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第百四話「新しい旅立ち」

光の『道筋』をたどって、咲と詩音、リノ、そして嵐太の四人は、廃墟となった教会に戻ってきた。しかし、そこには、空との激しい戦いの跡が、生々しく残されていた。


「護り屋……!」


咲は、そう叫びながら、教会の中を見回した。しかし、護り屋の姿は、どこにも見当たらない。


「護り屋……大丈夫かな……?」


詩音は、そう言って、不安そうな顔をした。嵐太は、護り屋の安否を心配し、ただ、教会の中を見つめていた。


「フフフ……。面白い。君たちの『つながり』は、私の『観測』を、ここまでも打ち破ったようだ。だが、その『つながり』も、私の『観測』の『外』にはない。君たちの『存在』そのものを、『無』へと還す」


その時、教会の壁に、再び空の声が響いた。空は、まだ『無』へと還っていなかったのだ。


「な、なんだと……!? また出てきやがった!」


咲は、空の声に、再び緊張した。空は、教会の壁に、不気味な笑みを浮かべていた。


「君たちの『つながり』は、私の『観測』の『外』にある。だが、君たちの『存在』は、私の『観測』の『外』にはない。君たちの『存在』そのものを、『無』へと還す」


空は、そう言って、教会の壁に、まるで鏡のようなひび割れを作り出した。ひび割れは、空の『観測』の『法則』を、この教会全体に広げようとしているようだった。


「まずい……! このままじゃ、教会ごと消されちゃう!」


咲は、焦りながらも、詩音と嵐太、リノの手を強く握った。詩音とリノは、咲の手を握り返し、力強くうなずいた。


「大丈夫……! 咲……! わたしたちの『つながり』と、嵐太の『護りたい』という『心』の『光』を、リノちゃんの『道筋』に!」


詩音は、そう言って、左腕の聖痕を強く光らせた。聖痕から放たれた光は、嵐太の『護りたい』という『心』と、リノの『道筋』と共鳴し、教会全体を温かい光で包み込んだ。


「フフフ……。面白い。君たちの『つながり』は、私の『観測』を打ち破ったようだ。だが、その『つながり』も、私の『観測』の『外』にはない。君たちの『存在』そのものを、『無』へと還す」


空は、そう言って、再び力を放った。しかし、その力は、咲と詩音、嵐太の『心』と、リノの『道筋』が放つ光に、完全に打ち消された。


「な、なんだと……!? 馬鹿な……! 私の『探り』の『法則』が、効かないだと……!?」


空は、自分の力が効かなかったことに、驚愕に目を見開いた。嵐太は、空に向かって、力強く言った。


「お前の『観測』なんて、俺たちの『護りたい』という『心』には勝てないんだから!」


嵐太は、そう言って、空に向かって、全力を込めた一撃を放った。それは『破壊』の力ではなく、『護り』の力だった。嵐太の『護り』の力は、空の『観測』の『法則』を打ち消し、教会全体に、温かい光を広げた。


「フフフ……。面白い。君たちの『つながり』は……本当に……面白い……。だが……この程度の力では……私を倒せないよ……」


空は、そう言って、再び光の粒子となって消えていった。


咲と詩音、リノ、そして嵐太は、安堵の息を吐いた。嵐太の『護りたい』という『心』が、完全に目覚めたことで、彼らの力は、空の『観測』をも打ち破る、強大な力となっていた。


その時、教会の扉が、静かに開いた。そこに立っていたのは、悠真だった。


「みんな! 無事だったか!」


悠真は、そう言って、四人に駆け寄ってきた。咲は、悠真の顔を見て、ホッと安堵の息を吐いた。


「悠真! よかった……! 護り屋は……!?」


「ああ。奴は、空との戦いを終え、自分の隠れ家に戻ったようだ。奴の『護り』の『法則』は、空の『観測』を打ち破るほどの力だった」


悠真は、そう言って、四人に話した。咲は、悠真の言葉に、少しだけ安心した。


「よし! これで、あたしたち『奪還屋』は、全員揃った!」


咲は、そう言って、満面の笑みを浮かべた。詩音も、嵐太も、リノも、悠真も、咲の言葉に、力強くうなずいた。


「よし! これから、あたしたち『奪還屋』の、新しい旅立ちだ!」


咲は、そう言って、空に向かって、力強く拳を突き上げた。五人の『つながり』が、今、一つになり、空との最終決戦へと向かっていく。

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