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削除しても増える、寝ている私の写真
最初に気づいたのは、通勤電車の中だった。
スマホの写真フォルダに、見覚えのない画像が入っている。
ベッドで眠っている、自分の写真。
部屋着のまま、無防備に寝ている姿。
「……なにこれ」
撮った覚えはない。
誰かに撮られた記憶もない。
気味が悪くなり、その場で削除した。
だが翌朝。
同じような写真が、また増えていた。
角度が少し違う。
昨日より、近い。
寝ている自分の顔が、よりはっきり写っている。
背中に冷たいものが走った。
部屋は一人暮らし。
鍵も閉めている。
誰かが入った形跡もない。
それでも写真は、毎日増えていく。
眠る自分。
横から。
足元から。
顔のすぐ近くから。
耐えきれず、防犯カメラの設置も考えた。
だがその前に――決定的な写真が追加された。
洗面所の鏡越しに撮られた一枚。
そこには、眠る自分と――
スマホを構える、知らない女が写っていた。
青ざめて、スマホを落としそうになる。
誰だ。
どうやって部屋に入っている。
なぜ気づかなかった。
震える指で、その写真を拡大した。
女の顔が、はっきり映る。
そこで、気づく。
鏡に映ったその女は、
今、スマホを持っている自分と、
同じ顔をしていた。




