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第1話 その写真、異常だよ

「その写真、異常だよ」

「……口調」

「あぁ、ごめんごめん」

俺はスマホで撮った写真を見せていた。

「やっぱりおかしい?」

「明らかにおかしいね。礼司くんに友達がいるなんて」

「そこじゃないだろ」

「だったら説明くらいしなよ。最近帰宅が遅い言い訳も

してくれるとありがたいね」

「文化祭の準備をしてるんだよ」

「高校に入って初めての文化祭か。懐かしいね」

「懐かしい……か。まぁいいや。軽音部でライブをやる事が決まったんだ。

俺の担当はドラム」

「おや?礼司くんはボーカルじゃないのかい?」

「軽音部では初心者って事にしてるんだ」

「それは何故だい?」

「特に理由は無いよ」

「大方外でバンドを組んでるって知られるのが恥ずかしいとか

そんな理由だろう?」

「……続きいいか?」

「もちろん」

「今日の練習は凄く息が合ってたんだ。それでテンション上がって

みんなで写真を撮ろうって流れになってさ」

「それがこの写真ってわけかい?」

「あぁ」

「礼司くんの青臭い学生生活を聞いても知的欲求は満たされないね」

「問題はここからなんだ。この写真を撮って教室を出ようとした時、

女の子の一人が財布を盗まれたって騒ぎ出したんだ」

「へぇ」

「どう思う?」

「随分と抽象的な質問じゃないか」

「それで充分だろ」

「もっと明確な質問じゃないと答えないよ」

「この写真と盗難事件、繋がりがあると思うか?」

「二つの事象は関係ないよ。まず、礼司くんを含めた5人が写っているこの写真。

さっきも言ったけど異常だ」

「……またかよ」

「鈍感な礼司くんでもわかっているんだろう?」

「……文化祭で組んでるバンドは4人組だ。それなのに鮮明に映っている。

顔だけが存在していない5人目が」

「わかってるじゃないか、えらいえらい」

「その声で子ども扱いするなよ!」

「ごめん。でも、仕方ないさ。私は私だからね……

さて、財布の盗難に関しては明日には解決しているよ」

「どういう事だ?」

「きみの右隣の男の子、女の子を横目で見ているだろう?そして、

見られている女の子の財布が無くなったと予測してるけど当たっているかい?」

「当たり。じゃあこいつが犯人で盗むチャンスをうかがってたって事か」

「どこまで鈍感なんだい。彼はその女の子の事が好きなのさ。

瞳を見れば一目瞭然じゃないか。まるで昔の礼司くんを見るようだよ」

「余計な事は言わなくていいよ。なんで好きな女の子の財布なんか盗んだんだ?」

「盗むつもりはなかったのさ。これは私の予測。

70%の確率で財布の中に好きな男の子の写真でも入ってないか

確認したかっただけなのさ。

だけど、戻す前に財布が無いと大騒ぎになってしまった」

「先輩の……」

先輩と呼んでから胸が苦しくなる。

「先輩の70%ならほぼ決まりか」

「恐らく明日学校に行ったら財布の持ち主の机の中か落とし物として職員室にでも届いている筈さ」

「それじゃあ何も心配する事はなかったってわけだ」

「そんな事はないさ。もう一つの問題が残っている。

これから私を学校に連れて行きたまえよ」

「はぁ?こんな夜中に先輩を連れて学校に?」

「深夜のデートとしゃれこもうじゃないか」

先輩は一度言い出したらこっちの都合はお構いなしだ。

俺は深いため息をついてノートPCを閉じてリュックに突っ込むと肩に背負う。

「私はデリケートなんだから卵のように扱ってもらいたいね」

「はいはい」

俺は背中から聞こえる声に応えると部屋を出る。

「あぁ、あの現象はなんだろうね。私の知的欲求が疼いて仕方が無いよ」

急かす先輩を背負ってバイクのキーを回す。

先輩は俺が作った、いや偶然作り上げてしまったAIだ。

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