到着前に、危機は回避できた。~でもフォレストエルフ解雇のお知らせ~
「とりあえず、【ポロトコタム】にいるエアルウィンさんの所に行こっか?」
「うぅ、うう」
「捨てないでくださいぃいい……」
エセ双子はセージの裾を掴んでトボトボと後を歩いている。
すでに彼らは中継点である【エサンピタ】という河口都市に着いていた。
マーメイドの首都である【ポロトコタム】は目前だ。
傍若無人ともいえる態度だったセナ。
彼が住んでいた村は【シャンタイ】という名だった。
針路はそこから川沿いに下る方向。
それに従って進んでゆけば、ここまで実に半日ほどの距離。
そして、なぜセージが今こんなことを言っているかというと……。
◇
『かなり近くまで来てたんだなあ。まさか半日足らずで【ポロトコタム】が隣接している【エサンピタ】に着いてしまうとは』
『竜が撃墜されてなければ、今頃はエアルウィン様にお会いできてましたね』
『今思うと、あのセナという輩を懲らしめておけばよかったと後悔してます。王に対し──いえ、普通にアレはダメですね。【罪には相応の罰】が必要。エアルウィン様の件さえなければ……』
『まあまあ。彼にはね……別れ際にも言ったけど、相応しい報いは受けてもらうから。ジーノ君の環境が温いくらいの境遇を用意しようと思ってる。もし事が終わって少しも懲りてなかったら──【禁忌】か【エルフ】だな』
『珍しく我らを進んでお使いに──って、』
『あの、そのおっしゃり方だとエルフという単語が【罰の代名詞】みたいなのですが……』
『だってエルフだし』
『王とはいえ、さすがに酷いですよ!?』
『もう少し加減のほどを!!』
『………………よし。じゃあ、聞いていい? 出発の時はメチャクチャ焦ってたから失念してたんだけど、絨毯に乗ってる内に俺、気づいちゃったんだよね』
『こ、この切り出し方は──エルフ的ピンチの予感!?』
『あ、いえ……そんなそんな。無理におっしゃらなくとも、ハイ。このままエアルウィン様のところへ参りません?』
『【エルフ伝書鳩】、もしくは【エルフ各種族間の情報網】』
『ぁっ…………』
『!!!!』
『一応、釈明を聞いておこうか。………………わざと?』
『とととととんでもない!!』
『ア、アハハ。そ、そうでした。我々ともあろうものが──これはウッカリでしたね!』
『【罪には相応の罰】、ね。さすがエルフィ、良いこと言うね?』
『そ、それはエルフィの方便です! 王たる存在には寛容さも必要かと!』
『つ──【罪には赦し】! お聞き間違いです!!』
『ほう、なるほど。俺の聞き違いか。一言目に謝れない君らは、さっき話題に出てたセナ君のことを言えるのかな? まぁ、とはいえ気づかなかった俺も悪いんだけど』
『ほっ……』
『アイナ……今回ばかりはダメかと思いましたね……』
『そうだね、今回ばかりはダメだね。事が事だ。俺も悪いとは言ったし自分でも内省はしてる。でも、それはそれ。しかも一発で素直に反省したんならともかく、未だに悪びれる様子もなし、と。うん、決まったな』
『!?』
『ま、まままま待』
そして、話は冒頭へと戻るのであった。
◇
「さっきも言ったけど、話はエアルウィンさんの所に行ってから。ところで、二人ともマーメイドに伝達はしてくれた?」
「それはもう! ハイ!」
「『間もなく我らが王が参るので、最上のおもてなしを!』と!」
「そっかそっか。あんまりエアルウィンさんに気遣わせるのは申し訳ないけど、伝わったならいいや」
それから彼らは言葉少なにマーメイドの拠点へと足を踏み入れる。
海上移動都市【ポロトコタム】。
それは、初代であるセイヤが仲間と共に作ったと言われている。
水の種族であるマーメイド──シーエルフのための本拠地。
そこならば戦闘力がなくとも外敵に脅かされない。
さらには、移動可能なため拠点の場所も掴まれづらい。
情報収集がメインの彼女らには、うってつけの住居だった。
「まぁ~! 陛下っ! それにアイナリンド様にエルフィロス様も! ようこそポロトコラムへ! さっそく王の間がある【ブレイブ・パレス】へとご案内しますので、どうぞこちらへ~」
敬愛する主君が来訪してくれる。
マーメイドの長であるエアルウィンはウキウキと出迎えた。
一瞬、間延び口調を忘れるほどの心地だった。
これまで他の種族の長にすら素を見せていないのに、である。
シュンとしているエセ双子とは真逆のテンションだ。
「【ブレイブ・パレス】……。あの、エアルウィンさん。もしかしたらと思ったんですけど……エルフの各都市って同じような建物があったりします?」
「はい! ございますよ~! 他の二都市はですね~、【オーガ・パレス】に【ロード・パレス】ですね~」
「なるほどー…………え、【オーガ】!? それ本当ですか?」
「本当ですよ~? マウンテンエルフの温泉首都【ウフィーピラ】にある建物がそうですよ~」
「しかも、よりにもよってエイルさんの所か……。でも、彼女が名付けたわけじゃないしなぁ」
なぜかエイルには寛大なセージ。
ここに、エルフ差別が起ころうとしていた。
仮にこれがフォレストエルフの場合なら……。
恐らく『オーガはお前らの方だろ!!』とでも言っているに違いない。
「あそこは【錬金鍛冶チート】のチナツ様が担当なさっていたかと~。とはいえ、名付けたのはマウンテンエルフのご先祖様ですね~」
「うーん、ご先祖様の仲間が……いや違うか。これ間違いなく、我が家が由来だな。ところで、エアルウィンさん?」
「はい~?」
「ちょっと──二人で話せる場所、用意できません?」
「まぁまぁまぁ~!! では、このまま【ブレイブ・パレス】の王の間へご案内を~」
テンション爆上がりのエアルウィン。
一方、フォレストエルフ組は置いてけぼり状態。
ここに着いてからというもの、ずっと所在なさげである、
「私たちは、ちょっと海風に吹かれてきます……」
「本当に申し訳、ございませんでした……」
セージは二人に『謝りも悪びれもしない』と言った。
だが、いつもであれば違っただろう。
──二人とも謝罪にしろ土下座にしろ、速攻で決めているハズである。
第一、説明不足やウッカリはいつものこと。
セージもその度に、なんだかんだで許している。
そういった部分は素直で、言い訳や誤魔化しなどしないからだ。
もしかしたら、無意識的に厄介だった転生者セナの……悪影響でも受けてしまったのかもしれない。
そして二人は肩を落として外へと出て行った。
「さて、エアルウィンさん」
「はい、陛下」
二人になった途端、雰囲気の変わるエアルウィン。
「まず、お聞きしたいんですけど──ヴァンデリアの紋章付きの竜が飛来してきたら迎撃してました?」
「え? いえ、そのようなことはございませんけども。まだ完全な敵性国家に認定もしておりませんし、移動の早い飛竜で使者が参る可能性も想定しておりました。竜自体は脅威ですけど、もしこちらで【凶悪竜化】しても、どうとでもなります。最悪、防御壁を展開して海上から逃げれば済む話ですし」
「敵性国家認定……俺の意思や事情次第と?」
「ええ。報告の者からは陛下が自ら横暴を許容したと受けましたので。……もちろん牽制とはいえ半分以上は本気の勧告を行いましたし、現場にいて陛下の指示がなければ即時開戦していたのは間違いございませんが」
「そこは全エルフ共通ですよね……。ところで、もし使者の想定をしてなくてポロトコラムで迎撃。俺ごと飛竜を落としちゃったとします。その場合って──どうします?」
「陛下ごと撃墜してしまった場合……? 種の滅亡ですかね。私はもちろんですが、シーエルフの他全員も自決いたします。その日を境にポロトコラムの廃墟化決定です」
「ええええ!! マーメイド絶滅!? 俺が思ってたよりもっとヤバかったのか!! あっぶな!! 飛竜撃墜に関する件と、完全な敵性国家認定をしていないって話を聞いても、『ヒヤリ』ってレベルじゃないんですけど!!」
「特別な事情でもない限りは、恐らくどのエルフも同じ行動をとると思いますけど……。そういえば、二人きりでお話がしたいとおっしゃってましたけど、ご用件をうかがっても? ふふ、愛を囁いていただけるなら、いつでも歓迎いたしますよ」
プロポーズ直前の時と同じく、エアルウィンは茶目っ気を出して言う。
「はは、それはまたの機会で。今回はですね、ちょっと相談したいことがありまして──」
どうやら、セージも冗談だと理解しているようだ。
軽く笑いながら本題を切り出す。
………………。
「なるほど、そういったお考えが。かしこましました、私に異論はございません。無論、陛下のご意思に全面的に従います。しかし──なるべく手心を加えて差し上げてくださいね? お二人とも、陛下のことになると人が変わるようですし。と、それはともかく、アイナリンド様とエルフィロス様をお呼びして参ります」
セージとエアルウィンの間で一通りの話がつく。
すかさず、エアルウィンは入り口付近にいたシーエルフに伝達。
当のアイナとエルフィを呼び出したのだった。
二人は神妙な顔つきでセージの前へと戻ってくる。
「それじゃあアイナにエルフィ。方針が決定したんで通達を行います。とりあえず、君ら二人は【カムエンペ】にリコール。【エルブリッジ】にはエアルウィンさんと戻ることにしたから。あ、自決と泣き落としは絶対に禁止ね。そこまで心配しなくとも、見捨てもしないし挽回の余地は用意してるから安心していいよ。──挽回といってもリコールを一度することは決定だけど」
そして。
とうとうエセ双子のリコールが決まってしまう。
普通、こういう時は、なんだかんだで許すのかもしれない。
物語において、男とは美少女には甘いもの。
理不尽の割りを食うのは大体が男である。
そして紆余曲折の果て、なし崩し的に二人を連れて帰る。
だがしかし。
なんと、決定したのは──まさかのヒロイン(?)リコールという展開だった。
補足:本当にフェードアウトしたまま長々と展開し続けるわけではありません。
※略
【★というかブックマーク。読者の皆様へ とても大切なお願いがあります】
現在、今作は累計ランキング圏外。
そのランキング差は「760000pt」です。
(総合評価が10000pt超えたから、とうとう750000ptのご報告ができる! と思ってたら、あちら10000pt増えてたんですけど。なんなんですかあれ)
もうあと一歩で、夢のランキング表紙(1位)に入れるのですが……
ここからの伸びが非常に厳しいのです……
次の更新が、おそらくランキング上位に入る、
最後のチャンスだと思います……
少しでも、
「なんだよ更新してんのかよ」「また後書きで遊んでんのか」
「続きが気になる!」「エルフどうなるの!?」
「柚子胡椒!」「あとブックマーク」
と思っていただけましたら、
広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】を、
【★★★★★】にしてポイントを入れてくださると嬉しいです!
★の数は皆さんの判断ですが、
【★を星の数ほど】をつけてもらえるとモチベがめちゃくちゃあがって、
最高の応援になります!
なにとぞ、ご協力お願いします!
前回、ネタ込みで【強度のかまってちゃん】を発揮したら、
皆さんから予想以上に大人過ぎる対応をしていただきまして。
出来た人間が多すぎと申しますか。
この物語の中の賢者より
ここの皆さんのが、よほど賢者なんですけど。
さらには、個別メッセージまでいただくという超展開。
本当にお気遣いいただきまして。
なんかこう、面倒くさくてすいません。
更新も感謝とともに行います。
あ、ちなみに後書きが復活しておりますね?
以前の「栞代わり不便」に対する意見の反映は一時的なもの。
理由は感想欄にて。
とはいえ、そういったご意見もないがしろにはできません。
でもしかし、もし本当に「後書き長い」勢がマジョリティ化したら自重します。
皆さま、ブックマークに追加と★、ありがとうございます。





