表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/32

セシル目線 第6話〜第7話

臭く、息苦しい袋の中に僕は詰められていた。


厚い袋のせいで外の様子はよくわからないけれど、多分商店街。

動いたら殺すと脅されていたけど、そんなものに負けるほど僕は弱くない。

助けて!と手を伸ばした。風に手が当たる。


手を引っ込めて誰かが築いてくれたことを祈る。

ガタイのいい男の荷物の上に一瞬だけ出た手など、誰も気づかないかもしれない。

それでも、もしかしたらーーーーーー






いつまででそうしていただろうか。

袋は揺れ続け、男たちは歩き続ける。


誰も助けてはくれない。うっすら聞こえる人の声も徐々に小さくなっていった。

もう、ダメか。そんな考えが脳裏をよぎって消えない。


ある時、また人の声がたくさん聞けるところにやってきた。

最後のチャンスかもしれない。



必死に暴れた。助けてと叫んだ。


誰か、誰かーーーー!!!






急に、男たちの歩くスピードが速まった。

さっきより袋が揺れる。


何が起こったんだろう?


しばらくして、急に袋が空いた。

冷えた湿った空気が流れ込む。

驚いていたら急に袋が大きく揺れ、二回、三回と揺さぶられる。


「うぐっ…」


袋から落ちた。逃げれる?と僅かに期待した。けれどーーー

周りを見ると、ひどく怒った様子の男たちに見下ろされた。


助けてくれる人はいなかった。ただ、男たちを怒らせただけだった。

殴られる。


「てめぇ!少しでも暴れたら殺すっつただろうが!」

「殺すぞ馬ッ鹿野郎!」


殴られた頭がガンガンする。

喉の奥、鼻の奥に血の匂いがした。


負けじと腕で顔を覆っても、大きな男たちに体術で叶うはずはなく。

ただ傷が増えていく。


死ぬ、そう思ったその時。



「この、幼児虐待!何やっている!今すぐやめなさい!」


少し遠くの家具の陰から、小さな少女が躍り出てきた。

チェリーピンクのツノが頭から生えている。ドレスの裾から見える、同じ色の不思議な細長い尻尾がぶんぶんと揺れていた。

ピンク色の長い髪を一つに結んだ、見たところ僕と同い年の子。

大きなチェリーピンクの瞳が凛々しく僕たちを見つめていた。

獣人らしいのに、髪についている白い羽根の髪飾りで、天使のように見える。

助けに、来てくれたーー?


「おい、お嬢ちゃん。こんな路地裏で一人でいたらアブネーよ?」

「くふっふふ」


案の定、にやにやする男たち。

ハッと我に帰る。あんな小さな体で男たちに敵うはずがない。魔法だって使えなさそうだ。

あぁ、何をやっているんだ。お前まで攫われたらどうするつもりだ。早く逃げろ!

そんな言葉が喉から出てくるが、殴られた衝撃でうまく言えない。


「私に触ったら火傷するわよ!」


そうこうしている間に、少女は顔に手を当て恥ずかしいセリフを平気で言いだした。

どこか得意げなのが余計こっちまで恥ずかしくなってくる。


「あなた方はこれでイチコロです!」


その辺の木の棒を拾い、得意げに前に掲げた。

馬鹿なのだろうか、あの子。


そう考えたその時。


「ちょっ、ちょわーーーー!!」


その子は思いっきり木の棒を振り回しながら敵駆け寄りだした。

馬鹿だ。回れ右して早く逃げればいいのに!


しかも、男たちの前で少し止まってちょっと悩んでるし。

決めてから駆け寄れ!せめて!


だけど、そんな考えは次の瞬間一気に吹き飛んだ。


「えっ、えっと……吹き飛ばし!」


少女らしい小さな声で叫んだのは、技名だろうか。


細い腕で振り回した木の棒、それに当たった男が爆風を巻き上げてレンガの壁に突っ込んだ。


しゅうう…


物語みたいにレンガの壁に頭からめり込み、痛そうだ。

日陰で冷えた路地裏の空気が間違いなく固まった。



絶句した。


僕が座り込んだまま呆然としていると、女の子は無事な方の男をチラッと見る。


案の定、ひいいっと悲鳴を上げて逃げて行った。


「あの、ちょまっ」


慌てたように少女が叫ぶが、男はすでに人通りの多いところに紛れ、いなくなった。

残された、めり込んだ男と見知らぬ女の子と僕。


ーーーーーーーどうしよう、僕も逃げようか。

助けてもらったけど、ふとそんな考えが脳裏をよぎった。

セシルちゃん目線

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ