CASE22.犯人ハ…
「あ…!」
あれからどれ位の時間が経ったのだろうか。
不意に紫月が声を上げた。
「紫月…?」
「分かった‥答えが…」
自分の考えが絶対に正解とは言い切れない。
ただ、そう考えれば全ての辻褄が合う気がした。
「最初に体育館に来た時。ヒントは其処に有ったの。」
「最初…?」
最初に体育館に来たのは、『箱』を探していた時。
左から二つ目の台の上に『箱』は有った。
そして吊るされていた二つの死体。
「7つの台、集められた7人…吊るされた死体…此れに法則があるとしたら…?」
「法則…?」
紫月の言葉に、四郎は集められた7人の名前を思い浮かべてみた。
一宮紫月
木ヶ山四郎
火野廉二
五木金弥
土橋六美
七瀬日向
三井秀水
そして、ふと気付く。
「全員名前に数字が入ってる…?」
「それも有るわ…でも、もう一つ入ってるもの…」
「…!曜日か!!」
紫月が大きく頷いた。
「苗字と名前に分けたとき、それぞれに数字か曜日かが入ってるの。」
紫月が再び吊るされている死体に目を向ける。
釣られるように四郎も其方へ視線を向けた。
長時間見るのはやはり辛い光景だ。
「後は、正位置か逆位置か…その法則に従って並べ直していけば…」
元々吊るされていたのは、金弥と六美の死体。
金弥は足側にロープが掛けられ逆さ吊りになっていた。
六美は首にロープを巻かれ、首吊りの状態。
つまり金弥が逆位置で、六美は正位置だ。
「曜日で並べるのか…」
「どっちで並べても答えは一緒になりそうだけど…」
「…」
「で、左から二つ目の台に箱があったのがヒント…左から二人目に来るのが…」
其処で紫月は言葉を切った。
少し言い淀む素振りを見せたが、紫月は覚悟を決めたかのように顔を上げた。
「ダウト!『火野廉二』!」
全てが確かに不自然だった。
火野の罰ゲームだけ異常だったのだ。
他の罰ゲームも確かに残虐ではあったが、運が良ければ生き延びることが出来る。
しかし、火野が受けた罰ゲームは確実に死ぬものだ。
「…一度、死ななければならなかったのよね…?私が、四郎を裏切る結末にするために…」
ギィ…
錆びついた音が静かな体育館に響く。
視線を遣れば閉じられていたはずのアイアンメイデンの扉がゆっくり開いている。
「流石、だな。確率は五分だったんだが…」
其処には死んだ筈の火野が立っていた。