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いきなり土地神になっちゃった。あやかしには狙われるけど意外と楽しいです。  作者: マロ


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83話 大天狗奮戦

4月。僕は高校3年生になった。

普通ならクラス替えがあると思うが僕の学校にはそれはない。みんなとずっと一緒だ。つまり、高校3年生になってもとくに変わったようには見えない。

しかし、考えなくてはいけないことがある。

そう。進路だ。

大学に行くのか、就職するのか。

両親には大学に行っても良いと言われているが、ここから1番近い大学でもかなり遠い。そうなると一人暮らししなくてはならない。つまり、神域に通いづらい。


「どーしよかなー。」


「どうしたの真広君?」

僕の声を聞いた、七瀬凛が声をかけて来た。


「七瀬さん。いや、もう高校3年生になったから進路どうしようかなって。七瀬さんはどうするの?大学いくの?それとも就職?」


「んー。私は大学にいくかな。私、学校の先生になりたいんだ。」

少し恥ずかしいそうに七瀬さんが答える。


「わぁ!そうだったんだ!七瀬さん人に好かれるから絶対良い先生になれるよ!」


「うん!ありがと!真広君はなりたいものとかないの?」


「なりたいものか…」

特に思い浮かばないな…僕は何になりたいんだろう?


「今はなくても、これからできるかもしれないよ?でも、私は陰陽師が良いと思うな。」 

七瀬さんはみんなに聞こえないように僕の耳元でそう言った。


「えー、なんでさ。」


「逆になんでなりたくないの?真広君才能あるんでしょ??」


「んー。あやかしを殺すことを生業にしているってところが抵抗あって。僕、争いはあんまり好きじゃないから。戦うことを仕事にしたくないんだと思う。」 

あんまり考えたことなかったけど、たぶん、これが僕が陰陽師になりたくない理由だと思う。


「んー、私よくわからないけど。たぶん、戦うことだけが仕事じゃないんじゃないかな。少なくとも私は真広君の力で救われたんだよ?今もお札を貰ったりとても救われてる。でも、私みたいな子は少なからずいると思うの。そういう人たちを真広君が助けてあげられたらなって思ったんだ。」


「あぁ、そうか。確かにそうかも知らない。」

陰陽師の仕事は戦っているところしか見たことがなくて他にやっている仕事とのことを考えたことがなかった。確かに結界を張ったり、お札を作って渡したり、お悩み相談したりと戦い以外にもそう言った仕事は多そうだ。

なんだかスッキリした気がした。


今度冴久先生とか琴巴にも陰陽師の仕事のこと聞いてみようかな。






なんだかんだで、しばらく僕は平穏な生活を送っていた。

しかし、ついに始まってしまったのだ。


最悪の戦争が。




「急報!天狗の山の向こう方面より陰陽師と思わしき者の大軍がこちらに迫って来ています。」


学校が終わり日も落ちた頃、僕が神域の社で冴久先生と術の修行をしていると神軍の神兵1人が僕に報告をしに来た。

ちなみに僕の神軍は100体おり、7割は神域の防衛、3割は各地に散ってパトロールしている。


「えぇ!大変じゃん!」


「陰陽師の大軍?どこの家の者ですかね?」


「敵襲!突如大きな狸のあやかしに率いられた狸たちの集団が出現。我らと交戦中ですが、劣勢!まもなく神域に到達されます。」

今、急いで入って来たもう1人の神軍の神兵が報告してくる。


「えぇ!?たぬきのあやかし?交戦中だって?」


ズドーン!!

神域が大きく揺れる。


ー真広!気をつけてください。凄まじい妖気です!ー

霞が僕に警告する。



「これは!この神域に無理やり入ろうとこじあけられている!?」

冴久先生が驚いた顔をする。


「うわぁ。すごく嫌な感じがする。」

痛みは感じないが、すごく嫌な感じがする。

まるで身体を切られて無理矢理入ってくるイメージ。でも、痛みはないのがまた気持ち悪い。


「お邪魔するよ。」

低い声でそう聞こえるととてつもない妖力を感じる。


「かなりの大物が入って来てしまいましたかねぇ。」

冴久先生も冷や汗をかいてそういう。


そして、十数匹の狸を連れた大きな二足歩行の狸が現れた。


「初めまして。儂は隠神刑部狸と申す。なーに。争う気はあらん。しばらくお主たちはここにいてもらえればいいんじゃ。」


「これはこれは伝説のあやかしがなぜここに?目的はなんです?」

冴久先生は鋭い目つきで尋ねる。


「言ったじゃろ?お主たちに大人しくしててもらうのが儂の目的じゃ。」


「どう言うことですか?」

僕は意味がわからないので、大きな狸に質問した。


「ここで大きな争いが起きる。じゃからお主たちに動かれると面倒なのよ。」


「急報!陰陽師と思わしき大軍が天狗の山に向け攻撃を開始しました!これに天狗達も反撃を開始。戦闘が起きています。」

また、新しい知らせが届く。


「助けに行かないと!」

あの山の大天狗は気に入らないが、見捨てるわけには行かない。


「おっと、だからお主たちはここで大人しくしててもらうと言っておろうに。」


行く手を大きな狸のあやかしが塞ぐ。


「ならしかなたない!あなたを倒して行くまで!」

僕はそう言って神力を高めて戦おうとするが、冴久先生と霞が僕を止めた。


ーだめです!真広!ー


「やめましょう。これは勝てません。」


「どうしてですか!」


「隠神刑部狸。あの妖怪はぬらりひょんと同格のあやかし。さらにあの後ろにいる狸どもは全員が二級以上の実力を持っているように見えます。今の戦力であのあやかしたちと戦うのは自殺行為です。」


「そんな!じゃあ、天狗達はどうなるんですか!?」


「祈るしかありません。」


ーせめて外にいる神軍を援軍に向かわせましょうー


「くそ!」

僕は頭の中で外でパトロールしていた神軍に天狗達を援護するよう指令を出す。それと同時にミケや白色。沼姫のところにも神兵を飛ばし今回のことを伝える。もしかしたら、彼らが手を貸してくれるかもしれない。

そして天狗の山の近くにいた1人の神兵の視覚と聴覚を共有し、外の状況を見た。








「貴様ら!なぜこの山を襲う?」

大天狗は怒りを露わにして、急襲してきた陰陽師たちに問う。


「あなた達のことはほとんど存じ上げませんし、恨みも有りませんが、この霊峰は気に入りました。攻めづらく守りやすい。地脈もしっかり通っている。ここを戦いの拠点にします。」

攻めて来た陰陽師黒田司は大天狗に向かってそう言った。


「鬼畜どもめが!!者ども!こやつらの首を刎ねてやれ!我らが住処をこの人間どもにくれてやるものか!」

大天狗の号令に配下の天狗達が雄叫びをあげ、陰陽師たちに向かって行く。


「皆さん、ここの掃除は任せました。私は術の準備を進めます。」

そう言って黒田司は部下にその場を任せて下がった。










「こ、こいつら。強い。」

大天狗はボロボロの身体でそう呟く。

戦いが始まってまだ数十分しか経っていないが、すでに山の天狗たちの3分の1が狩られていた。


「それになんだこの式神たちは…」

目の前には陰陽師達が召喚したであろう大きな釘が無数に刺さっている式神達がこちらに捨て身の攻撃を加えてくる。

数も異常だ。おそらく術者1人につき三体ほどの式神を使役している。


「1人の術者がこんなに多く操れるとは。この強さの式神を複数体操れる陰陽師は限られてくる。だが、複数体操れる陰陽師がこの場には無数にいると来てる。これは契約ではないな。支配か。」

大天狗は錫杖で一体の式神を貫きながらそう言う。

貫かれたあやかしは体に刺さっていた釘を残し、黒い霧となって消えた。


大天狗は善戦しているが、他の天狗は多勢に無勢。あちらこちらで悲鳴をあげて狩られている。

「くっ!このままでは!」


「援軍!援軍です!大天狗様!土地神より援軍です。数30です。」

飛んできた天狗が慌てた様子で報告する。


「ありがたいが、少ない!なぜ自ら来ない!土地神!」


「なんでも土地神様も襲撃を受けており動くことができないと。」


「そこも襲撃されているのか…まぁ、よい。土地神からの援軍をこちらに呼び寄せよ。なんとかここで時間を稼ぎ、戦えないものを逃すのだ。」


「一匹でも逃げられると思っているのか、あやかしよ。」

大きな牛のような二匹のあやかしと大きな黒い羽虫のような

式神を連れた男が現れた。もちろん大きな釘が無数に打ち込まれており、悲痛の叫びをあげている。


「どう言うことだ?」


「この山はすでに包囲されている。あやかしが逃げ出そうと山を出たら蜂の巣だ。逃げられると思うなよ。いや、一匹たりとも逃がしてなるものか。」


「おのれ!」


「行け!天狗どもを殺してはやく陣を敷く!」

男の陰陽師の命令により三体の式神は大天狗に向かって突撃する。



向かってくる式神に対して大天狗は真空の刃を無数に飛ばす。

式神達は直撃し、身体のあちこちから血を流すが、構わず突撃してくる。

「ちぃ!止まらぬか。」

大天狗は飛び上がるが、羽虫の式神が追ってくる。

飛んできた羽虫のあやかしを殴り飛ばすが、背中に鋭い痛みを感じた。

「がはっ!」

大天狗は背中を見ると空を飛ぶ他の術者の式神が三体ほどおり、背中と羽を切り裂かれていた。

大天狗は飛行を保てず落ちて行く。


地面に直撃する寸前にさっきいた牛の式神が突進して来ており、撥ねられる。

大天狗は大きく跳び、木にぶつかり、口から血を流す。


「終わりだ。ふふっ、お前を使ってお前の天狗たちを殺し尽くしてやろう。」

先ほどの男が目の前に来ており、手には大きな釘が握られている。


「こ、殺してやる。」

大天狗はなんとか口を開くが、動くことができない。



「なにものだ?天狗ではないな?」

男の陰陽師が不思議そうに呟いた。

大天狗が前を向くと男の前に立ちはだかっているあやかしが見えた。そこには白い光のような白銀の体に白い翼が生え、片手には白い剣が握られている。そして鬼の仮面を被っている。


「我らはこの地の者を助けにきた土地神様の使いである。これ以上の狼藉は許さん。」

そう言うと白い剣を構える。

続々と土地神の使いは到着し、その数は30になった。


「大天狗様!援軍です!沼地の沼姫様が山を包囲していた陰陽師達の包囲を突破し、こちらに向かっています!」

そして、新たな援軍の知らせが届いた。


「大天狗様ー!包囲を突破した沼姫様の軍勢に続き、森の守護者ミケ様、白色様が一族を率いて参られました!両軍は合流してこちらに向かって来ている模様。」


「大天狗よ、土地神様は各地に伝令を飛ばし友軍を呼んでくださいましたよ?感謝なさい。」

一体の神兵が大天狗の方を向き偉そうに言った。


「ふん。今だけは、ほ、褒めてやる。」

大天狗は血を吐きながら苦しそうにそう言う。



空を飛んでいた羽虫の式神が大きな泥水の水槍で撃ち落とされる。


大きな猫が凄まじい速さで駆け、片方の大きな牛の式神を切り裂き黒い霧に変える。


大きなヤモリが急に現れてもう片方の大きな牛の式神の横腹に食らいつき、牛は大きな悲鳴をあげて黒い霧に変わる。


「大天狗よ!生きておるか?不本意ながら助けにきてやったぞ?」


「にゃんで僕がこいつを助けにこなきゃいけにゃいんだ?」


「皆のもの、このでかいのをさっさとと連れ出して逃げるぞ!」


各々が手勢を率いた沼姫、ミケ、白色がついに大天狗のところに到着した。





あぁ、ストックが切れてしまった…。


ストーリーは頭の中で出来てるんですけどね。なかなか書く時間が取れません。


更新頻度が落ちても皆さん離れないで…!

絶対完結させるから!!

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