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披露宴は女子トークで

 カレンデュラ様とうちでお茶をした次の日、王宮で一の姫様の結婚披露宴が開かれました。


 うっかり忘れがちですが、私は公爵夫人。しかも超名門の。


 ということはもちろん参加ということですよね〜。逃げられないやつですよね〜。

 今日の主役はなんといっても花嫁様。私は目立たないよう、そっと壁の花にでもなっておきましょう!




「今日はお仕事じゃなかったんですね」

「そのために昨日まで頑張ってきたんだから」

「あら、なぜ?」

「ヴィーのエスコートは絶対に僕!」

「そこですか!」

 昨日までバタバタとお忙しそうだったのは、今日の休みをもぎ取るためでしたか。

「サーシス様が仕事で欠席なので、私も欠席という手もあったのに〜」

「それはないでしょ」

「デスヨネ〜」

 無駄なあがきでした。


 旦那様にエスコートされて向かった大広間は、すでにたくさんのお客様で賑わっていました。

 華やかなワルツが、この佳き日を盛りたてています。


「このたびはまことにおめでとうございます」

「おめでとうございます」


 まずはフルールの国王様と王妃様、そして今日の主役の新郎新婦にご挨拶です。

「ありがとう!」

 そういって輝くような笑みを浮かべる一の姫様。幸せそうで何よりです。

 隣でニコニコしている新郎様は、とびきりの美形とかではありませんが、優しそうな人です。とろけるような瞳で王女様を見てる……それは新手ののろけですね!

「姫様の旦那様、とってもお優しそうですね」

「そりゃ優しいというか器デカくないと、あの王女の旦那は務まらないよ」

 こそっと内緒話したんだけど、旦那様、毒吐きましたね!


「こちらがアンバー王国の若き国王とお妃殿だ」

 姫様たちにご挨拶が済むと、国王様が隣にいた隣国国王夫妻を紹介してくれました。

 知らない人が国王様の横にいるなぁとは思っていましたが、そうですか、アンバー王国の国王様ですか。

 うちの旦那様に負けず劣らずの美形っぷりに驚きました。こんな美形、ゴロゴロいたら眼福……いえ、心臓に悪いわ。

「ご機嫌麗しく。フィサリス公爵にございます」

「妻のヴィオラでございます」

「うむ。公爵にはもう何度かこちらで会っているな。こんな美しい妻がいたのか」

「はい」

 おい旦那様。そんな照れもせずしれっと答えないでください! それ社交辞令ですよ、はいっていっちゃダメなやつですよ!

 クラクラしていたら、王様の横の美人さんがひらひらと手を振っていました。

「初めまして〜! 私はレティエンヌよ。レティって呼んでね!」

「「え?」」

 割とフランクな王妃様ですね! ……違くて。


 王妃様、うちの娘と同じ愛称じゃないですか!


 私と旦那様が二人して驚いたので、

「あら? どうかした?」

 王妃様が不思議そうに小首を傾げています。

「失礼いたしました。我が娘と同じ愛称だったもので」

「まあ! そうなの? 娘ちゃんはおいくつかしら? 愛称はレティなら——本当のお名前はなんていうの?」

 旦那様が美形オーラ全開スマイルでフォローすると、王妃様がノリノリで質問してきました。

「バイオレットという名で、まだ一歳でございます」

「まぁぁぁぁ! かわいい盛りじゃないの。お二人のお子様なら、さぞかしかわいいんでしょうね〜。連れてきてくださったらよかったのに。うちは息子一人で、女の子がほしいのよねぇ——」

「ストーップ。レティ、話はまた後にしなさい」

「はあい」

 まだまだ続きそうな王妃様トークに待ったをかけたのはアンバー王。さすがです。

 私たちの後にもご挨拶待ってる人がいますからね! 




 新郎新婦を中心に、和やかな宴が続いています。

 キョロキョロと会場内を見ましたが、カレンデュラ様の姿はありませんでした。

 あの方がいたらその場がぱっと華やぐから、いたら絶対わかると思います。きっと宣言通り、部屋でお茶でもしてるんでしょう。

 カレンデュラ様の旦那様というお貴族様も見つけられませんでした。さすがにアンバー王国の貴族年鑑までは頭に入ってないから、顔だけではわかんない。


 今日は主役の二人が頑張ってくださってるので、ダンスのお誘いもほとんどありません。旦那様も、お知り合いの方と話してたりなので、私はいい感じに暇です。

 これは当初の計画通り、壁の花になってても大丈夫ですね!

 私がいそいそとサンクチュアリを目指していると、


「ヴィーちゃん、見つけた!」

「いらっしゃーい!」


 壁際のテーブルで集ってるアイリス様たちに捕まりました。う〜ん、捕まるっていうのもなんだけど。

「御機嫌よう! みなさま、ここで女子会ですか?」

「そうなのよ。なんか気が付いたら集まってたの」

「「「「そうそう」」」」

 ウンウンと頷くお嬢様方。

 アイリス様、サティ様、ピーアニー様、アマランサス様、そしてバーベナ様。フルメンバーですよ。


 私の分の椅子を用意してくれたので、私も女子会に混ざることにしました。


「今日はいい披露宴ね〜」

「姫様の旦那様、優しそうな人だわ」

「めちゃくちゃ美形ってわけでもないけど」

「顔より心でしょ」


 女子トークは多少の毒も含みつつ、楽しく盛り上がっていきます。

「アイリスさんの結婚式はいつ頃なのかしら?」

「もうすぐ招待状を出せると思いますわ」

「わたくしはこの人を『お義姉様』って呼ばないといけないのね」

「あら、なにか文句でも?」

「ありませんわぁ〜! おほほほ!」

「文句はお兄様におっしゃってね」

「そうするわ」

 そうかぁ、アイリス様はバーベナ様のお兄様と結婚するから、バーベナ様の義理の姉になるのかぁ。なんか新鮮。

「アイリスさんはいいとして、バーベナ様はどうなりました?」

「へ?」

「バーベナ様、サージェントさんとは進展してますの?」


 ずいっ。


 お嬢様方がバーベナ様に詰め寄りました。ひぃぃ。

 バーベナ様はアマランス様の弟——ナスターシャム侯爵家のサージェント様といい感じ(・・・・)になってるんですよね〜。

 以前、オペラ宮で観劇デートされてるところに偶然出くわしたこともありました。


 この話、私も聞きたいっ!


「オペラ宮でのデートのあと、他にもどこか行かれたんですか?」

 私も全力で乗っかっていくよっ!

「はっ、はぁ? ヴィオラさんまで!?」

「あらぁ〜、オペラ宮でデートされたんですか?」

「いいですわね〜」

「え〜と、確かあの時サージェントは『劇見た後食事してくる』って言ってましたよ」

 真っ赤になってるバーベナ様の横で、アマランス様が涼しい顔して暴露してるのウケる。

「あら、あのあとお食事デートされてたんですか?」

「デ、デートなんてもんじゃないわ! ただご飯を食べただけよ。ただの食事」

「その後も何度か食事行ってますよね?」

「アマランスさん?!」

 アマランス様、新たな情報ブッこんできました。意外といいキャラしてる〜!!

「お食事デートですか! ほぉほぉ」

 アイリス様もニヤニヤしています。

「何度か食事しただけよ! はい私の話は終了! 他にはなくて? ほら、サティさんとか、ピーアニーさんとかアマランスさんとかっ!」

「えぇ〜? 私たち、ここで話せるような恋話、持ち合わせてませんわ」

「今日も良い方を探そうと思ったけど」

「アンバーの方って、国外でしょう?」

「遠距離もなぁって……」

「「「もうちょっと国内ここで頑張りますわ」」」

 お三方はまだ当分活動継続のようです。


 アイリス様が結婚秒読み段階に入られたから……次はバーベナ様でしょうか?


今日もありがとうございました(*^ー^*)


バーベナ様のオペラ宮デートのお話は、『周辺状況〜』の51話目にあります m(_ _)m


バーベナ様のお食事デートの小話は、今日(9/20)の活動報告に載せてありますm(_ _)m

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