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プロローグ
その夢は結末から訪れた。
目の前に広がる世界のなんと凄惨たることか。
そこは荒野だった。
荒れ果てた大地と曇り空。色彩を失ったかのような景色のなかで唯一それは異様な存在感を以て目の前に横たわっていた。
全身から血を流す少女の死体だ。
場面は少しずつ巻き戻されていく。自分の絶叫が口へ吸い込まれ喉を通り腹へと押し戻されていく。全てがゆっくりと巻き戻されていく。
不思議と思考だけはその流れに逆らっていた。
(一体何が起こったというのか。)
このまま逆時の流れに身を任せていれば、きっとそのうち知ることになるだろう。しかし両目は固く閉ざされた。真っ暗な視界に水が流れ込んでくる。
(これは……涙?)
おれは、泣いているのか。次の瞬間沸き上がるように感情が溢れてきた。
こんなことってないよ。こんな、終わり方。こんな。おれは、一体、今まで、何をしてきた。お前の為に。何をしてやれた———————
強い後悔の念に襲われる。
(その理由は、理由を、どうして、何があった?)
固く閉じられた瞼の裏に光が満ちる。光の中へと意識が引かれる。
夢から覚めるとそこは誰もいない教室だった。