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練習用短編小説集(?)&執筆者の戯言  作者: 時代
それで書けなくなったら意味がない
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家にいたら異世界へ 練習用プチ連載小説

ソファに座って考える。


 この側にあるクッションをテレビに向かって投げたらどうなるだろうと。テレビの黒い画面は割れて砕け散るだろうか? それ以上に、テレビが粉微塵になって形を失くすだろうか?


 実際にやってみたが、なんのことはない。クッションがぶつかってもテレビの黒い画面も、形もさっき全然変わらない。一方のクッションはそのテレビの近くに転がり落ちた、のだが……何故あのクッションは床の下に落ちたんだ? ああ、勘違いして欲しくないんだけど、クッションは床の上に落ちたんじゃない。床の下に落ちたんだ。


 まるで吸い込まれるかのように転がりながらスッと床に消えてった。

 その光景を見てちょっとおむすびころりんを思い出して、あの物語に出てくるおむすびもこんな感じで吸い込まれていったのかなぁ。って呑気に思ってたんだけど『そういえば、おむすびころりんに出てくるおむすびは穴に入ったんだよな? あれ? あのクッションは床の……何処に入って行ったんだ?』って考え始めて、ようやく事の重大さに気づいた。


 なんで穴も空いてないのにクッションが床に落ちたんだ? と。いや自分でも「気づくの遅いだろ!」って思うよ? でもね、いきなりクッションが床に落ちていってもそんなに現実味がないだろ? むしろ、ヘぇ〜そうなんだって思わないか? 思わないか……


 そんなこと考えながらクッションが落ちた場所に近づいた。


 にしてもどうなってるんだこの床は? 試しに手で触ってみるか……うおっ!? 手が床に入ったぞ!? え!?


 え? え? どうなってんの? 落ち着け、落ち着いてテーブルの上にある物をそこら辺に投げるんだ。この黒い棒みたいなのがいいか、ぽいっ


 さっきクッションが落ちた床とは別の床に投げた。そしたら、黒い棒が跳ね返って転がると思ってたんだ、でも何故かそのまま床に吸い込まれて消えていった。


 あ……え? なんで……って、今投げた奴ってテレビのリモコンじゃ……!


 ハッとしてテーブルの上を確認してみたが、テレビのリモコンはテーブルの上にはなかった。


……それ俺のテレビのリモコンー!


 慌ててリモコンが消えた場所に近づいた勢いで俺自身も床に消える……ような馬鹿みたいなことは流石にしない。

 代わりに腕は思いっきり突っ込んだけど、なんか水の中で手を動かすときみたいな動かしにくさがあるな。そんなことは今は気にしてられないテレビのリモコン! こっちか? ない、それじゃあこっちは? こっちにもないか……それじゃあ——




 腕を突っ込んでテレビのリモコンを探してみた結果、それっぽい感触が感じられなかった。つまり、見つからなかった。


 これはクッションも同じかな……そう思いながら、腕を引いた。……引いたんだけど、床から腕が抜けない?


 どういうことだ? 腕が全然上がらない。お、落ち着け。とりあえず、そこら辺の物を——いやそれはもういい。


 いいか? こういうのは最初から引いたらダメなんだよ。一回押してから引く、あれだ、ボタンみたいなもんだ。

……あれ、抜けない。も、もうちょっと押さないとダメだったのかな? 多分そうだ……いや絶対そうだ。




 数秒後


……やばい、やっちまった。肩から先が完全に床に取り込まれた。押してから引いても効果なかったわ。

 クソッこれはボタン式ではなく、コンセントの紐を束ねるのに便利な結束バンド式だったか……!

 ニッパー! ニッパーがあれば切れるのに……いやその場合俺の腕を切ることになるのかな?




……こんなことになるなら先にスマホを取るべきだったか。スマホを先に取ってたら、誰かに電話して助けてもらうことが出来たのに。まあ友達はほとんどいないし、迷惑はかけたくないから必然的に親に連絡することになっただろうが。


……あの時はテレビのリモコンが無くなって慌ててたから、仕方がない、仕方がないんだ……。


 でも俺はこのままずっとこの状態で何日もいるのはごめんだぞ。下手すりゃ餓死するからな。何がなんでもスマホを……スマホを取る!

 左手じゃあテーブルの脚にやっと届くくらいなのは検証済みだ。なら、テーブルの脚を俺の足で引っ掛けてこっちまで引きずってから、左手で取ればいいはず。


 ズルズルとテーブルを足で引きずってからの、左手で……届け、テーブルの上のスマホに届け。


 手の感覚に集中させて、スマホらしき物を探す。


 これか?……これだな、よし……って、これスマホのカバーかよ、紛らわしい。

……今度こそ、これだな。


 よし! 連絡取るまでは絶対離さないぞ畜生!


 スマホを自分の近くまで持ってくると、待っていたかのように今まで男の腕を取り込んでいた床が、突如として男の体を引きずり込もうと吸い込み始めた。


 んな!? このタイミングでか!? クソ! そう簡単に取り込まれてたまるかよ! 兎に角、急いで誰でもいいから連絡を——って、どんどんと吸い込む勢いが強まってないか!? やばい、連絡を取る暇も——


——ない。それが、男がこの世界で最後に考えたことだった。

か、書く気力が全然出ない。なんかもう自分は小説を書くことに向いてないんじゃないかという考えが脳を蝕む。

小説を書きたいんだけど書けない。

愚痴っても仕方ないけど、自分の根気のなさには絶望する。

ええい、自分の小説がつまらないとか辻褄あってないとかでも別にいい。とにかく書け。違和感あるとかなんとかいって直そうとしても執筆が止まるんだったらそれも意味がないんだ。

書け、書きながら直す。難しいとは思うがそうしないと書き続けることが出来ない。

書かなかったら何も残らないんだからな。失敗してもいいから書こう。その結果失敗したとしても、失敗したという結果は残るからな。

それをもとに直していこう。

ただその失敗は、大きいモノにはしない方がいいだろう。例えるなら犯罪者とか? なんか違うような気がするけど。

小さい失敗を積み重ねてこう……少し完璧主義者の傾向がある私としては失敗はしたくないと思うけど、失敗したくないなら小説を書かなければ失敗なんてしないというのはどうかと思うんだ。

これが私にとって進んでやりたくないことならそれでもいいけど……小説を書くことは私にとって進んでやりたいことなんだ。

理由は……自分でもよく分からないけれど。

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