第百九話「もうひとつの世界」
五人の『奪還屋』は、空から贈られた光の剣を手に、最終決戦の場へと向かっていた。彼らが向かったのは、空の『観測』の『外』にある、『もうひとつの世界』。空は、その世界を、自らの『支配』の『法則』で創造していた。
「ここが……、空が作った世界……?」
咲は、目の前に広がる景色に、驚愕に目を見開いた。目の前には、現実の世界と全く同じ景色が広がっていた。だが、そこには、誰もいなかった。
「フフフ……。面白い。君たちは、私を倒すために、この世界までやってきたか……。だが……」
その時、目の前に、光の粒子が収束し、空が現れた。空は、いつものように不気味な笑みを浮かべていた。
「この世界は、私の『観測』の『法則』で、創造された世界。君たちの『つながり』は、この世界では、なんの意味もなさない」
空は、そう言って、五人に向けて、光の鎖を放った。光の鎖は、五人の『つながり』を分断するように、彼らを拘束した。
「くっ……! 鎖が、あたしたちの『つながり』を分断しようとしている……!」
咲は、そう言って、もがき苦しんだ。詩音も、嵐太も、リノも、悠真も、同じように苦しんでいた。
「フフフ……。面白い。君たちの『つながり』は、本当に……面白い……。だが……もう終わりだ……」
空は、そう言って、光の鎖をさらに強くした。その時、悠真が、光の剣を強く握った。
「空! お前の『観測』の『法則』は、俺たちの『支配』の『法則』が、すべて支配する!」
悠真は、そう言って、光の剣を強く振った。光の剣から放たれた光は、空の光の鎖を打ち砕き、五人の『つながり』を再び一つにした。
「な、なんだと……!? 馬鹿な……! 私の『観測』の『法則』が……、打ち砕かれただと……!?」
空は、自分の力が打ち破られたことに、驚愕に目を見開いた。悠真は、空の言葉に、力強く宣言した。
「そうだ! 俺たちの『支配』の『法則』は、お前の『観測』の『法則』を、すべて支配する! お前が作ったこの世界も、俺たちの『支配』の『法則』で、すべて支配する!」
悠真は、そう言って、光の剣を高く掲げた。光の剣から放たれた光は、空が作った世界全体を包み込み、世界を支配した。
「フフフ……。面白い。君たちの『つながり』は、本当に……面白い……。だが……これで、終わりではない……」
空は、そう言って、再び光の粒子となって消えていった。
五人は、空が消えた場所を見つめていた。その時、目の前に、この世界の景色が、まるで鏡のようにひび割れ、砕け散った。
「な、なんだ……!?」
咲は、そう言って、驚愕に目を見開いた。ひび割れから見えたのは、現実の世界だった。だが、そこには、まだ誰もいなかった。
「フフフ……。面白い。君たちの『つながり』は、本当に……面白い……。だが……これは、始まりにすぎない……」
空の声が、遠くから聞こえてきた。五人は、空の声に、再び緊張した。
「まだ……、終わってない……。空との最終決戦は、まだ始まったばかりだ……!」
咲は、そう言って、五人の顔を見つめた。五人は、咲の言葉に、力強くうなずいた。五人の『つながり』が、今、一つになり、空との最終決戦へと向かっていく。




