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第百三十三話「神の座」

サキモリの声は、どこか嬉しそうだった。それは、まるで、自分の最高傑作が、ようやく完成したことを喜んでいるかのようだった。咲は、その声に、怒りを覚える。彼女は、もはや、サキモリの道具ではない。彼女は、詩音の仇を討つために、そして、この町を守るために、ここにいる。


「…よく来たな…咲…」


サキモリは、そう言って、巨大な椅子から立ち上がる。彼の姿は、以前と変わらなかった。しかし、その瞳は、まるで、全てを見通しているかのようだった。彼の周りには、無数のケーブルが、張り巡らされている。それは、まるで、彼が、この町の全てを、支配しているかのようだった。


「…私は、お前を…殺す…!」


咲は、そう叫んで、ソニックライフルの引き金を引いた。しかし、その弾丸は、サキモリを貫くことはできない。弾丸は、まるで、見えない壁に阻まれたかのように、サキモリの前で、止まる。


「…無駄だ…咲…」


サキモリは、そう言って、優しく微笑む。


「…私は、もはや、人間ではない…」


その言葉に、咲は、驚愕の表情を浮かべる。サキモリの体が、光に包まれていく。彼の体は、まるで、無数のケーブルと融合しているかのようだった。彼は、この町の全てのシステムと、一体化していた。


「…私は…この町の…神だ…」


サキモリは、そう言って、手をかざす。すると、地下工場全体が、光に包まれていく。無数のドローンが、サキモリの命令に従い、咲に襲いかかってくる。


「…くそ…!」


咲は、そう言って、ドローンにソニックライフルを向ける。しかし、ドローンの数は、あまりにも多い。彼女は、次々とドローンを破壊していくが、その全てを破壊することはできない。


その時、彼女の通信機から、再び、サキモリの声が聞こえてきた。


「…咲…お前は、孤独ではない…」


サキモリの声は、まるで、彼女の心を揺さぶっているかのようだった。


「…嘘だ…」


咲は、そう言って、通信機を叩きつける。しかし、通信は切れない。


「…お前は…私の一部…」


その言葉に、咲は、体が震える。彼女は、サキモリの言葉の意味を、理解していた。彼女は、サキモリによって作られた、完璧な兵士。彼女は、孤独な戦いのために、作られたのだ。


「…私は…道具じゃない…!」


咲は、そう叫んで、ドローンを破壊していく。しかし、そのドローンの攻撃は、さらに激しさを増していく。彼女は、もはや、限界だった。彼女の身体は、すでに満身創痍だった。胸の傷口が、再び痛みを発し、彼女の視界を霞ませていく。


その時、彼女の脳裏に、詩音の笑顔が、蘇る。


「…咲…」


詩音は、そう言って、優しく微笑む。その笑顔に、咲は、涙を流す。


「…詩音…」


咲は、そう言って、ドローンにソニックライフルを向ける。彼女は、もう、逃げない。彼女は、詩音の仇を討つために、ここにいる。彼女は、この町を守るために、戦わなければならない。


「…サキモリ…!お前を…許さない…!」


咲は、そう叫んで、ソニックライフルを構える。彼女の瞳には、もはや、迷いはなかった。ただ、復讐の炎が、燃え盛っていた。


その時、咲の胸の傷口から、眩い光が放たれた。それは、咲の身体に埋没していた、弾丸だった。その弾丸は、サキモリのシステムを、破壊する力を持っていた。咲は、その弾丸を、サキモリに向けて、撃ち放った。


「…終われ…!」


咲は、そう叫んで、引き金を引いた。

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