真っ白な世界にて説教をする 練習用プチ連載小説
因みにこの正六面体は最初の黒い球体よりも大きい。
何故前の原稿用紙(前回の小説)に書かなかったのか……まだまだ甘いねぇ。そんなんでちゃんとした小説なんか作れるのかよ〜?
……ウゼェ奴! がおそらくニヤニヤとしながら作者を馬鹿にしている間に、その作者の苛立ちを表したかのように黒い正六面体が再び、形を崩して動き始めた。
……あっそうだ、これは私の体ではない。ということをこのウゼェ奴! は考えた。
私はそんなこと考えてないよ! 勝手に私のありもしない考えを表すんじゃない! 何が『あっそうだ』っだ描写不足を私の考えに無理矢理ねじ込みやがって……。それで、今度はなんだ? 私の体じゃないのは今はってだけで結局のところは私の体って落ちじゃないのかよ?
細かい奴がそんなことを言って(口はまだ略)いた間にも、形を崩した正六面体は再び何かを形作った。
もう突っ込まないぞ……それでこれは、文字になってんのか? えーと何々? 【これからこの文字を通して描写していきます】ってお前! さてはめんどくさくなったな?
……そんなことはないじゃねぇよ。本当にそれでこの小説を書いていくつもりなのかよ? というかさっきからこの黒い物体というか文字? が動くたびにベチャベチャ音がするんだけど何なの? この文字スライムで出来てんの?
質問してる間に文字が完成したな。えーと、【今回はこれで一旦最後までやってみてそれからどうするか決めていくつもりだ。それとさっきの質問に答えるならば、この文字は普通の水だ。試しに飲んでみるといい……ってお前まだ口がないんだったな。】って私を煽ってんのかお前? そして長い! こんなもん速攻で止めろ。私が喋らないと何も分からなくなるだろうが。
【お前に喋る口はまだ無いのに喋るとはこれいかに。それにこの文字は一々読み上げなくてもいい、必要だと思った時にでも読み上げてくれ。そうじゃないと話が進みにくい】……一々私を煽らないと気が済まないのか? どうでもいいが文字になった瞬間、お前描写辞めやがったな……
「まぁこれからは喋らなくてもいいんだな? ってうお!? 声が……出る」
慌てて下を見てみれば……。
「自分の体がある。手がある。足がある。そして……感覚がある! なんか感動的だな! 当たり前のことだけど新鮮だ!」
「って、そういえば喋れるようになる前に文字が動いている時に音が聞こえていたな。なんだ、最初から俺の体作ってたんじゃないかまったく」
「ん? お前の一人称をはっきりしろって言われてもなぁ。儂以外に喋る奴はいないんだし、どうでもいいじゃないか」
「あぁ、私の性別が分からないから体の性別も決められないと」
えーと、自分の体は? ああ裸かよ……で下半身のモンは無くて人形みたいな感じだな。ふむ、人形か……。
一応、俺の一人称は最初から【私】だけど、気分によって変わっていくからとりあえず人形の体にしてくれるか? ……おう、すまねぇな。って、え? 【やっぱりこれだと小説を書きにくい、こんな感じで書いてもよく分からない】……ハァ、それはお前の技量が足りないだけじゃないのか? 違う? 果たしてそうかね〜……。
それで? 書きにくいからどうするんだ? 途中だけど止めてまた描写始めるのか? キリがいいから今日はこれで終わる……キリがいいのか悪いのかよく分からないが、そんな調子で文章上手くなるのかよ?
……ハァ、だんまりか。……次は五千文字超えるようにしろよ? 絶対だぞ? 【それは難しい】じゃない。
やってもないくせにすぐに無理だって言うんじゃねぇよ。十分に全力を尽くしてから無理だって言えよ。
自分の納得がいく小説を書きたいって言うならしっかり練習しろよ。
というかお前、今回のストーリーとプロット、また頭の中でやってるだろ。メモに書いとけよまったく、すぐに忘れるんだからよ。
小説を書くこと、それは、今の私には、楽しむものではないのだろう。だから、なかなかやろうという気になれない……それよりもやることがあると後回しにする。
空き時間に小説を書くことを邪魔するのはいつもゲームすること、他人様の面白いネット小説を読むこと、動画を見ること、歌、音楽を聞くこと。
大体これだ。そこまで小説を考えて書くのが嫌なのか……。
……いっそ全て出来ないようにすればいいのに……大半は全部スマホでやってるんだからゲームをアプリを全て消して、動画と音楽のアプリを消せば、小説を書く気にもなるだろう……でも、これは出来ない、今までのゲームデータが消えるのは、今までゲームをしてきた時間が完全に無駄になるからか? そもそもゲームをすること自体がそもそも無駄だけど、楽しいんからやってるんだよな。動画も、面白いから見てるんだ。音楽は落ち着くから聞いている。
……それなら小説は? ……まずは練習するよりも先に、小説を書く楽しみを見つけるべきじゃないのか?
……小説はゲームみたいにシステム化されていないし、操作も……キーボードを打つだけだ。動画のように頭ん中を空っぽにして書くことも難しい。
でも自由度が高い、高すぎて逆に困るくらい。
書きたいと思ったのは自分が読みたいと思える小説が中々見つからなかったから。それに、書きたい小説もあったから。
それに、私には発想力があるという自信があった、自分では新しいと思える小説のネタがあった。
今はもうその書きたかった小説の内容は覚えていないものが大半だ。たまに思い出した時にああこれは駄目だってなったりするけど。
……小説を書く楽しみが見つからない……小説を書きたい理由は見つかるが、書く楽しみが見つからない。
……来ない感想を貰うことを楽しみに書いて行くか……?
うーん、書く楽しみ……見つけないとなぁ。というか世の中にいる小説家の皆様は何を楽しみに小説を書いてらっしゃるんだか……お金? ……ありえそう。