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第8話 リザルト

 新とハルは初バトルに敗北した。


 それは完敗と言っていい内容だった。


 なにしろたったの一発しか攻撃を相手に当てることが出来なかったのだ。


 対するラプシェはハンマーによるコンビネーション攻撃を何度もハルにヒットさせていた。


 HPゲージが尽きたことで敗北したわけだが、それ以上に内容でも完敗だった。


「このあたしが負けるなんて………!」


 ハルはショックを受けた様子で石畳に両手足をついたスタイルで呆然としていた。


「マスターさん! わたしやりましたよ! 勝ちました!!」


「やったな! 初対戦で初勝利だ!!」


 対するSAIラプシェ組は勝利を喜び合っている。


 ラプシェなどはフィールドをぴょんぴょんと嬉しそうに跳ね回っていた。


 その度にぽよんぽよんと小柄なのにそこだけ大きな胸部が大きく揺れる。


 新は何となくうむ! と頷いていた。ロリ巨乳とはいいものだ。


 やがて二人のニューマの姿に重ねて半透明、いや八分透明くらいのリザルトウインドウが表示される。


 経験値がまず入りチャリリリリリリと数字が上昇していきハルは2LVになった。


 それに伴いHP、力、敏捷といった各種ステータスが更新され、それを元にした攻撃力防御力回避力などの数値が上方修正される。


 さらにスキルポイント、アビリティーポイントというのを取得した。


 これはLVUP時にもらえるものらしい。


 まだ詳しいことはわからないがニューマを個性的に育てるための要素だろう。


 他にはインテリアコインと装備石というのをGETした。


 これもおいおい何に使うか判明するだろう。


 いくつものブラウザゲームやアプリゲームをプレイしてきた新にはなんとなく察しがついていたが。


「う~~」


 リザルト終了と同時にバトルフィールドのハルの姿が消え、新の手元のスマホに戻ってきた。


 金髪の少女はぶすっとした表情。負けたのが余程悔しかったのだろう。


「あ~………。ハルおまぶっふぉお!!」


 言葉を探しながら何かフォローしようとした新がいきなり吹き出す。


「なによ?! あたしが負けたのがそんなにおかしいっ?!」


 瞬間的にブチギレて威嚇する獣のように犬歯をむき出しにするハルに新は笑いをこらえながら、


「いやちが、おま、顔っぷあはははははははははは!!!!」


 無理! こらえるとか無理!!


 だって酷いのだ。負けて帰ってきたハルの顔ときたら。


 もちろん強気な彼女がしょぼくれているのが面白いわけではない。


 新が思わず笑ってしまったのは彼女の左目のあたりに青たんが出来ていたからだった。


 その様はまるでパンダの如し。


 しかもそれだけではなく頭には漫画調のでっかいタンコブまでできていた。


 これが笑わずにいられようか!


 そのあたりを何度も吹き出しながらハルに説明してやると、彼女はまずます不機嫌な顔になって、


「ラプシェとか言ったわね………。覚えてなさいよ覚えてなさいよ………」


 と呪詛を吐くような呟きを漏らしていた。怖い。


「ARATA君どうかしたかね?」


 笑いの衝動に悶える新の様子にSAIがちょっと心配そうに声をかけてくる。


 負けた新がいきなり笑い出したからだろう。


「いやなんでもないです。それよりお疲れ様でした。初勝利おめでとうございます」


 なんとか笑いを収めて新が言うとSAIはサングラス型VRグラスの奥の目を細め、照れたように頬を掻いた。


「あー、ありがとう。ARATA君もお疲れ様」


 嬉しげにサングラス型VRグラスの奥の目を細めているSAIを見てやっぱりこの人は悪い人じゃないなと新は思う。


「そっちは何LVまで上がりました?」


「うちはLV5までだな」


「結構上がりましたね。やっぱり勝ったほうが多く経験値が入るのか………」


「そのようだな」


 SAIはうなずきスマホを差し出して見せる。


「どうだろう良ければもう一戦」


「いいですね。今度はハルが勝ちますよ」


「ふふふ。それはどうかな? ………おや?」


 二人で対戦申請をしようとしたができない。


 出てきたメッセージによると同じ相手とは一日に一回しか対戦できないらしい。


 しかもハルのようにHPがゼロになってしまうと、現実の時間で八時間以上経過し、HPが全快しないと再び戦うことが出来ないそうだ。


「これはやっかいだな………」


「ですね。今はまだいいけど高レベルになってくると対戦グループ………、リアルSOHコミュみたいなのを作らないとレベリングもままならないかもしれない」


「むむ………。リアルSOHコミュか………」


 SAIは端正な顔を歪めて苦虫を噛み潰したような表情で唸っていた。


 新も似たような顔だ。


 大学を卒業してフリーターになってからというもの、めっきり友人と遊ばなくなり、ぶっちゃけ現在気軽に会って遊べるような人間は一人もいなかった。


 これはSOH早々に詰んだか?


 暗澹たる気分で肩を落とす新とSAI。

 

 そんな二人の耳にその声は突然響いた。


今回は戦闘の後の様子です


SOHがレベルのあるゲームだということが判明しましたね


他にもいろいろなカスタマイズ要素などを考えてますので、皆さんもSOHがどんなゲームなのかいろいろ想像しながら読んでいただけるとより楽しめると思いますd(*^v^*)b

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一戦終えた後の緩和した空気を上手に表現している。程よい雰囲気ですね。(敗戦したハルの酷い顔面をダシにするあたり)コミカルタッチも自然と場面に溶け込んでいる。 [気になる点] ‘そんな二人の…
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