作者は小説の書き方について考える 執筆者の戯言風の練習用短編小説
暗い部屋を、カーテンの下の僅かな隙間から太陽の光が窓越しに小さく照らす。
部屋の一方の壁には机があり、棚があった。
机の上にはそこそこ大きいパソコンが黒い画面のまま乗っている。
キーボード? そんな物シラナイし、知ってたとしても見えない。何故なら机の上に見えるのはガラクタとかゴミばっかりだからな。
棚は天井まで届きそうな高さがあった。等間隔に並んだ正方形の中には、ほとんど何も入ってはいなかった。
あるのは外に出た時、その時に興味が出て買った小説しかねぇなぁ。読んでない物も中にはあったはず、というかそれがほとんどだったかな? ネット小説の前にこれ読むべきだよな。
窓の正面には木のドアがあった。横に引いて開けるのではなく、押したり引いたりして開けるドアだ。
何の変哲のないただのドアだ。それ以上でもそれ以下でもない。
……それにしてもここにドアを付ける意味が分からない、ドアなんてなくても別にいいだろ。どうせ一人暮らしなんだから、トイレとか風呂とか、あと……あれとか、あれとかあれとかしかないんだから必要ないよな? 実際どうなんだろ?
そしてもう一方の壁には、ほぼ金属で出来たベッドがあった。冷たい印象を受けるそれの上で、一人の男、作者が頬杖をついて寝転がっていた。
どうでもいいけどベッドが金属で出来てるって字だけで見ると、なんか長方形で平べったい上に硬くて冷たい物を想像するんだよなぁ。
何の影響を受けてそんなイメージができたんだったか……多分映画かなんか見たんだったか? 平べったい金属のベッド。
他の人ってどんな物をイメージするんだか、やっぱり下が金網みたいな感じになってるベッドを想像するのか? 俺が今寝転がっているベッドみたいな感じの奴、まあ金網の上に布団敷かなかったらただただ痛いだけだけどな。
そうぼんやりと目を瞑って考えた後、目を開けて正面を見た。
パソコン……小説書かないとなぁ。とか思いながらここ二週間、全然書く気が起きなかったんだよな。やる気は勝手に出る物じゃなくて自分で出すもの! 何だろうけど……ついゲームに手が出る、つい動画を見てしまう、ついネット小説を読んでしまう。
「これじゃあ進むもんも進まんわ」
作者はそう言って体を起こしてベッドの縁に足をぶら下げて座った。
「とりあえず、ここ三週間の間にちょくちょく小説の書き方に関する情報をネットで調べて、やっと人称をどうするかは決めることが出来たな……いささか遅すぎるがなぁ」
今までは一人称の方が感情移入しやすいから読みやすいと思って書いていた。しかし、俺は風景描写とか行動描写とかを細かく書きたくなるみたいで、一人称でも何とか描写していたが、それで違和感のある文章になっていた。(まあこれだけが原因じゃないだろうけどなぁ)
そこで、一人称と三人称を使い分けて書いていこうかと思ったここ……三日間? 一週間? くらい、まあそんなことはどうだっていい、重要なことじゃあない。
それでまあ今回、早速試してる訳ですが……読みやすいかなぁ……。
いやこんなこと書いてる時点で読みにくいか。とりあえず物語進めていこうか。
作者はそう思うとすぐにベッドから立ち上がり、机の前に移動してパソコンの電源を入れた後、描写し忘れられていた椅子を引いて座った。
作者がパソコンの画面を見ると、丁度今黒から青に変化した瞬間だった。
まだ少し時間がかかりそうだな。それまでまた考え事でも……いや、それよりもまずキーボードをこのガラクタとゴミの山から発掘しないとな。
時代はそう思うと、やる気なさげに手をガラクタの上に乗せた。その後、ため息をついた。
「さっさと片付けよう」
まずこれは要らない、はっきり言ってゴミだ。だからゴミ箱にポーイっと、これは……まだ使えるだろ多分、だからこれは棚に入れとこ。大体ゴミか使えそうなものかな? それじゃあゴミ箱に入れるものと棚に入れるものとで分けて下に置いとくか。もうパソコンが完全に起動したみたいだし。
***
これでいいかな? よし! キーボード発見、早速小説を書いていくかぁ。
とりあえず何から書いていくか、ってそれは三週間前に書いた奴に決まってるわ! 何考えたんだ俺は……寝ぼけてんのか? いや、眠いのか。
それはいいとして、この書き掛けの奴……始めから書き直すか。流石にこれ全部消して一からっていうのはキツイからこの書き掛けの奴を元に書いていこう。全部で三話分か……少ない。
前の時、まだ練習用短編小説集を書いていた時は毎日一話は書いてたってのに、随分と書くスピードが遅いもんだ。
メールアドレスとパスワードを入力してっと……適当に書いてたのと丁寧に、というか書き終わるたびに 編集していた差かな。まああの……何だったっけ? 自分の中で思ってた呼び方……冒険に出られない暗殺者だったっけ? 忘れたなもう。あと、これだな。確か練習してない練習用短編小説集って呼んでたか。
しかも一月前に三話の連載小説になってたから短編小説集でもなくなったな。
……練習、具体的に何すればいいのかわからん。
更新すれば誰かが自分の小説に助言してくれるもんだと思ってたんだっけか。まあ結局そんなことは誰もしてくれなかったがな。
作者はそう思うとパソコンから一旦目を離し、椅子に持たれた。
別にそのことで怒ったりなんかはしないよ。なにせ俺はこの小説の中で「誰か小説の書き方を教えてください!」なーんて一言も言ってないんだしな。
でも、今思えばなくて良かったかな。人に変に流されずに済んで、というのは建前で……他人と話すのは億劫というか……人が怖いんだよなぁ。ネットの書き込みなんかを見てみたらキツイ暴言とか悪口が書かれてたりするからな。
メンタルの弱い俺がそんなこと書かれたら耐えられないだろうなぁ。多分キツイ口調で「こうすればいいやろ!」って言われたら、怖くなってその言葉に従う……もしくは無視してしまうかな。
そう考えながら、体を起こしてキーボードを弾いて適当に小説を執筆していった。
まあ丁寧に教えてくれたりする人も中にはいるんだろうけど、ここ三週間の間に小説の書き方は人それぞれっていうのを見て、自分で書き方を模索していくべきものだと思ったから、むしろあったらそれに流されてしまっていたと思うんだよな。
(まあ、これは俺自身がそう思うだけであって、実際にはそうではないかもしれないけどね〜。少なくとも自分はそう思った!)
まあ人間なんだから、自分自身に合う小説の書き方を他の誰かさんは知ってると思うんだ。(教え方は知らない人が多いと思うけど)でもその誰かさんを俺は知らない、もし知っていたとしても、その書き方が自分自身に本当に合うのかはその時には分からないかもしれない。
他にも、自分に合う小説の書き方ではなく、自分が尊敬する有名な小説家に書き方を教えてもらったり(実際には教えて貰えないだろうから、その人の小説を読んでその書き方を真似したりすることになるだろうけど……)しても、それはその有名な小説家の模倣みたいな作品になると思う。(誰でも自分の意思を持っているはずだからそうなることは少ないかもしれないが)それを自分の小説だとは言いづらいと思うんだよな。
だから、自分で自分に合う書き方を模索して、見つけてこそ自分の小説だと胸を張って言うことが出来ると思う。
以上! 自己正当化のための話は終わり!
途中で自分でも何を言いたいのか分からなくなりかけた……相変わらず支離滅裂な内容だ……。
所々で自分の考えを論破する考えが湧いてきたからな……。
そう思いながら、キリのいいところで適当に執筆していた小説を書き終えた。
その後、自分が書いた小説をボーッと見た。
……もうイヤだ〜。
俺は机に載ったキーボードを横にどかして、そこに自分の頭を勢い良く下ろした。
痛覚を感じながら俺は目を瞑って考えた。
ダメだ、全然小説を書くペースが上がらない。三週間書いてなかった報いか? はあ……他の人はどうなんだろ。やっぱり小説を書くのが楽しくて、俺とは比べ物にならないくらいの凄いペースで書き上げていってるのかな……。
こういう時は上ばかり見てもやる気は起きない。だから下を見るべきだ。自分よりも執筆速度が遅いペースの人を……! といっても、俺の場合はやる気は起きないな……やっぱり。なんでやる気が起きないのかは考えるのがめんどくさいから考えない。
……やる気が削がれるのは主にどう描写するかに悩むこと、そして自分の使う言葉が自分が思った通りの意味を持つのかを調べるのに時間をかけること……この二つか? いや、書き終わった後に読み返してみた時に違和感のある小説になっていると思った時に、一気にやる気が削がれる。その後、無表情に違和感のない小説になるように、要所要所を直していく……が、しかしそれをまた読み返した時にまた違和感を感じる……! それを繰り返し繰り返して、やっと連載小説の三話まで来た所で、遂に心が折れて執筆を放棄し娯楽(ゲーム、読書、動画鑑賞)に逃げた。
だから、小説を書くよりも先にどうすれば俺は俺自身が違和感がないと思える小説がかけるのか考えることにしよう……。
まあ、時間が物凄く掛かりそうです。実際これを書くのに三日? くらい掛かりましたから、それだけ小説を書くのに嫌気が刺したんだろうなぁ(他人事)
発想は良い、良いと思うんだよ……! ただ文章の才には恵まれなかった……。俺がそう思ってるだけだと思われるだろうけど……。読者には文章がダメなんだから発想もダメだろって思われるだろうなぁ( ´Д`)〜○(←魂が抜けてる様子)
というかこんなことよりもさっさと小説を書かないと……な。また二日、三日、一週間後に投稿することになるかもしれません。小説を書くぞー! という気になれない……畜生、違和感なくスムーズに小説を書いてる人が羨ましい……初めて小説書くっていう人が違和感のない文章を書いてるとかおかしい……これも才能って奴なのか……。
ま、腐ってても仕方がない。俺の場合はちまちまやっていかないとダメみたいなんだからな……。