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オモイノカタチ

紫陽花とお馬さんゴッコ状態で数十分経過。

あれから紫陽花は一言も言葉を発せず、ただジッと苦虫を噛み潰したような妊婦さんが酸っぱいものを口にしたようなあの微妙な表情で私を上から覗き込むように見つめていた。……何よ、このいや~な状況は。淑女で色んなところが新品な私にとって、精神年齢が幼稚園児な彼奴にマウントを取られているこの状況はプライド的な意味でムカつくのは勿論の事、精神的に犯されているような気分になるのよ。客観的に見れば、どう考えてもこれから一緒にやっちゃおうゼな現場なのだけど。ゲッー、私は普通なおにゃの子です。貧相な胸にときめかないし、お人形んさんのようなその顔立ちに惹かれたりしないし、ましてや同性に興味を持ったり……しない、です。


「…………向日葵の残念おっぱい」


紫陽花は無言の間の後、小動物のような小さな口をもぞもぞと動かす。

……ようやく口を開いたかと思えば、いきなり私への暴言なのか。ヌァーくぬぬぬぅ……この無礼な奴に対する報復として、奴の生態日記帳もとい交換日記帳を家族や知人やご近所さんに晒して恥ずかしい生態をこの地から世界に発信して、生き恥を晒してやりたいのよ。果たして交換日記帳なんぞがあるのかどうかは知らないのだけど。


だけれど、今の……紫陽花の暴言もとい言葉は普段の私に対する暴言と違って、何やら不思議な感覚がした。いや、暴言そのものが心地良いとかそういう変態的な意味ではなく。……どうもその紫陽花の言葉が私に対してのものではなく、自分に対して言い聞かせているような……とにかくそんな感じがしたのだ。無論根拠なんかないし、あくまで私の感覚だけの話なのだけど。……気付けば私の頬に何やら滴が垂れていた。……涙、私は流していない。


「ぐす……ひぐっ……ふぇええ……ふえ……」


……あ、あぼーん。

出ました、本日二度目のあぼーん。一日に三回あぼーんが出れば、爆発します……私が。

それはともかく、紫陽花は私を罵倒したかと思えば今度はしょっぱい涙をボロボロと出していた。や、やだ……ナニ、この子。もう意味分かんないのよ。チュッチュ、暴言、泣く……コドモの三大イライラ要素をクリアしちゃったのよ。もしかして私の顔をジッと眺めてたら、あまりの私の顔面偏差値の高さに感極まって思わず泣いちゃった……とか?ナニ、自分のツラを鏡で拝んで来い、って?やかましいっ、言い過ぎたけれど、きっと私の顔は顔面偏差値50くらいはあるのよ、たぶん、きっと。


それはともかく、今のこの状況……下半身が無防備まっぱな少女が泣きながら高潔な淑女の上をまたがっている。……第三者がこの光景を見たらどう思うだろう。間違いなく、あらぬ良からぬ誤解を受けるだろう。そして、妹好き好き大好きぶっちゅうううな秋桜がこの光景を見たらどう思うだろう。うん、間違いなく頭から煙を出して憤怒の権化になるだろう。そして、妹を慰み者にした私を拉致・監禁の上、言葉では言い表せないような酷い拷問をするだろう。ああ……無常やな。いやですいやですいやです、私はまだ人生をゲームおーばーしたくありません。そんな結末を迎えない為にはまず、この家の輩に見つからないことそれが第一前提ね。そうすれば、あの重度のシスコン秋桜には見つからない……。


「もぉ、二人とも何時までおトイレに時間かかってるのかなぁ……もしかして、二人ともお固い方……って、ギャー! 向日葵と紫陽花がお馬さんゴッコしてるーっ!!」


放心状態の紫陽花のマウントから抜け出そうと試みた瞬間、鈴の絹を裂くような黄色い悲鳴が聞こえてきた。ああ終わった、私、日向向日葵は終わりました。淑女で高潔で清潔な私の尊い人生は今大勢のお水のガイズに見送られて幕を閉じたのでした、おしまい。……コラ、終わったらそこで物語が終了しちゃうのよ。今、鬼のパンツを装着した半裸イケメンズに天国への階段に続く道に見送られるシュールな光景を思い浮かべたじゃないのよ。それはともかく、第一前提が崩れた今、私がするべき行為はたった一つ……口封じ。別に、口封じと言っても瑞々しいお口でキスとかいうロマンティックな訳ではなくて。お口をチャック……つまり、鈴とかいうロリを始末……というのは半分冗談なのよ。


「ひ、ひ、ひなわりと……あ、あ、あじちゃいが……エロ同人誌みたいなことしてる……! ひ、ひっ、ひわなりとあっ、あ、あじちゃいがエロ同人誌みたいなことしてるー!!」

「はっ……! り、鈴……!?」


いきなりのヒス女みたいな甲高い声に紫陽花は悪さをして親に見つかった子供の様にビクリと反応する。本人には衝撃的に見えたのか、鈴は私と紫陽花を交互に指差して大声で叫ぶ。に、二回言わんでよろしい。え、エロ同人誌ってなんなのよ、このやろ。そして、鈴の尋常ならぬ慌てぶりと、目の泳ぎっぷりからしてどう考えても鈴が私と紫陽花に対して不適切で良からぬ妄想をしていることは一目でわかる。ま、まずい……早く何とかしないと。この場で誤解を説くには時間がかかりそうだから……正気に戻った紫陽花は紫陽花で不安と焦燥が入り混じったような表情をしているからどう考えても役に立ちそうにない。……もう実力行使しかないじゃないのよ。


「むぐっ」


私は咄嗟に、私の上に跨る紫陽花を押しのけて目の前で囀る鈴のお口を塞ぐ……もちろん、手で。


「うっー、うっうっうぅ~~!!」


鈴は自分の口から私の手を離そうと必死に私の腕を掴んでくるが、小学生の力に淑女な私が負けるはずもなく。きっと、『私を食べても美味しくないですよー』的な事を言っているのだろう。お口を無理やり塞いでいるせいで鈴の唾液が私の手に纏わりつくが、仕方ない。これもそれもあれもどれも紫陽花のプライドおよび私の処遇を何とかするためにしていることなのだから。


「お、お、お前……何やってる。いくら此奴が生意気だからって……その、犯罪は駄目だ」


正気に持った紫陽花は不良娘を諭す父のようにしみじみとそう言うと、私から気まずそうに目を逸らす。こ、このガキ……お前の社会的な将来性の為にやってやってるのに。キィ~~もうここまで来たら私たちは後にも先にも引けないのよ!!ならさっさと、覚悟……って、何なのよこの小芝居は。ちぃーっとも面白くないじゃないのよ。


「ど、どうした! 鈴っ、おっきな声が聞こえてきたけど何かあったの!?」


あぁあああ、あぁああああ……。

壊れたオウムのような声で叫ぶから……秋桜を筆頭に、鈴の悲鳴を聞きつけた家の住人がゾロゾロと密に群がるフンコロガシのように集まってきた。中には血相を変えた妊婦の鈴ママ、青春らりあっとをカマシテ気絶させた鈴パパ、死に掛けのじいさんばあさんがいた。何でこんな時だけ年寄りはパワフルなのよ、コラ。


「けほっこほっけほっ……ふ、ふぇえええんっ、ひ、向日葵のバカぁ……無理矢理……何て、ひどい、酷いよぉ……」


私の手から解放された鈴は、その場で蹲り、マジ泣きしながらそんなことを言う。こ、こら、中途半端に無理矢理とか言うな。その姿に尋常ではない何かを悟ったのか鈴の家族ズは鈴を囲って心配そうな表情で必死に介抱している。そして何故か、紫陽花は自分が今どういう状況か分かっていないのか、未だに下に何も身に着けずじぃーっとその場に突っ立っていた。ま、ますます大事になってるじゃないのよ……くう、こ、この場をやり過ごし誤魔化す策……か、かくなる上は。


「ふ、ふえ?」

「ぐ、ぐえっ……こ、コラ! 何するんだっ向日葵……!」


私は囲まれている鈴を無理やり立たせて、自分の下へ引っ張る。続いて、何故か棒立ちの紫陽花も自分の胸元へ引っ張る。そして、準備は整った。


『フ、フハハハハ! このバカ娘と幼女は人質にとったあ!! 返して欲しくば今すぐいちおくえんを用意しろお!!』


……。

おかしい、何かがおかしかった。






…………。


カァ、カァ、カァ(カラス:バカだなァ、君は)。


「……君ね、おぢさんは暇じゃないんだ。この村は些細な出来事で大袈裟な事件に発展することがあるんだ。もう今日は帰ってもいいから……くれぐれも、もうこんな誘拐ゴッコは勘弁してくれよ、はいお疲れちゃん」


夕暮れ時。

私はジャパニーズポリ公に催され、村の駐在所から外に出てきた。その頃には雨はすっかり収まり、周囲には水溜りが出来ていた。山の天候は変化が激しいのね。


それより……何よ、あによ、にゃによ、何なのよこの超展開は。ポリ公に君はいったい幾つ何だ、とかイイ大人が……とか、君の親の顔が見てみたいとか、君の胸はとっても貧相だね(←言われていない)とか……散々なことを言われて私は正直、ムカムカしていた。そう、寝る前にお餅を食べて胸が締め付けられるようなあの感覚。おのれ……ポリ公め。あのポリ公の上長に『精神的セクハラを受けました』とか言って二階級落としてやろうか。そんな負け惜しみみたいな非現実的な事を考えながら私は外へと歩を進めた。


「向日葵」


すると、駐在所の目の前の電柱でセーラー服を着た女装野郎……もとい、秋桜が恋人でも待ち構えていたかのようにじぃっとその場で突っ立っていた。……何で、私の迎えがオトコノコ一人なのよ。VIP待遇にほど遠いじゃないのよ。せめてきゃわいいマスコットキャラでも立たせておきなさいよ。もしそんなマスコットキャラがいたら蹴飛ばしてあげるわ。


『……秋桜』

「……帰ろ」


秋桜はそう言って憔悴しきった私に手を差し出す。

……あれ?何で何も言わないの。私の予想では嫉妬に狂った秋桜が鉈で私の頭をかち割るくらいの事はするかと思ったのに、この反応。……もしかして、毒殺?撲殺?水殺?焼殺?圧殺?草津?……思わず、しょうもないことを考えてしまったのよ。お、恐ろしい。何もないのが逆に恐ろしいのよ。


「鈴のお家……出禁になっちゃったね」


まあ当たり前と言えば当たり前の措置である。

あの家族にタコ殴りにされなかっただけマシというものだろう。いくら冗談半分だったとはいえ、私はやり過ぎたのよ。……いや、あの時の私はどうかしてたのよ、きっと。そう、そうなのよ……多分あの時、私に悪霊が憑りついたせいであんなキチ●イ行為を……そうよ、そういうことにしておきましょう。


「それに、出禁にはなったけど、大丈夫……明日からも鈴と遊べるよ。鈴は『ま、まあ……明日からも私に付き合ってくれたらチャラにするもん!』とか言ってたし、きっと怒ってないと思うよ?」


秋桜は私を気遣ってか、私の背中をポンポンと叩きながらそう言う。

……まあ、そこを気にしていないと言えば嘘になる。だけれど、今はそのことよりも今の秋桜の態度の方が私にとっては気になるのよ。こう……モヤモヤした霧がかかったようなそんな気分なのよ。


「……どうしたの向日葵?」


何時まで経っても無反応で手を取らない私に不思議に思ったのか秋桜はそう尋ねてくる。

……不思議なのは私の方よ。嫉妬云々はともかく、あんな光景を見て、何とも思わない方がどうかしてる。ましてや、紫陽花はいくら生意気なガキだと言っても……秋桜にとっては可愛い妹のはず。妹が慰み者にされたら……(実際してないけど)怒り狂っても可笑しくないのよ。


『……ねえ、秋桜』

「? なに、向日葵」

『……あんたって、妹……紫陽花の事、好き?』


当然のことを私は秋桜に聞き出す。

別にその答えを聞きたいわけでなくて。答えは既に分かり切っているから。だけど、当たり前の返答の中に何か……秋桜の考えていることが分かると思って。直接的に『何で怒ってないの?』とは聞き出しにくいから。……いや、聞き出しにくいというよりはそんな質問に意味はないと思ったから。


「……ううん」


秋桜は首を横に振る。……な、なぬ?まさか、まさかの……。


「『大』好きだよ」


……だ、だよねー。

ま、紛らわしいこと言うな、バカ。私はホッと一息を吐く。普段からの紫陽花に対する秋桜の反応からして一見、秋桜が纏わりつく紫陽花を煙たがっているように見えるけれど。それは愛情の裏返しで、その実は二人はイケナイ大人的なホテルで一夜を過ごす、精神的にも肉体的にもとってもとっても仲の良い姉妹じゃなくて兄妹なのでした。……全然面白くないじゃないのよ。


『そ、そっかー……そうよね、たはははは』

「…………」


私がはにかむと、秋桜は右頬をたこ焼きのようにプクーッと膨らまし、ジト目で私を睨みつける。

…………。

な、何故ちょっと怒る?まさか今頃になって嫉妬の黒い炎が燃え上がった……とか?

うう、正直、誤魔化しようがないのよ。紫陽花が何で下半身無防備なのかとか突っ込まれたら答えようがない。強いて言うならば、『紫陽花は重度の露出狂だった……』とかいう苦しい訳しかできない。その際、紫陽花は変態チャンという不名誉な称号を贈与されるだろうが……仕方ない、成功はある犠牲のもとで成り立っているのだからそこは我慢してもらおう。


「……向日葵は何だかとっても嬉しそうな顔してる」

『そ、それがどうしたのよ……』

「じゃあ、向日葵は……私と紫陽花がハグしていても何とも思わないの?」


秋桜は私の顔を覗き込むようにしてそう問いかける。

その顔は無表情ながらも、どこか不安そうで私は何だかギュッと心の臓を鷲掴みされたような気分になった。


『そうね、この私の立派でたわわに育った果実の真ん中あたりが締め付けられるような気分になるわね……もしかしたら私は心臓に病を抱えているのかも』

「……素直に胸の内って言った方が早いと思う」


秋桜はジト目で私のマショマロ(女の武器)を見つめながらそんなことを言う。う、うるさいのよ……多少人より成長が遅いからって嫉妬するんじゃあないのよ。……異性だけどね。


「でも……そっか……そっか、ふふ」


何が嬉しいのか、秋桜は少しはにかむ。

……そういえば、この子って普段からあんまり笑わないのよね。可愛らしく怒ってる姿は度々、目撃するけれど。うーん……私もあまり笑ったことがないから何とも言えないけれど。その点、紫陽花は表情の豊かな子のような気がする、悪く言えば子供ってことだろうだけれど。何だろ、奇妙な言い回しだけれど秋桜より紫陽花の方が人間味があるってことかしら。今ここで生きているゾ、ていうか感じかな。そういう意味では秋桜と紫陽花は双子の姉妹ながらも似ていないような気がする。


「じゃあ、もう日が暮れそうだから帰ろ?」


秋桜は私の手を引き、連れて行く。

帰りも終始、秋桜は何だか機嫌が良かった。そして……握られた掌は何だか温かみがまるで感じられず、冷たいような寒いような……そんな気がした。






「おがえり゛ぃいいい゛い、にぃにぃいいいいい! 大丈夫だったぁああ!? 心配で心配で、びぇええええええ、うおえええええ!!!」

「うぉお゛おおお、向日葵! 俺の一人娘の向日葵ィ!! おいたをして警察に捕まった俺の一人娘の向日葵ィイ!! 小学生の高学年までなかなかオネショ癖が治らなかった俺の一人娘の向日葵ィイイ!!! ぱ、パパはなぁ……パパはとっても心配したんだぞぉおおお!!!」


日が殆ど暮れて、薄暗闇に包まれた頃。

秋桜と帰宅し、横引きの扉を開けた瞬間、ボロな泣きの紫陽花と何故かハイになってるうちのおやぢが玄関に飛び掛かる勢いで駆けつけてきた。ど、同時に叫ぶな、コラ。ていうか、何か今どさくさに紛れてとんでもないことをカミングアウトされたような気がしたけれど。


「にぃにいい、にぃにい、にぃいいいい!!!」

「紫陽花、うるさい」

「ガーンッ!」


紫陽花は秋桜に対してだいしゅきホールドをかますが、秋桜がソレを言葉で一蹴する。紫陽花は石になった。うーん、哀れな紫陽花チャン。


「向日葵ィ、向日葵っ、向日葵ィイイイ!!!」

『……ねえ、地獄ってどんなところか見たことある?』

「ひっ」


そして私に遠慮なく抱き付いてくる無遠慮なおやぢに対して私は思いっきり殺意の衝動をあてる。するとおやぢは、ヒキガエルのように床に尻もちをつく。しばらくぶりのご無沙汰で、テンションが爆発しちゃったのだろう。しかし、とっても心優しい私は、いきなりの乳の無礼な接触にも拘らず、許してやることにする。


「おかえりなさいましぃ~~……秋桜『旦那様ぁ』に向日葵『奥様ぁ』、ぬへへへへぇ……」


そして奥の部屋から今度はニヤケ顔をしたバカメイドこと、瑠羽が忍者小走りで私と秋桜の目の前にやってきた。な、何よその気持ち悪い笑みは。とてもじゃないけれど、メイドの片隅にも置けない子ね。そんな悪いメイドには生尻をぺんぺん叩いてやるわ。それはともかく、よくよく観察してみると瑠羽の口の周りに何やら食べカスが付着してあるのが妙に気になるのよ。


「……瑠羽、また冷蔵庫の……食べたの?」

「ぬなっ……!? お、お嬢様、もといお坊ちゃま、る、瑠羽は知りませんっ食べてませんっ冷蔵庫にあった『れあちーずぷりん』何て食べてませんっきっぱり!」

「ふーん……私の、『れあちーずぷりん』……食べたの」

「……はいっそんなとっても美味しいものは瑠羽は食べてま……はっ!?」


口は災いの元なり。

思わず、バカなメイドは知りえるはずのない情報を秋桜に漏らしちゃった所為で生尻ぺんぺんの刑に処せられたのでした。目の前では瑠羽の「ギャー、秋桜お坊ちゃま! 瑠羽の瑞々しいおケツを乱暴にしないで下さいぃい!」やら「ふぇえええんっ、いたいっ、いたいっ、へ、変な気持になってしまいますよう!!」などの悲鳴やら嬌声が間近に聞こえる。……女の子が女の子の生尻を叩いている光景何て初めて見たのよ。


「向日葵、行こ?」


瑠羽へスパンキングお仕置きを終了した秋桜はまたもや私の手を引き、奥の部屋へ引っ張ろうとする。こ、こら……わ、私の高貴なお手を触るではない……とは言えず、私はやられるがままになるのだ。


「……それと、頑張ろう……ね」


そのまま引っ張りプレイが続くかと思いきやいきなり秋桜はその場で立ち止まる。……頑張る?何を頑張るというのか。私、ふと、秋桜の眼先に視界を入れた。


「お帰りなさぁい、秋桜ちゃんに……向日葵ちゃん」


秋桜のほんの数メートル先……。

ピンクのネグリジェを身に纏った女性……秋桜と紫陽花の、ママハハである優香が笑みを浮かべて突っ立っていた。

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