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 さて、ここからはちょっとした後日談になる。

 山で助けた人の護衛依頼だ。

 まぁ、護衛依頼は建前で、あの人はあたし達へお礼をしたかったようだ。

 ちょっと変だなぁとは思った。

 正装をして迎えを寄越すから家で待ってろと言われ、タマ達は残念だが連れて行けないと言われていたからだ。

 そうして、連れてこられたのは県外、それもこの国の中心部たる王都。

 テレビでしか見たことの無い、とあるビルの中にある高級レストランだった。

 学生の正装は制服なので、半袖セーラー服姿だが学生というだけで場違い感は十分だ。

 

 「この度は娘を助けて頂き、本当にありがとうございました」


 「あ。いえ」


 女性のお父さんだという、ロマンスグレーなおじ様が深々とあたし達へ頭を下げてきた。


 「しかし、まさかジーン様ともお知り合いだとは思いませんなんだ。

 縁とは繋がっているものですね」


 「え、えぇ、こちらも驚きました。ね、ココロ?」


 「うん、驚いた」


 おじ様の言葉に相槌を打っていると、女性が、クスクスと楽しそうに会話に参加してきた。


 「ええ、私も驚きました。

 まさかジーン君、ジーン様とあんなに親しくできる人がいるなんて考えていませんでしたから。

 彼、けっこう気難しいんですよ」


 気難しい??


 「そうなんですか?」


 「えぇ、学院時代ですら彼とアドレスを交換できた人なんて片手で数えられる程度だったんですよ」


 「へぇ」


 しかし、結構気安いというか。

 むしろ、図々しい感じがするんだが。


 「ましてや、それが十歳も年下の女の子が相手だから、不敬だとは思うけれどね、そういう目で見てしまって」


 そういう目ってどういう目だ。


 「学院時代の友人だからって、お前は本当に失礼なやつだな」


 ロマンスグレーのおじ様が、苦笑しつつ窘める。


 「でも、ね?

 ほら、そっちの子の時はいつもの反応だったのに、アナタの時はなんて言うか、彼、もっとずっと人間らしかったから」


 女性の言葉になっちゃんが、


 「むしろ、無視してる感じでしたね。

 お仕事なんだろうなぁって思って、こっちも知らん顔してましたけど」


 なんて補足してくる。

 それを聞いて、女性が満足そうに微笑んだ。


 「……話を統合すると、ジーンさんって、芋娘好きのロリコンってことですか?」


 「かもしれないわねぇ。

 でも、卑下はいけないわ。ココロさんは十分可愛いし。

 十年後はすれ違う人たちが皆振り返る美人さんになることでしょう」


 妙な同意されてしまった。

 しかし、エルフのマリーや吸血鬼のエリーゼならともかく、あたしみたいな平々凡々より下の容姿を見て美人さんとか。

 お世辞にしては言い過ぎだ。


 しかし、そういう目って、そういうことか。

 なんだそれ、キモイな。

 いや、ちょっと待てよ?

 

 「あはは、ありがとうございます。

 ただ、ジーンさんって、格闘技とかそういうの好きなんじゃないんですか?」


 あたしは思い当たる節があって訊ねてみた。

 格闘技じゃなくても、ストリートファイト的なものが好きなのかもしれない。

 それも女の子同士の。


 「いえ、そんな話は聞いたことないわ」


 ということは、ニッチな趣味だから隠してるなあのイケメン。

 まぁ、いっか。

 確かめる気力もないし。

 そこから先は雑談しつつ、お礼として普段なら食べられないご飯を奢ってもらい、終わった。


 とりあえず、こんなところで一旦筆を置くとしよう。

 これは、あたしの人生が変わったあの頃のハジマリの記憶だ。

 黒歴史後悔ノートでもある。

 でも、大事な、大切な思い出だから。

 いつか、また、あたしに至るまでのそれからの記憶を書き綴ろうと思う。



 あ、そうだ。

 最後に、これだけは書いておこう。

 動画企画の一件があって、リリアさんとエリスちゃんはテイマーを辞めたらしい。

 もう表に出てくることは無かった。

 今どこでどうしているかは知らないが、元気かな。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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