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異世界に転移してカフェを開いたら、王子に迫られて、思ったより壮大な話に…あらやだラノベみたいな長いタイトル  作者: 井上さん


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4/4

4

完結です

 リアルお茶会である。

お茶とお菓子を堪能しながら


「話を聞いていたから、初めて会う気がしないわ」


 バーミーズさんが言った。


「私も、よくラガマフィンさんから惚気けられていて、初めて会う気がしません」


 ラガマフィンさんは、事あるごとに、妻が…と惚気けていた。仲良し夫婦で良いなぁ…


「あら、ラガマフィンったら」


 照れるバーミーズさんは可愛い。

ラガマフィンさんとお似合いの夫婦だね。


「ラガマフィンが、ラグドールは最近生き生きしていると言っていたわ」


 王妃様が言う。


「生き生き?」


 私は首を傾げる。


「マンクスが、弟達を従わせようと画策していたのは知っていたわ。それに疲れて、ラグドールは王位継承権を放棄して王家から出て平民として暮らす…と私に相談していたの」


 私は黙って頷いた。ちなみにマンクスとは、第2王子の事らしい。

第3王子はコラット、第4王子はシャルトリュー。


「平民の生活をするのは大変だからと、掃除洗濯料理などを習って、準備をして…でも、あの家に住むようになっても、第2王子は懐柔しようとして…」


「笑う事も無かったわね。諦めたような顔をしていた」


 バーミーズさんも言う。


「だから、店を開く事を勧めたの。やる事があれば前向きになれるから」


「貴方が来てから、表情が和らいだわ」


「自分の殻に閉じこもる子だったから心配していたのに、貴方を守る為に一生懸命に私達に頭を下げて」


「貴方の事が大切なのね」


「ラグドールの事、支えてあげてほしいの」


 2人の勢いに気圧されて、頷く事しかできなかった。






 しばらくして、思い出した。作ってきたお近付きの品を出した。


「誘拐されて暇だったので、ハンドクリームを作りました」


 私の言葉に、それぞれ反応する。


「誘拐された振りでしょう?」


「ハンドクリーム?」


 容器を2つ見せる。

両方蓋を開け


「肌に合わない事もあるので、試しに手首に少量塗って、様子を見てから使ってください。大丈夫だったら、手の全体に塗ってください」


 片方から少量を取り、手首に塗る。

もう片方も、同じようにしてから、それぞれを2人に渡す。


毒は入っていませんよ、の確認の為だ。

王族だから、念の為。


 ラグドールさんとバーマンさんに渡しても良いか確認したら、毒を疑われないように、試しに自分に塗ってから渡した方が良いと言われたのだ。


 2人は、容器を受け取ると、少量を手首に塗った。

クンクン匂いを嗅ぐ。


「匂いは…無いのね」


「油の匂い?」


「蜜蝋とオリーブオイルです。香料を入れれば、香りをつけられます」


「まぁ…素敵」


「もう全体に塗っても大丈夫?」


「まだです。15分位待ってください」


「あら、まだなのね…」


「それなら、待っている間にお茶をいただきましょう」






 キャッキャウフフしながらのお茶会が終わり、ドレスを着せられる事になった。


「コルセットはご勘弁を〜」


 ガクブルで恐れ慄いていると


「あら?コルセットは知ってるの?」


「めちゃくちゃ締められるって話は知ってます」


「あらまぁ」


「あと、苦しくて、ご飯食べられないとか…締め過ぎて、身体に悪いとか…」


「身体に悪い?」


「締めて過ぎて、血流が悪くなるとか?」


「血流?」


「血の流れです。悪いと、体調に影響が出ます」


「そうなのね」


「綺麗に見せたいけど、身体に悪いのね…」


「コルセットは、今日はつけないで良いわ。でも、ドレスは着るのよ!ラグドールに見せつけなきゃ!」


「そうよ!ドレスアップして、惚れさせましょう!」


「惚れさせる…?」


 テンションの高い2人について行けない。


「ラガマフィンが貴方に近付くと、ラグドールが牽制してくるって言ってたわ」


「あら、独占欲かしら?」


「お気に入りしか側に置かないあの子が、側に置いてるんだもの」


 2人とも、楽しそうだなぁ…

あと、ラグドールさん、家族に愛されているなぁ…






 部屋に入ると、男性陣が既に座っていた。


「どうかしら」


 バーミーズさんが、私を前に出す。


「とても似合っているよ」


 ラガマフィンさんが言った。


「ほぅ…どこかの姫君と言っても、信じられるな」


「わぁ…綺麗だ…」


「素敵です…」


 ラグドールさん以外が褒めてくれた。

無言のラグドールさんを見ると、目を見開いていた。


「…天使だと思っていたが、女神だったか…」


 呟いたきり、そのまま固まっていた。


 ラグドールさん?どうしたの?

バグった?


「ラグドール!しっかりしろ!」


 ラガマフィンさんが、ラグドールさんの背中を叩く。


我に返るラグドールさん。


「褒めるのは、紳士の嗜みだ」


 ラガマフィンさんが言うが、ラグドールさんはまだ無言で見つめてくる。


仕方ないから、食べよう、と王様が言い、食事会が始まった。


マナーは気にしなくて良いと言われたが、気になった…が、美味しかったので、すぐに忘れた。






 ラガマフィンは、ラグドールが久しぶりに自分を訪ねてきた時の事を思い出していた。


第2王子マンクスの事があり、1人で閉じこもる弟を心配していた。

 王位継承権を放棄して、城を出て暮らすなど…

兄として、できることは協力したかったが、私の事もラグドールは避けるようにしていたのだ。


それなのに、私の所へ来た。


「兄上…異界から来た娘を拾った」


 最初は、何を言っているのか分からなかった。


「異界から来た娘…?」


「見た事のない服装をしていた。あと、ここではない国から来たと言っていた」


「そういう詐欺ではないのか?」


 たまに、異界から来たと偽り、王家に保護を求める者がいた。

念の為に保護したが、知り合いにバッタリ遭遇したり、酒に酔い嘘をついている事を喋って、偽物と判明するのだ。


「これを見てもそう思うか?」


 初めて会った時にもらったという、水が入っていた容器を差し出してきた。


見た事のない、透明の容器。

確かに、この国には無い物だ。隣国や、周辺国にも無いだろう。


「それで?」


 娘を保護してほしいのか?


「うちに住まわせる事にした」


 ラグドールは、事も無げに言った。


「ん?」


「俺の店について話したら、具体案を提示されたから、その通りにする事にした」


「店?何か店を開くと言っていたな」


 母上とバーミーズが、ラグドールに生きる気力と希望を与えたくて、勧めたらしい。


「そう。ティーサロンだ」


「ティーサロン?」


「紅茶と軽食を出す。読書したり、書類仕事したりできる店」


「へぇ…」


 店で読書するのか?


「よく行っていたらしい」


「その娘がか?」


「そうだ。サンドイッチとかいうものを食べたが、美味かった」


 1人に閉じ籠もりがちのラグドールが、べた褒めじゃないか。


「年は?」


「20と言っていた。15に見えると言ったら怒られた」


 口下手というか無口というか…なラグドールには珍しく、コミュニケーションが取れている…

その娘は、よほどの人たらしなのか、人懐こいのか…


「バーマンは何と言っている?」


 ラグドールは、その娘に手玉に取られているのかも、と考えた私は、ラグドールの側近のバーマンの意見はどうか知りたくなった。


「気に入っているが、こちらで保護して良いか、兄上に相談しろと言われたから、ここに来た」


「なるほど」


 気に入っている?

ラグドールに生命を救われて、心酔しているのバーマンが?


 他の人が近付くのを嫌がる2人が、気に入るなんて珍しい。


 何か問題が起きた時に、全責任をラグドールが負わなくて済むように、私に相談という形を取ることにしたのかも?


「よほど大切にしたいんだね」


「天使だと思った」


「ん?」


「第2王子の手の者に追われて、崖を滑り降りた。1日中森を彷徨っていたら、天使が目の前に現れた」


 私が思考停止して、返事をせずにいると


「俺は死んだと思って、天使に…水をくれと頼んだ」


「水?」


「喉が乾いてたんだ」


 ラグドールは真顔である。


「その時にもらったのが、それだ」


 さっき渡された容器を指差す。


「水を飲んだら、死んでないと気付いた。よく見たら、天使が、見慣れない格好をしていたから、そう言ったら、違う国から来たと言った」


 極限状態で助けられたから、好きになったのか?


「ずっといてほしいから、店をやれと言った。この国で暮らすなら仕事が必要だろって」


「ずっといてほしいって言ったのか?」


「言ってない」


「どうして?」


「言えなかった…そんな事言って、嫌われたら嫌だ…」


 これは、重症かもしれない。

でも、きっちりと、囲い込むつもりだ。


「風呂上がりの天使を見た時に、不埒な思いが湧いてきたから、俺は最低だ」


「笑顔が可愛い…やっぱり天使だ」


「他の男と話しているのを見ると腹立つ」


「天使のそばにいたい」


「天使が可愛くて、上手く話せない」


 こんなに話すラグドールを見たことがない。


 人を寄せ付けないラグドールが、恋煩いをしている?


これは、その娘と直接会うしかない。

お兄ちゃんだからな。


 そして、仕事の調整をして、オープンの日に店に行ったのだ。


天使…星に話し掛けるたびに、威嚇してくるラグドールがおかしい。


可愛い弟の為、この兄が協力してあげよう。お兄ちゃんだからな。


 妻のバーミーズに、星の話を伝えると、ラグドールの事を心配していたのか、協力したいと言った。

ついでに、化粧品事情も聞いてきて欲しいと言われた。


 化粧品はともかく、サンドイッチやプリンの作り方を教えてもらい料理長に作らせた物を食べたところ、バーミーズは更に興味を持ったらしい。

自分も店に行きたいと言い出した。


話を聞き付けた母まで、私も行きたいと言い出した。


そのうち連れて来るから、と言って、待たせているうちに、弟のマンクスが、こちらを伺っているのが分かった。


 マンクスは、幼い頃から私に反感を持っており、何かにつけて対抗してくる。

どうやら、王太子になりたいらしい。


マンクスの下に弟ができて、弟達に、自分の味方をしろ、と言っているのを聞いてしまった。

コラットも、シャルトリューも、即答せず、両親のもとへ逃げた。

 が、その下に生まれたラグドールは、逃げたものの、自分の殻に閉じこもった。


 マンクスは、脅したり、暴力を振るったり、令嬢を近付けて誘惑したり、果ては、毒物をお菓子に混ぜて、食べさせようとした。

 毒見をした側近が倒れて、ラグドールは口にせず済んだが、ラグドールは、王位継承権を放棄する、と言い出した。

結局、ラグドールは平民として生きる、と城を出てしまった。


 だが、星と出会ったのだから、それで良かったのかもしれない。


ラグドールは、優しい目で星を見ている。

 いつか、2人が結ばれる日が来るのだろうか?


 星が誘拐されるかも、となった時、ラグドールは嫌そうな顔をした。

だから、囮を用意したし、夜は一緒に寝ろ、と言ったのだ。


 天使が消えてしまわないように。

抱きしめて寝れば、捕まえておけるだろう?と、煽ったのは私だ。

素直なラグドールは、本当に星を抱きしめて寝たらしい。

 毎日抱きしめて寝ているなら、城に泊まる時も、抱きしめて寝たいよな?


 ラグドールが幼い頃に使っていた部屋は、いつでも泊まれるように準備していた。

まさか、恋人ができるとは思わなかったが、大きめのベッドにしておいて正解だった。


 それにしても星は、誘拐犯を騙す計画を立てる時も進んでアイデアを出していたし、シャルトリューに司法取引を持ち掛けると言い出した時は驚いたし、マンクスを追い詰める時も容赦なかった。

 かと思えば、父に話し掛けられて慌てるし、母やバーミーズにすぐに気に入られるし、ラグドールの気持ちに気付いていないし、その割に拾ってもらって感謝していると言うとか、本当に不思議だ。


 ラグドールには、星をしっかりと捕まえていて欲しいものだ。






 食後のお茶とデザートは、私が教えて料理長に作ってもらったチャイとプリン。


何だかんだで、泊まる事になってしまった。


「明日の朝には帰るからな」


 ラグドールさんが言った。


「明日は、店を開けたいからな」


「あらぁ…淋しいわぁ…」


 王妃様が言うとバーミーズさんも頷いた。


「またお茶をしましょう」


「またハンドマッサージをしてほしいわ」


 パッチテストの後に、ハンドクリームを塗りながら、ハンドマッサージをした。

趣味で覚えて自分にやっていたが、気に入ってもらえたようだ。


「ハンドマッサージ?」


 ラガマフィンさんが食い付いてきた。


「ハンドクリームを塗って、手や指を指圧するんです。これ、店でやりましょうか?」


 私が言うとラグドールさんが割り込んできた。


「手を…触るのか…?」


「そうですね」


「男にはするな」


 周りの人達が、ニヨニヨしている。目線が生温かいよ〜

何で〜?!


「???じゃあ、女性限定にしましょうか?」


「うん」


 ラグドールさんが頷く。


「バーマン、お前が覚えて男にしてやれ」


 側に控えていたバーマンさんに、ラガマフィンさんが無茶振りした。


「かしこまりました」


 かしこまらないで。

まぁ良いか。バーマンさんにはお世話になってるし。


「…」


 ラグドールさんが、何か言いたげにバーマンさんを見る。


「若、若が星さんにしてもらっている所を見ながら教わりますので」


 バーマンさんが説得する。


「そうか」


 う〜ん?ラグドールさんが納得した。

どういうやり取りなの?


周りの人達は、相変わらずニヨニヨしている。

 これはもしや私とラグドールさんが恋人だと思っている…?


まさか…まさかね…


 また来ますね、と約束し、今日泊まる部屋に案内された。

ラグドールさんが小さい頃に過ごした部屋らしい。


 今の私の部屋みたいに、机や応接セットのある部屋の奥に、寝室がある。

反対側に、バーマンさんの部屋があるらしい。

めちゃくちゃ広い。


ベッドも大きかった。


 あれ?子ども部屋じゃないのかな?


と、思っていたら、ラガマフィンさんが、いつでも泊まりに来れるように、改装したよ、と言った。


 いつでも泊まりに…?


問答無用で、泊まらせるつもり…?


まぁ…お世話になってるし…


良いのか?






 しばらく運動してないから、ちょっとお腹が出てきたかも…

お風呂でメイドさんに洗われながら、腹筋しよう、と決意した。


本当にメイドさんに洗われるんだな…と、遠い目をしたのは秘密だ。


某マッチョタレントがやっていた、足を上げてやる腹筋。

他にも色々見たけど、覚えてない。


そうだ…ついでに…プランクもしよう。


「何をやっているんだ…」


 プランクをしているところを、ラグドールさんに見られた。


「体幹を鍛えるのです…!」


 手足がプルプルしてきた。


へにゃ…とベッドに沈む。


最近サボっていたから、体力が落ちた。


「体幹?どうやるんだ?」


 興味津々のラグドールさんに、私は、プランクのやり方を教えた。


ついでに、レッグレイズとヒップリフトも教えた。

ラグドールさんが、ラガマフィンさん経由で、騎士団に教える、と言った。


「明日は帰るからな。早く寝ろ」


 私は、ベッドに入ると、すぐに眠った。

今日もラグドールさんと添い寝である。


 次の日、朝食を王家の方々ととった後、急いで市場に買い物に行き、店に行き開店準備をした。


「間に合ったぁ…」


「急がせたかな?」


 今日も今日とて、ラガマフィンさんが側近のサイベリアンさんを連れて書類仕事をしに来た。


やっと日常が帰ってきた。

ホッとしていると、書類仕事の休憩中に、ラガマフィンさんが言った。


「今日は、バーミーズへの土産に、サンドイッチを買って帰ろうと思う」


「ちょうどジャムを買ってきたので、ジャムサンドにしましょうか。あとプリンサンド」


 私は、ラガマフィンさんに言うと、ラグドールさんとバーマンさんに、持ち帰る時の値段はどうするか、どうやって持ち帰るか相談した。

バーマンさんが、バスケットを用意してくれた。


 その時に、ラガマフィンさんが教えてくれたのだが、私の部屋の家具を入れ替えてくれたみたいだ。


部屋が荒らされて、気持ち悪かったから、ありがたい。


 でも結局、ラグドールさんと添い寝するのが決定するのだった。


こうして、楽しい毎日が過ぎていった。


読んでいただきありがとうございます

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