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第44話 完走

「『どっかんハンマ―――――――――!!』


 ワイヤレスホンに幼げな声が響き渡る。


 青いオーラをまとった巨大なハンマーがしたたか凶悪な姿の狼男を打ち据える。


『グオオオアアアアアアアアア!!!』


 人身狼頭のビーストが顔をのけぞらせて断末魔の叫びを上げ、まるでスローモーションのように緑風公園の石畳みに倒れ伏した。


 その体は間もなく電子的に分解されたかのように、細かいドットとなって中空に消えていった。


 華やかなファンファーレが鳴り響く。


 YOU WIN! の文字が空中に浮かび上がり勝利を高らかに告げた。


「よし!」


 SAIが両拳を握り締めて吠える。


一方ラプシェは、


「………………」


 ハンマーを地面に立て何か祈るように額をその柄に当てて静かに目を閉じていた。


・・・・・・・・・・


「これで俺達三組全員イベント完走だな」


 新が笑顔でSAIに近寄りポンと肩を叩く。


「ああ! 何とか追いつけた」


 SAIは金色の髪を掻き上げながらサングラス型VRグラスの奥の目を細め、笑って見せたが、その顔には疲労の色が濃い。


「完走おめでとうございます!!」


 アルパカが弾むような声で祝福の言葉を述べた。


「でもよく完走できましたよね。たったの4日で! 私達なんて2週間くらいかかったのに………」


「さすがにキツかった。この数日はビーストを探し求めて歩き通しだった」


 ゲッソリした様子でSAIは苦笑している。


「こういう時はSOHがオンライン対戦だったらいいのにと思いますよね」


 そんな金髪の青年の有様にアルパカはクスクスと口元に手を当てて笑っている。


「でも外に出て他人とプレイするSOHじゃなきゃできない経験もあるよな」


 新も微笑みながら口を出す。


 SAIはサングラスを指で直しながら頷いて見せた。


「同感だ。SOHがなければ私は今頃………」


 その言葉が途中で止まる。


「? どうしたんですか?」


 不意に発言を途切れさせたSAIをアルパカは怪訝そうにのぞき込む。


 SAIは彼女の視線から逃れるようにふっと目をそらした。


「いやなんでもない………」


 どこか固い声。


 新は言葉の続きを聞いてみたかったが、さすがに空気を読んだ。


「あ~、そうだ! これから飯でも食べに行かないか? 3人で!」


 ちょっと大げさに声を張ると、アルパカがすぐに乗ってくれる。


「あ! いいですね! そろそろ日も沈んでくる頃合いですし、私お腹がすいてきました!」


 お腹をさすりながら言うと、彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「そうですねえ~。ARATAさんのおごりでフランス料理とかどうですか?」


 新は目をむいた。


「なんで俺のおごりなんだよ?! フランス料理とか無茶言うな!!」


 思わずツッコミを入れた新に、SAIが笑い声をあげる。


 いつもクールぶっている彼にしては珍しいことだった。


 綺麗に整った彼の顔は笑うと思いのほか幼く見えた。


 新とアルパカもそんな仲間の様子に顔を見合わせて微笑み合う。


「じゃあ間を取って牛丼にしときます?」


「どの辺が間なのか全く分からんが賛成だ。ただし割り勘だぞ」


「ええ~? ARATAさんのケチ~」


「ケチで結構!」


「牛丼か。私は初めてだな」


「え? マジか? それは人生半分損してるぞ!」


「うわ、ウザいな!」


 モフリンとのいつかのやり取りをリピートしたSAIと新にアルパカが噴き出し、二人も笑い出す。


 優しい茜色の空の下。


 三人は騒々しく街に消えていくのだった。


というわけで新、アルパカ、SAI三人とも無事イベント「ビースト・ハント」を完走することが出来ました!


ヾ(≧∇≦)/ヾ(≧∇≦)/ヾ(≧∇≦)/


仲間と一緒に達成したイベントは喜びもひとしおです たとえビーストハント自体はソロプレイでもそれは変わることが無いと思います ・・・というのは私が某お船ゲームで味わったことなのですがw


さて次回は今まで謎だった運営のあれこれが明かされます


イベントの謎も明かされる次回乞うご期待ですd(*^v^*)b

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