表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/151

第八十六話「観測者の試練」

「探り屋……!? なんだよ、また新しい奴かよ……!?」


咲は、驚いて目を見開いた。目の前には、嵐太という手強い敵がいる上に、また新しい能力者が現れて、頭が混乱していた。


「咲、気を付けて! 彼の力は、私たちのことを全部知ろうとしてる。うかつに動いたら、私たちの秘密が全部バレちゃうかも!」


詩音は、そう言って、咲に小さな声で忠告した。二人の間に、新しい緊張感が走った。


「フフフ……。さあ、見せてくれ。君たちのやり方が、世界の本当の姿をどれだけ変えられるのかを。そして、その変化を元に戻す、私の『探る』力を体験させてやろう」


空は、そう言って不気味な笑みを浮かべた。彼の目は、嵐太、咲、詩音、そしてこの世界のすべてを見抜こうとしているようだった。


「ふざけんな! 勝手に人のこと知ろうとすんじゃねーよ!」


咲は叫びながら、嵐太と空に向かってP90を撃ちまくった。しかし、弾は空に届く前に、まるで最初から存在しなかったかのように、消えてしまった。


「無駄だ。咲。君の攻撃は、私の見ている世界にはない。私の目に、君の攻撃は存在しないんだ」


空は、そう言って笑った。彼は、咲の攻撃をまるで最初からなかったことのように扱っていた。


「な、なんだと……!?」


咲は、自分の撃った弾が消えたことに驚きを隠せない。その時、嵐太が、空に向かって黒い大きな力を放った。


「うるさいぞ、空! 俺の力も、見てみろ!」


嵐太が放った力は、世界のすべてを壊そうとする、とてつもないものだった。しかし、空は、その力を浴びながらも、静かに、そして圧倒的な力で、嵐太の攻撃を打ち消していった。


「フン。君の力は、私の見る力によって、意味のないものになる。私の見ている世界に、君の壊す力は、ただの『もしも』の話としてしかない。そして、私は、その『もしも』の話を、なかったことにするだけだ」


空は、そう言って、嵐太の力を光の粒に変えて消し去った。嵐太は、自分の最強の力が、空の見る力によって、効かなくなってしまったことに、驚いて言葉を失った。


「な、馬鹿な……! 俺の力が……!?」


「フフフ……。君の力は、あくまで『この世界』の力に過ぎない。しかし、私の力は、この世界の『真実』そのものを見抜く力だ。君の力が、私の力に勝てるはずがないだろう?」


空は、そう言って、嵐太に冷たい視線を向けた。嵐太は、空のとてつもない力に、怖くて顔が引きつった。


「咲、詩音。今のうちよ! 嵐太と空が戦っている間に、ここから逃げましょう!」


結人の声が、咲と詩音に聞こえた。二人は、結人の言葉に、力強くうなずく。


「よし、詩音! 逃げるぞ!」


「ええ、咲!」


咲は、詩音と手を繋ぎ、結人のシステムが示した、出口に向かって走り出した。しかし、その時、嵐太が、二人の行く手を邪魔するように、目の前に立ちふさがった。


「どこへ行く、咲! お前を壊して、生まれ変わらせるまで、俺は終わらない!」


嵐太は、そう言って、再び黒い大きな力を放った。その力は、二人の後ろから迫り、逃げ場をなくしていった。


「くっそー! なんでだよ!?」


「咲、落ち着いて! 嵐太の力は、私の『光』で消し去るわ!」


詩音は、そう言って、嵐太の力に向かって、『光』の力を放った。二人の力が、嵐太の力とぶつかり合い、再び地下室全体を揺るがした。


「フフフ……。君たちのつながりは、本当に面白い。だが、そのつながりも、私の見ている世界の『外』にあるとは言えない。君たちのつながりは、この世界の本当の姿を『変えてしまう』、とても強力なものだ」


空は、そう言って、咲と詩音、そして嵐太の三人に、冷たい視線を向けた。彼の目には、三人の力をすべて知り尽くし、そして『なかったこと』にしようとする、絶対的な力が宿っていた。


「さあ、見せてくれ。君たちのつながりが、この『見る者』を、どうやって打ち破るのかを」


空は、そう言って、不気味な笑みを浮かべる。彼の目は、世界のすべてを見抜き、本当の姿を『探り』、変化を『なかったこと』にする、絶対的な力そのものだった。


咲、詩音、嵐太、そして空。四つの力が、今、この地下室で、激しくぶつかり合う。これは、伝説の『奪還屋』と、二人の強敵の、三人による戦いが、今、始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ