愛したいだけ
先ほど短編投稿てはなく連載投稿にしてしまったので一回削除してアップし直しました
ごめんなさい…
「寝取りとか寝取られとか言うけどさぁ、これってどっち?」
後ろから抱きしめたまま指を絡ませ、天井に向かって話しかける。
正面から聞く勇気はでない。後悔されちゃってるかもしれないから。
腕の中で横向きのきみはすこしだけ身じろぎして思案してるみたいだ。
すぐ答えないのはいいのか悪いのか分からない。
「主観の話かな?誰が主人公かっていう」
じゃあ寝取りかぁ。
きみを寝取ったっていう。……人聞き悪いけど。
「だね、寝取られたのは私の彼氏になるはず」
……あんなのをまだ彼氏っていうのやめてほしい。
だっていつも泣いてた。きみは幸せになろうとしてたのに、どんどんつらそうにしてた。
愛されたいって泣いてたでしょ?
愛がほしいなら余るほどぼくがあげるのに。
「ちゃんと別れてね」
「そうする」
「縋り付かれてもだよ」
「そんなことされないってば」
「心配なだけ」
きみは自虐的に笑ってるけど、きみの彼氏だったものは縋ると思う。
自分から絶対に離れられないと勘違いをしているから。
ぼくの心配はその馬鹿にきみが流されないかってこと。
だから今、きみを甘い毒のようにぼくに浸しておかなきゃ。
ああいうゴミ男は捨てられて当然なんだからね。
きみはぼくを選ぶしかない。
あたたかくぬるく、居心地のいいぼくの傍を離れられないようにしてる。
「望むことは何でも言ってね。できることはするし、できないことは妥協案を探りたい」
痣の残る肩に唇をよせる。
ほら、ぼくならこんな風にしないのに。
傷をつけるなんて最低すぎる。
「うん、信じる。いつもそばにいて相談にのってくれてたのにごめんね」
「それは、きみに幸せになってほしかったから」
結果こうやって我慢がきかなくなったようにみせる。
ねえ。
なんであんなゴミ男と付き合ってても何でも肯定してたかわからない?
きみのいうゴミ男の不満を本人には言わずに全部ぼくにくるように仕向けてたんだよ。
そしてそれを肯定すればするほどきみは不満を募らせてたでしょ?
…ね?
だから次に付き合うぼくとはぼくにしか不満を漏らさないでね。
誰にもとられないために。