「お前、俺以外の前でその顔すんな」
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終電間際のホーム。
ガタゴトと遠ざかる電車の音にかき消されるように、受けの背中が冷たいコンクリートの壁に押し付けられた。
「っ、攻め……!?」
いつもは理知的で、社内でも“感情を乱さない男”として一目置かれている同期の攻めが熱を帯びた目をしていた。
二人は十数分前まで居酒屋にいた。
同期の付き合いで参加した飲み会で、受けは隣に座った他部署の男から面白い話を聞かされて笑った。
ただそれだけだ。
それだけなのに、帰りの駅の改札を抜けた瞬間、受けは攻めに腕を掴かれ、人気のないホームの端へと連れ込まれたのだ。
「さっきの何?」
「っ?」
低い声で聞いてくる。
攻めの両腕が受けの頭の横で壁につき、逃げ場を完全に塞いでいた。
「なにって……ただの話してただけなんだけど……」
「俺以外の前であんな顔すんな」
「……は?」
攻めの目が暗い独占欲で揺れているのが分かった。
いつも冷静な攻めがこんなふうに感情を剥き出しにしているところなんて見たことがない。
「……お前、まさか嫉妬して……?」
「悪いかよ」
遮るように攻めの手が受けの顎を強引に上を向かせる。
「俺がどれだけ我慢してると思ってんだ。お前のその笑い顔も声も全部俺だけのものなのに……他の奴に晒すな。次あんなふうに笑ったら、今度はこんなもんじゃ済ませないからな」
「!?!!」
耳元で囁かれた低音に、受けは全身の血が逆流するような感覚を覚えた。
冷たい夜風の中、攻めの体温だけがやけに熱く、受けは心臓の音を聞かれないように必死で攻めのシャツの裾を握りしめた。
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