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第百一話「嵐太の居場所」

空を退け、再び安堵に包まれたカフェの中で、咲と詩音、そしてリノは、嵐太を救うための話し合いを始めた。


「よし! 空も一時的に消えたことだし、今のうちに、嵐太を救う方法を考えよう!」


咲は、そう言って、詩音とリノの顔を見つめた。詩音も、リノも、力強くうなずいた。


「嵐太の『見えない壁』を壊すには、嵐太が『護りたい』と心から思える『何か』が必要……。でも、嵐太が何を護りたいと思っているのか、あたしたちには、まだ分からない……」


咲は、そう言って、少しだけ顔を曇らせた。リノは、そんな咲の手を優しく握った。


「大丈夫だよ、咲! わたしの『道筋』は、みんなの『心』の『光』を、道筋にするから! 嵐太の心の奥底に、まだ残っている『護りたい』という『心』の『光』を、わたしが道筋にしてあげる!」


リノは、そう言って、満面の笑みを浮かべた。咲は、リノの言葉に、少しだけ希望を見出した。


「リノちゃん! じゃあ、嵐太が今、どこにいるのか、分かるの!?」


咲は、そう言って、リノの顔をのぞき込んだ。リノは、咲の言葉に、少しだけうつむいた。


「それがね……。嵐太の『心』の『光』は、すごく弱くなってる。だから、嵐太が今、どこにいるのか、正確には分からないの……。でも、嵐太の『心』の『光』が、微かに感じられる場所があるの……。そこは、嵐太が『護りたい』と願った場所……」


リノは、そう言って、ある場所を指し示した。咲は、リノの指し示した場所を見て、ハッと息をのんだ。


「そこって……!」


「嵐太の記憶の中にある、砂浜……。嵐太が、妹と一緒に、砂のお城を作った場所だよ……」


リノは、そう言って、悲しそうな顔をした。咲は、その言葉に、嵐太の記憶が蘇った。


「そうか……! 嵐太は、自分の『護りたい』という『心』を、あの砂浜に閉じ込めているんだ……!」


咲は、そう言って、詩音とリノの顔を見つめた。詩音も、リノも、力強くうなずいた。


「よし! 決めた! あたしたち、嵐太の記憶の中にある砂浜に行って、嵐太の『護りたい』という『心』を、『奪還』する!」


咲は、そう言って、力強く拳を握った。詩音も、リノも、咲の言葉に、力強くうなずいた。


「でも、どうやって……?」


詩音は、そう言って、少しだけ不安そうな顔をした。咲は、詩音の言葉に、リノの顔を見つめた。


「リノちゃん! リノちゃんの『道筋』なら、行けるよね!?」


「うん! 行けるよ! みんなの『心』の『光』が、道筋になるから! 咲と詩音の『つながり』の『光』を、わたしに分けて!」


リノは、そう言って、咲と詩音に手を差し出した。咲と詩音は、顔を見合わせ、リノの手に、自分たちの手を重ねた。


「よし! 行こう! リノちゃん!」


咲は、そう言って、満面の笑みを浮かべた。リノは、咲の言葉に、力強くうなずいた。


三人の『つながり』の『光』が、リノの『道筋』と共鳴し、カフェ全体を温かい光で包み込んだ。そして、三人の目の前に、砂浜へと続く光の『道筋』が、姿を現した。


「すごい……!」


咲は、光の『道筋』を見て、驚愕に目を見開いた。リノは、そんな咲の顔を見て、嬉しそうに微笑んだ。


「さあ、咲、詩音! 行こう! 嵐太を救いに!」


リノは、そう言って、光の『道筋』に足を踏み入れた。咲と詩音も、リノの後を追うように、光の『道筋』に足を踏み入れた。


三人が光の『道筋』に足を踏み入れた瞬間、カフェの扉が、再び開いた。そこに立っていたのは、全身を黒いジャケットで覆い、まるで『壁』のように微動だにしない大男だった。彼の顔は無表情で、その瞳は、何かをひたすらに『護ろう』としているかのようだった。


「嵐太……。お前は……まだ、壊れていなかったのか……」


『護り屋』は、そう呟くと、光の『道筋』に消えていく三人の背中を見つめていた。彼の顔は無表情だったが、その瞳には、何かを深く考えるような光が宿っていた。

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