表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

【 2 】




だが僕の部屋には女の裸が散乱していた。それを君は知らない。


四角形に切り取られた立方の裸だ。

それは毛深い立方だ。


貼り付けられた毛深さ。

貼り付けられた立方。


それは血を流さない。血のかよう君とは違う。


そう言いたかった。

意味不明だろう。僕自身そう思う。


(にすい)、何してん、今日、学校来なかったやん」


「いや」


口籠るのが関の山。


「しばらくぶりじゃね、あたしと会うのも」


「うん」


僕は虫だろうか。鸚鵡(おうむ)のほうがまだ喋るだろう。(ふさ)ぎの虫。そういう素描。抽象ではなく具象。


堕手(だて)さんは怖がらないね、僕を」


と。空を見るとそれもやはり白だったが、その白に赤いくらいの哄笑が炸裂したんだ。黄色を通り越してあの君の声は赤く見えた。


笑いがなかなか止まない。通学鞄のデイバッグが君の背に愛憐な様子で揺れたけれども、それも何か色を忘れた様に白かったね。


君の唇と、声、存在だけが空間の中で赤い。


「あはは、笑う。つうか笑った。ニスイ、おもろ。やば。ちゅうにびょう、でしょ、それ」


ライトノベルならば、それは永遠の凍土を明るめる炎の鍵の様な言葉だ。鍵の笑顔。


だけれど、僕の皮膚はただ痛んだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ