人間との出会い
0:悪魔同士の争いで一匹の悪魔が狙われ、悪魔は血を流しながらヨロヨロ歩いていた。
悪魔:「出血が多過ぎる……」
0:悪魔は足がもつれて、地面に倒れた。
悪魔:「ぐっ……! ああ…………このまま、俺は死ぬのか……」
0:悪魔は、命の危機に瀕していた。
人間の女:「大丈夫ですか? 血が出てる……!? とりあえず人を呼んでくるね!!」
0:悪魔の意識が薄れていく。0:悪魔が目を覚ますとベッドの上に寝ていた。ベッドの脇に椅子を置いて座っている女が居た。
悪魔:「(目が覚めて体を起こす)」
人間の女:「あ! 目を覚ました!」
0:悪魔はあたりを見回して状況を把握する
悪魔:「どうしてだ?」
人間の女:「え?」
悪魔:「どうして俺を助けた?」
人間の女:「怪我をして倒れてたから」
悪魔:「俺は悪魔だぞ? それは分かってるのか?」
人間の女:「羊みたいなツノ生えてて人間なわけないよね」
悪魔:「なぜお前は悪魔を嫌わない? 怯えない? 悪魔は人間の敵だ」
人間の女:「確かにあなたをここに置くのは村の皆から反対されたけど、私、あなたに何もされてないし。あなたさっきまで寝てたから悪い悪魔か分からないし」
悪魔:「そんな理由で俺を助けたのか?」
人間の女:「うん。それだけ。それよりご飯食べない? 昨日のシチューのあまりだけど」
0:人間の女は椅子から立ち、シチューをいれた皿を持ってくる
人間の女:「食べる?」
0:悪魔は無言でシチューをかきこんだ。
人間の女:「あなたはなんて名前なの?私は……」
悪魔:「(かぶせて)悪魔は固体を名前で識別しない」
人間の女:「どういう事?」
悪魔:「名前を呼ぶ必要がないから、ないって事だ」
人間の女:「名前は必要だよ!だって私が呼ぶ時困るもん!」
悪魔:「好きに呼べ」
人間の女:「うん! かっこいい名前考えとくね!」
悪魔:「変なやつだ……」
人間の女:「怪我の具合はどう?」
悪魔:「動作に支障はない」
人間の女:「よかった!」
0:悪魔はベッドから起き上がり、家の外に出ようとする。
人間の女:「どこ行くの?」
悪魔:「分からない」
人間の女:「じゃあ、しばらくここに居るのはどう?」
悪魔:「なぜだ?」
人間の女:「だってどこに行くか決めてないんでしょ?」
悪魔:「俺をここに留めてお前になんのメリットがある?」
人間の女:「たまにはメリットがないことしてもいいじゃん!。そういう理屈じゃない部分を持ってるのが人間なの」
悪魔:「理解ができん」
人間の女:「いつかできるよ。じゃあ名前が決まるまでは悪魔くんって呼ぶね?」0:家の外で人間の女は大きな木の箱を運んでいた。
人間の女:「悪魔くーん、運ぶの手伝ってー!」
0:悪魔は人間の女の持っていた木の箱を持つ。他にも沢山の木箱が人間の女の家に置いてあった。
悪魔:「これはどこに持っていくんだ?」
人間の女:「裏の倉庫」
悪魔:「分かった」
0:悪魔はすごいスピードで木箱を運んでいった。人間の女が両手で運ぶ所を、片手で二つずつ持った。
0:あっという間に運び切る。
悪魔:「終わったぞ」
人間の女:「あ! 瓶割れてる! これうちの酒屋で提供するものなんだよ! 割っちゃダメじゃん!」
悪魔:「そうなのか」
人間の女:「悪魔くん、こういう時はごめんなさいでしょ!」
悪魔:「すまない………」
人間の女:「よく言えました! 素直で偉い! 運ぶの手伝ってくれてありがとうね!」
悪魔:「どうして礼を? 俺は商品を傷付けた。割れた瓶を片付けたり、酒を拭く仕事を増やしただろう?」
人間の女:「やってもらった感謝だよ!」
悪魔:「………人間は分からない………」