プロローグ
その日新は珍しくワクワクしていた。
変化のない彼の日常の中でほとんど唯一といっていい楽しみ。
それがゲームだ。
現在フリーアルバイターである新は比較的自由な時間が多かった。
その時間のほとんどを彼はゲーム、それもスマホアプリゲームに費やしていた。
だがそれも特に熱中していたわけではない。
新が主にプレイしていたアプリゲームでは、のめりこむ程に課金が必要になるのだが、それもほとんど彼はしたことがなかった。
どんどん課金するほど金がないというのも理由の一つだが、それ以上に熱意というものが彼にはなかった。
彼は今までどんなことにも熱中したことがなかった。
中学までは陸上の短距離走をやっていたが、それも結果が出ず、のめり込むまでには至らなかった。
日々の自由時間にゲームをやっているのも単に暇つぶしだ。
ツイッターなどで毎日ゲームの進行を報告し、何万課金したとか楽しげにつぶやく人達の様子も、新にはいまいちピンとこなかった。
そこまでのめり込む程のものか?
そんな風にどこか冷めた目で熱のこもった彼らをどこか遠く思いながら見ていたのだ。
しかしあの日『彼女』と出会った瞬間から新のそんな認識は変わり始める。
「アンタあたしの相棒になりなさい!!」
『彼女』が開口一番放ったその言葉とともに、退屈だった日常はどこかに吹っ飛び、相棒と、そして仲間たちとの忙しない日々が幕を開けたのだ。
久々の新連載です かなり長い間準備をしてきましたがやっと公開できることになりました
皆さま私が力の限り書いたこの小説ををよろしくお願いしますm(__)m




