タマネギを刻む君
檸檬 絵郎様のミニ企画に参加させていただいた作品です。
お題「以下の絵から着想したショートストーリーまたは詩(ただし、本文中に
『愛してる』という語を必ず入れること)」
言い過ぎた
君を疑うつもりなんか
これっぽっちもなかったのに
知らない男と楽しそうに
歩く君を見かけてしまったから
ついヤキモチを焼いて
言い過ぎた
弟だって
僕は顔を知らないし
紹介もまだだったから
君は台所にかけて行って
黙々とタマネギを刻んでる
心から想っているのに
君を悲しませるなんて
言い過ぎた
今の僕には後悔しかない
涙を必死でこらえている君を
背中から抱きしめて
そっと耳元で呟いた
ずっと言えなかった言葉を
愛してる
タマネギを刻む君。どうして泣いているのか……。
気づかないって幸せ?
お読み下さりありがとうございました。