表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/83

イントロダクション

 新の頭に血が昇った。


 どうして分からないんだ。


 少しでも俺の話を聞こうとしないんだ。


 そんなに俺が嫌いなのか。


 そんな思考がぐるぐると頭を巡り胸を焼き口からあふれ出た。


「なんでそんなに意固地なんだよ!! 俺の指示を聞くのが何でそんなに嫌なんだ!!訳が分からねえよ!! 指導者とニューマがこんなんじゃ勝てっこねえよ!! お前は勝ちたくねえのかよ?!」


 思わず叫んだ新の前、スマホの中のハルがすごい勢いで振り返った。


「勝ちたいわよ!! 勝ちたいに決まってるでしょう?! あたしは勝ってもっと強くなりたい!! あたしにはそれしかないんだから!!」


「なら………」

 

「でも嫌だ!!」


 全てをぶちまけるみたいにハルは叫ぶ。


「あんたの指示に従うなんていや!! あんたじゃなくても誰の指示に従うのもあたしは嫌なの!!」


 子供のようにいやいやと(かぶり)を振る。


「だって誰かの言いなりになるならあたしの意志なんていらないじゃない!! あたしが居なくてもいいじゃない!! あたしはここにいるのに!! ここにいるのよ!!」


 ぎゅうっと胸を掴み支離滅裂になりながらも、ハルは必死に………、そう必死に叫んでいた。


 そして決定的なその言葉が放たれた。


「あたしはあんたの操り人形じゃない!!!」


「………!!」


 その瞬間新の胸に何かが刺さった。


 それは皮膚を突き抜け心臓を貫き、新の深い深い場所にぐさりと突き立った。


 今まで感じたことのないその痛みに何も言えなくなる。頭が真っ白になる。


 スマホの画面の中ではハルがまだ新を睨み付けていた。


 新はハルが泣いていると思った。


 涙は流れていないけど彼女が泣いていると。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ