エルフ無双というか集結アフター・いつからエルフが一種族だと勘違いしていた……?
「我が王よ、そろそろ時期です」
「ええ、じきに会合の時を迎えようとしています」
エルフ二人は唐突に切り出した。
もはや何度目になるのか。
相も変わらず主語が無い。
「君らさぁ。まだ物忘れって年にはまだ早いでしょ? 何回、同じ切り出し方をしてるんだよ。そんな美女の見た目のクセに。いい加減、主語から話題を始めるクセを付けない? というかさ、物忘れの激しいお年寄りみたいな切り口、そろそろ止めてくれよ」
セージはサスケへのブラッシングをしながら言う。
「び、美女ですか!?」
「王からのその言葉、何度聞いても慣れません!!」
他の人間からは美人と言われ慣れているエルフの二人。
すでに食傷気味のその称賛。
だが、セージからに限っての場合のみ、過敏に反応しているのだった。
未だに耐性がつかず、ビクンビクンと喜んでいる。
「中身がバーサーカーでさえなければ、そりゃあ俺もなぁ……で、今回は何なワケ? もし収穫を邪魔するだけの野暮な理由だったら……今後三か月、発酵食品と植物性の食事抜きな。容赦なく肉、食らわせるから」
その上、サスケ用のブラシを仕舞いながら「しかも君らが苦手なジビエな」と付け加える。
「そそそそそ、そんな!?」
「我が王よ!! それは、あまりな代償ではございませんか!?」
「いや、焦り過ぎだろ。もう! 黙って脱穀を手伝うなら【冷蔵魔法】で冷やした最上の麦酒を振舞うってのに──」
「お麦酒様でございますか!?」
「我が王、万歳!!」
諸手を挙げて、大喜びのエセ双子。
「そうそう、そうやって素直に──」
「──ハッ! エルフィ! 王の甘言に惑わされるとは何事ですか!?」
「アイナこそ!! 今回は重要な案件だというのに、なんと低俗な!!」
そんな喜びもつかの間。
エルフ二人の間で、醜い争いが発生していた。
「わかった、わかったから。二人とも仲良くしろって。美女同士の言い争いは見るに耐えんよ。で、今回はなんなの? さっきもチョロっと言ったけど──当然、この収穫を上回るほどの用事なんだろうな……?」
無上の喜びであるところの収穫。
そしてそれに水を差しかねない今の状況。
二人は、セージの背後に鬼神のような幻影を見る。
「ひ、ひぃっ!?」
「王よ! すぐに理由をご説明しますゆえ! その覇気はお収めください!」
「相変わらず覇気がどうとか、ワケのわからんことを。いいから、まずは要件を言ってみろって。まぁ……収穫以下のくだらん話でも、今回はセクハラくらいで済ませてやるから」
「セ、セクハラ!?」
「そんな!? まだ武功すら立てておりませんのに! そのようなご褒美など!!」
「ドMどころじゃねぇな。セクハラすらご褒美かよ! というか武功の褒美がセクハラて。そんな理不尽を働いた日にゃ俺、世間様に顔向け出来ねぇよ。逆に、君らを本当に罰したい時ゃ、俺はどうすればいいんだよ?」
「そうですね。率直に申し上げるのなら、我々への無関心、もしくは里へのクーリングオフ──」
「アアア、アイナ!? 我々の弱点をそのように、王へと気軽に漏らしたら──」
「オーケー、無視とエルフの里へのリコールね。覚えておこう」
「はわわわわわ!!」
「セクハラなら歓迎いたしますので、それだけはご容赦をっ!!」
「だからさ、これ当初から言ってるけど──油断した頃合いに人を外道扱いするのやめろよ!! エルフみたいな美人が言っちゃうと、マジで俺、犯罪者みたく映っちゃうんだよ!!」
「び、美人ですか!?」
「王からのその言葉、何度聞いても慣れません!!」
「もうそれはいいから! いい加減、要件を言えよ!! 堂々巡りで話が進まないだろ!!」
そして、エルフ二人は今回の事情を説明するのだった。
「なるほどねぇ。【エルフ・カーニバル】か。エルフってバーバリアンなだけかと思ってたら、そういうハッチャケ方もしてんのなあ。しかし、エルフって君らだけかと思ったら、かなりの種類が存在したんだな。えっと──君ら【フォレストエルフ】に加えて【デザートエルフ】に【シーエルフ】、【マウンテンエルフ】。四種族か」
「正確には五種族です」
「いちおうですが、それぞれのエルフの王族に限り【ハイエルフ】と呼ばれてますので」
「え……? じゃあ、まさかだけど。君ら二人って【ハイエルフ】?」
「ええ、もちろんです。正確には【フォレスト・ハイエルフ】です」
「といいますか、勇者であり王でもあるセージ様に侍ることが出来るのは、【ハイエルフ】でなければならないという決まりです」
「相変わらず情報を小出しにしてくるのな……。ん……? 待てよ。その言い方だと、森に住むエルフ以外にも【ハイエルフ】が存在するみたいに聞こえるんだけど」
「はい、申し上げておりませんでしたか?」
「各四部族の頂点に、それぞれの【ハイエルフ】がおります」
「それじゃあ──【ハイエルフ】であるなら極論、君ら以外の部族でもいいってこと?」
「はい。それぞれの部族の【ハイエルフ】が【覇王】に侍る権利──ぁッ!?」
「アイナ!? 何を余計な情報を、王に漏らしているのですか!?」
「俺、好戦的でない種類のエルフ、興味あるな」
「あっ、ああぁあああ!?」
「ほら見たことですか! 王が興味を持ってしまわれたではないですか!!」
「そういや祭りで会合とか言ってたな。ということは、各地の【ハイエルフ】が集うとか?」
「そ、そうなのですけども!」
「王よ! 今回に限っては勘が良すぎませんか!?」
「勘もなにも。君らが言ってたんじゃん」
「うぅう……。あ、しかしエルフィ」
「ええ。他の種族もエルフとはいえ、我ら以上に魅力的な【ハイエルフ】など存在しないハズ」
「それ、俗に何て言うか知ってる? ご先祖様いわく【負けフラグ】っていうらしいよ。二人とも残念な結果になりそうだな。残念美人なだけに」
「セージ様は我々をお見捨てになりませんよね!? あっ! 私、脱ぎます! 女の子の裸、お好きですよね!?」
「私たち、恥も外聞も投げ捨てて尽くしますし! では私は王がお好みの、脱ぎたての下着を!」
「だから! そういう情に訴えてくるの、やめろよ!! つうか、あたかも俺が脱衣プレイとか下着フェチを望んでる風な押し付け、マジでやめろ!!!! 人から見られたら誤解されんだろ!!!!」
いつも通り、ギャースカと騒ぐ三人。
これはこれで、仲が良いことの証拠と言えなくもない。
結局、エルフの里へ向かうことになったのだった。
今回は祭りっぽいので、普段お世話になっているキサラギも誘おうとしたのだが──
『ありがたい申し出なんスけど、いま品種改良で手が離せないものがあって……あ、セージさんの畑とサスケくんの様子も一緒に見ておくっスから、ゆっくりしてきて下さい!』
ニコやかに断られたのだった。
せっかくなのでサスケも連れて行こうとするも、
エセ双子いわく──
『お、おやめください! 【デスフェンリル】がエルフの街に来たら戦争が始まっちゃいますので!』
と、止められてしまう。
たまには王権でも発動しようと考えたセージだったが、二人の様子を見るに、なんだか可哀そうな感じがしたので今回は取り下げることにした。
「なんだかんだ、足しげく【エルフの里】へ行ってる気がするなぁ」
「まぁ、首都【カムエンペ】は我らが王の都も同然ですし」
「どうぞ、あちらの方も故郷とお思いくださいね」
「……ん? 【カムエンペ】って。なにそれ」
「?? フォレストエルフの首都の名前ですけど」
「セージ様も、例えば王都【ヴェルフラード】を【人間の里】だなんて、おっしゃらないでしょう?」
「マジかよ! 名前があんの、今知ったよ!! そりゃ、そう言われればそうだけど!! そういう部分って割りと大事なところだろ!! 最初に言っとけよ!!!!」
出発に際しての折り。
特に伏せられていなかった、エルフの都の名が判明した瞬間だった。
例の後書きの冗談って好きなのですけど、なんかゴチャゴチャしてますよね。
思わず「読みづらっ!」と発してしまいました。自分で。
なので今回はシンプルにいってみます。
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……なんなんでしょうねコレ。なんか寂しい。
前書き後書き等を付けない作者様方は
その侘しさに打ち勝った勝者、と申せるかもしれません。





