娯楽が欲しいと思っているのだが、この天界の娯楽文化ははっきり言って遅れていて、我が好むようなものは見当たらないのだ。 そして、聞くところによると、今現在我々が管理している日本の娯楽文化はとても発展しており、世界的にも人気が高いらしいではないか。 ここまで言えばもう感づいている者も多いかと思うが、どうか忙しい我の代わりに日本の地へ降り立ち、日本の娯楽を調達してきて欲しいのだ!」ーーー


「いつも私たちをまとめ上げてくれるラグナの頼みということもあって、私たちはすぐに日本へ降り立って様々な娯楽をゲットし、ラグナにたくさんの娯楽をプレゼントしてあげたわ」



「へ~、いい同僚を持ってラグナさんも幸せっすね。ところで、何をプレゼントしたんすか?」






「マンガとかアニメのDVDとかゲームよ、現地の人が教えてくれたの」







「・・・ちなみに、マンガとかアニメのDVDってどういうのがありました?」











「たくさんあげたから全部は覚えてないけど、「ご注文はラビットですか?」とか、「ぎんいろモザイク」とか「あにまるフレンズ」とかだったかしら、現地の人が教えてくれたの」







「・・・ちなみに、ゲームってどういうのがありました?」









「う~ん、ゲームは私の管轄外だったからあんまり分かんないわね~。 でも、買ったものを集めて梱包するときにちょっと見せてもらったっけ? なんか、女の子がいっぱい描かれてるキラキラしたパッケージだったわ。 何でも現地の人にこれを勧められたとか」






「・・・最後にひとつ質問いいかな? どこでそれらを買った?」










「確か~、東京都の~、秋葉原ってとこね!」





・・・ぶっちゃけ、俺は先ほどから少し期待していた。


今までただただ毎日をネットゲームに費やしてきた、非生産的な人間の代表だと胸を張って言える俺。

世間一般でいうヒキニート生活を数年間続けてきた俺。

最近では親からも腫れ物扱いされ始めてきた俺。


そんな俺が今日突然めちゃくちゃ偉くてかわいい神様と出会い、その神様から天国で使命を言い渡されようとしている。


こんなんあれじゃん。 ラノベじゃん。 間違いなくラノベの導入のそれじゃん。


と、くればその使命だって現実離れした壮大なものに決まってるじゃん。


天界を侵略する魔王を倒すだとか、異世界で勇者として活躍してほしいだとか、天界に人間の代表で住んでほしいだとか。


やった! これで俺も陰キャ卒業! これからはラノベの主人公みたく美少女たちに囲まれて順風満帆な生活を送れるんだ! 俺が紡ぐ大冒険の始まりだ!


・・・なんて妄想してましたよ。 あぁ、してましたとも。


でもね、今の話の流れだとね。 秋葉原とか萌えアニメとかエロゲーとかが出てくる話の流れだとね・・・


「ねぇ~聴いてる~? まだまだ話は続くんですけど~」


俺は小さな声でつぶやいた。


「これ俺が望むような冒険になんねぇわ・・・」



















次回も説明回だぜ!飽きるなよ!

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