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エルフ合流、そしてションボリ~アフターが付いてない件~

「このたびは、何より大切な王を放り出して、多大なご迷惑を……」

「う、うぐぅぅ、申し訳、ありませんでしたぁ~」


 石畳に正座させられているエセ双子。

 フォレストエルフの長老・アンダリエルの(めい)である。

 異世界よりセイヤからもたらされた伝統的な座法である【正座】。

 その伝統は現在、エルフの王族である二人に容赦なく牙を()いていた。


 姫なのに地面に額を付けっぱなしのアイナ。

 姫なのに泣きべそをかいて反省しているエルフィ。


 場所は前回から引き続いての会議室。

 戻らない王に気づき、泡を食って飛び込んできた二人。

 厳粛(げんしゅく)な場にも関わらず、即正座を申し付けられる。


 本来、フォレストエルフは一部を除き、エルフ種全体の盟主であるという立場なのだが……。


 今はこの場の誰もが、その盟主に対して(あわ)れみの感情しか(いだ)いていないのであった。


「元は俺が悪かったことで、置き去りにもしちゃったわけだから……。あの、アンダリエルさん、そういうことで。見ていると()たたまれないというか──あまりにも悲しい光景ですし、ここいらで許してやってくれません……?」


「セージ様は二人に甘いですね。二人とも、(おろ)かな(おのれ)(かえり)みて、王に何か申し上げることは?」


「ありがとうございますありがとうございます! この胸に抱いた感謝の印として、文字通り私の胸をご自由に……!」

「あっ! ならば私は! 王のお好きな、お風呂──」


「うん──もう一刻(いっこく)は大丈夫そうだな。そろそろ二人とも、【エロフ】とかに改名しとく? どうして二人は事あるごとに俺に対してエロく()ろうとすんの? 君ら、名実ともにエルフの姫的な立場なんだろ? 『別に清楚(せいそ)であれとまでは言わないけど、せめて姫なんだからもう少し(つつし)みは持てよ』って意見は──勝手な押し付けで、俺の偏見なのかなぁ? そもそも慎みって言葉自体、バーサーカー的な存在であるエルフの辞書には()ってないのかな? それとも、実はどこかで【好色覇王】の異名を俺に取らせたいほどの恨みでも買ってたとか?」


 先ほどまでは雪解(ゆきど)けを思わせる、春の(おとず)れを感じさせたセージの温かな視線。


 だが逆効果な発言により、秒速で氷点下になっていた。

 そして二人に対する怒涛(どとう)の質問責め。

 エルフィなどはセリフを最後まで言わせてすらもらえない。


「え、英雄は色を好むので、『気を引きたいのなら、とりあえず脱いでおきなさい』と教育係の者が」

「男色でさえないのなら、──ひぃいいい!?」


「──────」


『氷点下をも下回る、形容しがたい視線だった。アレは生き物に向けていい目じゃなかった』

 その時、王の容赦ない眼力を浴びた二人は、後にそう語る。


 その好戦的な姿勢から『修羅の世界で生きている』と(ちまた)で評判のエルフ。

 セージの住まうヴァンデリア王国などでは、『人類の天敵』とすら公言されている始末である。


 そのエルフの心胆を──勇者の視線は、これでもかと(さむ)からしめた。


「はぁ、もういいですから。二人とも、ひとまず席につきなさい。ご覧なさい、他の族長も迷惑を(こうむ)っているでしょう」


 一番奥に配置されている王の座席。

 その主は不動であり、勇者のものとされている。

 その左右は先ほどまで空席だったが──。

【正座】とともに伝わる、セイヤの時代からの伝統。

 その二つは、フォレストエルフの姫達のために用意されていた席だった。


 事情を知らない者がここだけ見れば、十中八九は驚くに違いない。


「それで、セージ様の──エルフ王の()を、どのように世間へ(とどろ)かせようという話ですね」

「我らが不在の間、各種族の長は良くやってくれました。全エルフの王であるセージ様の御名(みな)(もと)、ここに友好と感謝を──」


 席についた途端、先ほどまでの情けない顔は嘘のように()りを(ひそ)め……。

 まるで王族かのように、姫らしい発言を取り始める見目麗(みめうるわし)しき二人。


「その立ち直りの早さだけは誇張(こちょう)抜きで……いや、皮肉じゃなく、マジで感心するわ」


 先ほどまで、『形容しがたい視線』を放っていたセージの目。

 その目は驚きのあまり、今では丸くならざるを得なかった。


「セージ様……二人が何か余計なことを言う前に、強制的に舵取(かじと)りをなさった方がよろしいかと」


 アイナとエルフィが着席して以降。

 変わらず、アンダリエルはセージの傍に控えていた。

 もしかすると二人に対し、目を光らせているのかもしれない。


「おっと、そうか。ああ、その前にアンダリエルさん。そもそもなんですが、この会合の趣旨は?」


「こ、この二人は──まさか、そんなことすら申し上げてないとは……!」


「ひっ!?」

「ちちち、違っ!」


 即座に王族から小動物へと立ち戻るエセ双子。

 もはや一周回って、その様子にセージは愛嬌すら覚えていた。


「まあまあ。【エルフ・カーニバル】とかいう名前だけ聞いてたもんで……どちらかというと、会議というよりお祭りみたいな集まりなのかなと」


「それも間違いではございません。会議の後は街でお祭りが行われますし。会合の趣旨は、そうですね……セイヤ様の時代以来、久方ぶりに現れてくださった王との顔合わせ──言ってしまえば、親睦(しんぼく)会です」


「ああ、そういう……。俺が王とかいうのは取りあえず置いておきまして、ここはもう、アンダリエルさんにお聞きしてもいいですか?」


「? はい、なんなりと」


「あの……、さっき『フォレストエルフよりも控え目な種族がいれば』って質問に誰も名乗り出なかったんですけど。もしかして、全種族がバーサーカーなんでしょうか……?」


「それは──なんと申しましょう。失礼な物言いになってしまいますが、『セージ様の質問の仕方から挙手できなかった』が正しいでしょうか……」


「俺の質問の仕方?」


「はい。『武力的に好戦的でない』という尋ね方なら──ここは人間族と同じ呼び方を私もしますね。ダークエルフ以外は手を挙げていたかと」


「?? そうなんですか? ちょっと、違いがわからないんですが」


「そうですね……。ここは、僭越(せんえつ)ながらエルフ各種族の特徴をご説明します。ということで皆さん、しばし、自由になさっていてください! ──アイナとエルフィはその間、正座で」


 さりげなく身内に厳しいアンダリエル。

 大人しく、ションボリと正座へ移行する二人。


「まぁまぁ、さっきは俺もそう言いましたけど……さすがに半泣き美少女の正座は見ていて可哀そう過ぎるので。それより、ご説明いただいても?」


 まさかの正座免除。

 敬愛する王からの思わぬ助け舟。

 何かと可哀そうな二人はパァッと顔を輝かせた。


「端的に申し上げますと──全エルフに言えることなのですが、情熱的なのです。それはもう、各専門分野に限った上での話なら控え目どころか苛烈(かれつ)と言っていいほどに」


「か、苛烈!? それはまた……。ドワーフとマーメイドに至っては苛烈どころか、平和主義っぽく見えるんですけど……」


「戦闘面におきましては。ですが、専門分野の熱量に限っては大差ございません」


「と、言いますと?」


「……では、大まかな概要を。フォレストエルフはご存じの通りです。正面から敵を押し切ります。ダークエルフの価値観はフォレストエルフとほぼ同じ。ただし、どちらかというとゲリラ戦や、策による戦闘を得意としております。ドワーフは鍛冶や物づくりに対する熱量が。マーメイドは恋愛──いえ、ああ見えて、心理戦や政治的な駆け引きに突出しております」


「ん? ダークエルフがフォレストエルフのライバル的な感じってのはともかく、やはり他の二種族は控え目なのでは……?」


「それぞれ、物づくりと情報戦においては──『フォレストエルフの戦闘に比肩する。時と場合によっては、その上すらも行く』とお聞きになっても?」


「…………なるほど、把握しました。つまり、どの種族にしろ──何らかの形で、一癖も二癖もあって自己主張が激しいと」


「そういうことです。話の流れから得意分野の説明も入ってしまいましたが、大よそのご理解はそのように。とはいえ、セージ様を害そうとする者だけは絶対におりませんので、そこはご安心ください」


「そこは特に心配してませんが。そうだ、失礼な聞き方になっちゃうんですけど──アイナとエルフィの【エロさ】も、フォレストエルフの特徴ですか……?」


「それはこの二人に限っての話で例外です。語弊(ごへい)を承知で申し上げるなら、本来はマーメイドに多いタイプですね。普段はもっと──いえ、エルフの姫らしく厳粛(げんしゅく)で身持ちは異常に固いのです。それはもう、不逞(ふてい)(やから)(はずかし)めを受けるくらいなら躊躇(ちゅうちょ)なく自害を選ぶほどに。ただセージ様に関してだけは……大好きすぎて言動が制御できないようです。いや、本当にお恥ずかしい」


「あ、あぅあぅ」

「うぅ……」


 その言葉に赤面して恥ずかしがる高潔(こうけつ)な姫であるハズのエセ双子。

 まるで、『穴があったら入りたい』とでも言わんばかりの態度である。


「何かあってもアフターケアはするから。頼むから、自害はせんでくれよ……」


 その様子を見て、セージは思わず『羞恥心……普通にあるんじゃん』と漏らすのだった。

※この後書き。もし大元の方からご意見が出たら即刻取り下げます。


現在、本作は累計ランキング圏外。


サイトに大きく表示される1位とのポイント差は【760000ポイント】。


この更新が浮上する、最後のチャンスかもしれません……


ところで、ふと思ったんです。

これ、恋愛【異世界】の要素ありませんかね。

ほら、貴族(王族)令嬢エルフと王(仮)の恋愛事情的な。


よし、ちょっとジャンル出張してきます!


「おいバカやめろ」「無茶な!あの魔境へか!?」

「エルフもここが終焉か……」「死にに行くようなものじゃ……」

「続きが気になる!」「(作者の)ざまぁ期待してるよ!」


と少しでも思って頂けるよう頑張っています!


ちょっとでも応援していだたけるのなら【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】から【★★★★★】にぜひお願いします!


少しでも更新を続けていく上で、皆様の応援が大きな励みになります!


それほど読者様一人の10000000ポイントはめちゃくちゃデカいです……!


いつも通り、★は感じたまま……一人につき千個くらいで構いません。ぜひ皆様の清き評価をお願いします!


あ、現在はいくらかストックがあるので、即刻打ち切りはない(かもしれない)です。



そうそう、前回の感想にて。

とあるお方から有難いことに【五星球】を進呈していただいたんですけど……。


そこでとても重要なことに気づきました。

『これ、【六星球】と【七星球】は、どうあがいても手に入らない』のではないかと。


つまり、【運営様は願いなど、最初から叶えるつもりがなかった】。


『七個も集まる可能性など当初から皆無。我々はまんまと騙されていたのだ』


なんという設計バグ。


というわけで、★とブクマを探しににちょっとだけ冒険(ジャンル移動)してきます。




おそらく、すぐに泣きながらコメディジャンルへと戻ってくるんでしょうね。

早ければ30分くらいで。

即オチっていうんですかね、これも。

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― 新着の感想 ―
[一言] テンポも良いし面白い。 ただ、埋もれちゃってるんだろうなーって。 なろう歴が長い人とかコメディージャンル好きな人とかには刺さると思うんだけど、3行タイトルってだけで嫌厭する人が多いから、遠因…
[一言] とりあえず、あとがきが本編であることは理解した。 本編など前座でしかないのだよ。 五ツ星、てことは、ファイブス・・・げふんげふん。
[良い点] 大人がなろうを読んでると面白く、なろう慣れしてないと???な作品。だがそれが良い。
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