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朝食の席

ヴィオラの実家は貧乏なので、贅沢とは無縁だったのです☆

ダリアとミモザに案内されて、公爵家のメインダイニングに到着した私。

そこは『何人掛けですか~?』と聞きたくなるような大きな大きなテーブルが置かれてあり、『何人前の朝食ですか? え? もしかしてバイキングだった?』と疑いたくなるような数の料理が所狭しと並べられていました。てゆーか、朝からこの量は無理でしょう。いやマジで。


先にこちらで待機していたロータスが椅子を引いてくれ、そこに私は腰掛けました。

圧巻の品ぞろえ……ではなくて、どう考えても一人前ではなさそうです。

「あの~、ロータス? これは一体何人分なのかしら?」

じと目で料理たちを眺めながら、隣に畏まるロータスに尋ねました。

「もちろん奥様おひとり分にございます。まだお好みが判りませんでしたので、色々とご用意させていただきましたが、お気に召しませんでしたでしょうか」

それが何か的な感じでロータスがしれっと答えてくれました。


が。


サラダだけでもちぎって盛っただけの素朴な生野菜のサラダ、ポテトサラダ、中華風サラダにニース風サラダがあります。スープはポタージュのようです。卵料理はベーコンエッグにハムエッグ、スクランブルに出汁巻。ボイルしたウィンナーに、蒸し鶏、……そしてフルーツだのヨーグルトだの。パンも各種取り揃えられています。って、ほんとに何人前ですかっ!!

自慢じゃありませんが、実家では野菜が少し入ったスープとパンだけでしたよ。それに朝からこんなに食べられませんし。いきなりのごちそう(ってまだ朝食だけど☆)に、胃の中でテロが起きること間違いなしだわ。


私が相変わらず半目で料理を見据えながら、

「旦那様もこんな感じで朝ごはんを召し上がっているの?」

ロータスに尋ねると、

「はい。旦那様の場合毎日お好みが変わりますので」

驚きの事実が判明。

毎 日 好 み が 変 わ る だ と ?!

「まあ、そうなの。でも確実に余っちゃうわよね?」

なんて贅沢なことをしているのでしょうか、旦那様は。そんなヤツはもったいないオバケに呪われてしまいなさい!

「ええ、それは……」

それまで流暢に話していたロータスが、言い淀んでしまいました。しかしそんなロータスに構うことはありません。

「それはもったいないです。私にもこれは不必要ですから、明日からはパンひとつとポタージュと、美味しそうだからニース風サラダだけでいいですわ」

私はきっぱりといました。

「後はお召し上がりになられないのですか?」

困惑気味のロータス。

「ええ、こんなに食べられませんもの。残りはお昼ごはんや晩餐に回してちょうだい」

そう言いながら、私は手前のお皿にぽいぽい、と目当てのものを取り分けます。あっという間に朝食ワンディッシュの完成です! 後はミルクティで完璧ですね! フレッシュジュースなんて贅沢品。贅沢は敵なのです!(実家の合言葉☆)

私が勝手に取り分けたワンディッシュに満足な視線を向けていると、おろおろとしたロータスが、

「そんなことはできません。きちんとお昼も晩餐も準備させていただきます」

慌てて言いますけど、実際これだけの料理を廃棄なんてもったいなすぎます。私までもったいないオバケに祟られてしまいますよ。不本意すぎるわ。そんなの御免よ。

「私、冷めていても平気よ?」

「そういう問題ではございません!」

「ではどういう問題?」

「天下のフィサリス公爵家が、奥様のお食事をケチって冷や飯を食わせているなどとあっては面目丸つぶれという問題でございます!」

もはやロータスの顔色が変わっています。

「そんなことないのに……」

「ございます!」

「では、このお料理は有効に活用してくださる?」

「……わかりました。こちらは賄いとして使用人で再調理させていただくことといたします」

しつこい私にとうとう折れたロータスです。でも、手を付けなかったからとはいえ、私の残りを使用人に食べさせるなんて申し訳ないわ。

というか、むしろその再調理された賄いを食べてみたいかも……。

「では、その再調理されたものをお昼に出してくださる?」

「えっ?」

「本当に私こんなに食べられませんから、お昼はサラダとパンと卵料理でいいのよ。晩餐には蒸し鶏とウィンナーがメインで、サラダ、ポタージュ、パンでいいです。あ、もちろん量は控え目でお願いします」

私は目の前の料理から考えて、この後の食事の献立を立てました。リメイクなのに実家にいた時よりもかなりの豪華メニューなのは悲しい事実。

それでもロータスはちょっと焦り気味です。

「お、奥様……」

「本当にこんなに贅沢なお食事は要らないの。ね、お願い」

平凡な私ですが、お願いポーズはかわいく決めます。座っている私がロータスを見上げると、自然に上目遣いになりますしね。瞳はウルウルさせるとなおよろしいかと。

「……わかりました」

またもポッキリと折れたロータスでした。





今日もありがとうございました(*^-^*)


次話も短いので、ぽぽん、と投稿します。

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