表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/83

第3話 モフリン

 翌日。


 新とSAIが遅れてくるというアルパカを待ちつつ雑談していると。


「こんちわ~~!!」


 元気な声が聞こえて、でかい部活用のバッグを抱えた女子高生が公園に入ってきた。


 一昨日暇を持て余していた新とSAIに挨拶をしていった少女モフリンだ。


 今日は後ろにさらに二人の女子高生を連れていた。


 よく緑風公園で見る顔。


 アルパカが、乙女ゲー好きと言っていたモフリンを含む三人のうち残る二人だ。


「ほれほれ! 挨拶しなよ!」


 モフリンが自分の影に隠れ気味の二人を押し出して、文字通りケツを叩く。


 た、叩かないでよお~、とか言いながら、まずは大人しそうな栗色の髪を一本の三つ編みにして背中に垂らしたメガネの少女が前に出てきた。


「こっ、こんにちは、『ミナミ』です。よっ、よろしくお願いします!」


 折り目正しく90度のお辞儀をしてくる。


 あ、どうもどうもこちらこそと新も思わずお辞儀を返した。


 ちなみに横にいたSAIは例によって固まっている。


「『アイカ』。よろしく」


 端的に自己紹介して軽く頭を下げたのは、腰まであるロングの癖のない黒髪の頭に白いカチューシャを載せ、ちょっと冷めたような印象の半眼気味の瞳をしたクールな感じの少女だった。


 何故かSAIを凝視していて、ビビったSAIが目をそらしている。


「俺はARATAこっちがSAI、あと一人アルパカは知ってるよな?」


 二人がちょっと微妙な表情でうなずく。


「というわけでこの三人とそっちの三人で対戦しようぜ!」


 何が『というわけ』なのか分からないが、モフリンはビシッとサムズアップしながら満面の笑みでそう提案してきた。


「あ~。それはいいんだけどまだアルパカが………」


 言いかけた新の服の裾をSAIがちょいちょいと引っ張る。


 なんだまた自然に呼ばれたのか? と思ってみてみると、SAIは公園の少し離れたベンチのあたりを指さしていた。


 ベンチの影からはなにやら丸い柔らかそうな物体が見え隠れしている。


 ………というかあれアルパカの乳じゃね?


「何やってんだアルパカ?」


 思わず半眼になった新が、姿隠して乳隠さずという離れ業をやってのけた女に声をかけると、アルパカはきまり悪そうに頭に手を置きながら、物陰から出てきた。


 その表情を見て新は察する。


 そういえばアルパカは一度この女子高生グループに参加したものの、年齢と趣味がいまいち合わなくて新とSAIのグループに移ってきたのだった。


 見ればおさげ髪のおとなしめ少女ミナミとカチューシャのクール系少女アイカもどこかきまり悪げに、アルパカと目を合わせられずにいる。


 しかしそんなことはお構いなしのやつがいた。


「アルパカさん久しぶり! あいかわらず美人だ! おっぱいでかい!」


 モフリンはあけすけな笑みを浮かべると、アルパカの手を取り勝手にシェイクハンド。


 アルパカは思わず「お、おう」と新みたいな返事をしてされるがままになっている。


「これで三人そろったね! 対戦しよしよ!! ARATAさんいいよね?」


「ああ。俺は良いけどSAIとアルパカはどうだ?」


「私は構いませんよ。そろそろ他の『組』(パール)とも対戦してみたいなと思ってましたし」


「………………」


 アルパカが答え、SAIはコクコクと無言でうなずいている。


「よし! じゃあ決まりだな。組み合わせはどうする? くじ引きでもするか?」


「うーん。それも面白いけど今日はこっちで決めていい? 事前に話し合ってあるんだ」


 モフリンはそう言いながらアイカをちらりと見る。


 アイカは変わらぬクールな表情だったが、ほのかに頬が赤らんでいる気がした。


 新は何となく事情が分かった気がした。


・・・・・・・・・・


 対戦は新がモフリン、SAIがアイカ、アルパカがミナミとすることになった。


 対戦形式はフルバトル。


 どちらかのニューマノイドのHPが無くなるまで戦うガチ対戦だ。


 これもモフリン達からの提案だった。


 そのことからもかなり気合が入っていることがうかがえた。


 新たちはそれぞれの対戦相手と違うベンチに座って対戦することにした。


 幸い公園のベンチは多く空いている場所はいくらでもある。


 ピロリン、と音がしてモフリンから対戦申請が来た。


 名前はそのままモフリンだ。


 たぶんニックネームか何かをそのまま使っているんだろうなと思いながら新は対戦申請を承諾。


 そのまま対戦になだれ込もうとしてふと思いとどまり、ニューマチャットウインドウを起動してみる。


 たちまち画面の右上端にハルが顔をのぞかせるウインドウが現れた。


「何?」


 ハルはメンテ後も基本仏頂面だ。


 ただ語気から以前のような刺々しさはなくなっている気がする。


「いや今まで対戦したことがないニューマと戦うことになりそうだから、一声かけておこうと思ってな。大丈夫か?」


 ハルは「ふんっ!」と新の配慮を鼻で笑って見せた。


「当たり前でしょ? 誰が来ようがあたしが勝つに決まってるわ! 最近調子いいしね!」


 ハルが言う通り、ここ最近の新とハルは快調だった。


 メンテ明けからこっち連勝こそ途切れたものの、高勝率をキープしている。


 もともと根拠無き自信家であるハルがさらに増長するのもむべなるかな。


 普通のパールならこのあたりで、「あんまり調子に乗るなよ」と釘を刺すところなのだろうが、新はハルの気持ちに水を差すつもりはなかった。


 こういう気が強くて調子に乗りやすいハルが新は気に入っているからだ。


 だから新はこう言うのだった。


「だな。………よし今日も勝つぞハル!」


「おっしゃーーー!」


・・・・・・・・・・


モフリンのイラスト


挿絵(By みてみん)


新キャラ本格登場~ヾ(≧∇≦)/


というわけでイラストを公開いたしました


こんな感じの子です


この子は最初文章を書いている時には容姿が全然思い浮かばなくて、イラストを描いてから容姿の描写を加えました


私は割と文章を書く時にはすでに容姿も頭に浮かんでることが多いんですが、こういう逆の手順を踏むのも面白いですね


次回はモフリン&彼女のニューマノイドとの戦闘です


新しいニューマノイドのイラストも用意しております お楽しみに~d(*^v^*)b

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ