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1話 初めての魔物との戦い

 城下町を出ると広大な草原フィールドが広がっていた。北には山、南には海、東には生い茂った森が、西には地平線が見えた。心地よい風がすっと吹く。


「この大自然、気持ちいいね~」


「良い景色だ。」


だが兵士や結界師に守られている人間の街と違い、フィールドには魔物も多く出現するのだ。・・・人間を脅かすと伝えられてきた魔物が・・・。


「この平和な景色を守るためにも頑張らないとな!まずは修行といくか!」


レベリングという画期的な魔法で自分の強さがわかるようになっている。俺のレベルは10、妹エリリンのレベルは9だ。一般成人は大体レベル2~3だから俺達はかなり強いのだ。だが魔王のレベルはもっと高いという話だ。ゆえにまだまだ太刀打ちできない。だから修行をつむ必要があるのだ。


「よし!とりあえずここいらで(弱そうなレベル5以下の)魔物を狩ろう。これでより平和になるぞ!」


「うん、そうだね。まずは地道にコツコツと、だね~」


冒険者ガイドラインでもこの周辺の魔物はレベル5以下の雑魚ばかりと書いてあったので、俺が死ぬ心配は全く無いので大丈夫だろう。他人の家のタンスに入ってあった青銅の剣を装備し、魔物を迎え撃つ準備をした。



「俺の名は勇者エスウィンだ!さぁ、どこからでもかかってくるがいい、(レベル5以下の雑魚)モンスターども!俺達はこの世界の平和を守るため、貴様ら(レベル5以下の雑魚)モンスターからは逃げも隠れもしない!」


「お兄ちゃん、()のせいで台詞が台無しになってるよ・・・あっ!来た!?」


青銅の剣を構えていると、どこからかともなく緋色のローブを着た魔物が現れた。


「うわぁ、まるでミイラみたい。怖い仮面・・・。」


「ああ、だが怯んではいけないぞ、エリリン!」


そのローブの中に人間のような顔はなく、ミイラのような禍々しい仮面が着けられていた。恐らく呪怨の木から作られた仮面だろう・・・。禍々しい仮面にローブを纏った魔物・・・噂で聞いたことはある、恐らくメイジの類だろう。ふっ、だが心配は要らない。この周辺で現れるメイジならレベル4だ。しかも俺達は2人!まず勝てるだろう。


「さぁ!正々堂々の勝負だ!」


こちらに気づいたメイジも杖を取り出し構えた。ふふ、大丈夫だ。メイジは強力な魔力を持つが、物理攻撃と物理防御はザルだ(と魔物大図鑑に書いてあった)。奴の繰り出す魔法にさえ気をつければ、俺は楽に勝てる!・・・今だっ!

メイジの一瞬の隙を俺は見逃さなかった。メイジのふところに飛び込んだ俺は全力で剣を振りぬいた。そう、メイジの胴は真っ二つになり経験値アップ!伝説の1ページはここから始まる・・・


「あれ?いてーっ!!!!!」


「お兄ちゃん!?大丈夫!!!」


メイジのローブごと切り裂いたはずだった。だがローブは傷一つ無く、メイジはピンピンしていた。俺の渾身の一撃が一切通じなかったのだ。しかも普通メイジの反撃は魔法でくるはずなのだが、なんと杖で反撃してきたのだ。たった一撃、それも脇腹に掠っただけで、俺は地べたに這いつくばった。くっ、大ダメージだ、もう立てない。・・・なぜだ、普通冒険始めのモンスターは雑魚と相場が決まっているはずじゃないか。なんでこんなに強いんだ。こんな不条理があっていいのだろうか!?


エリリンは攻撃魔法を使えないし、俺よりも攻撃力が低い。その上も物理防御も俺より下だ。だから魔物の攻撃から避ける・・・いや逃げるだけで精一杯だ。もう息を切らしている。ヤバイ!



俺達に残された選択肢は5つ

①頑張って倒す→駄目だ、俺の全力の攻撃が一切通じなかった時点でどうやっても勝てるわけがない!

②頑張って逃げる→そもそも痛くて立つこともままならないので、2人揃って逃げるなんてできない!というかこのままでは2人とも殺される!

③エリリンに回復してもらって逃げる→エリリンも攻撃を避けるのに精一杯、俺を回復している暇はない。しかも回復してもまた攻撃されて終わりだ!

④周囲に助けを求める→周囲を見渡したが誰もいない!ヤバイ!

⑤大人しく死ぬ→何の功績も挙げられない上、山賊扱いされて死ぬなんて絶対に嫌だ!!!死んだら全て終わりなんだぞ!?


満身創痍とはこのことだ、万事休す!俺達はここで死ぬしかないのか、俺達は。いや、考えろ・・・この状況を切り抜ける最善の策を考えるんだ・・・。はっ!そうだ!こうすれば良かったんだ!やっと策を思いついた!一か八かの賭けだがやるしかない!


「ちょっと待ったー!!!」


俺の大声に気づいたメイジはこちらに近づいてきた。


「お兄ちゃん、もしかして囮になるつもりなの?ダメ!わたしお兄ちゃんを見捨ててなんて行けないよっ!」


ありがとう、エリリン心配してくれて。だが俺は死ぬ気等更々ない。精一杯力を振り絞って起き上がった。


そして俺は・・・



 仲間になりたそうな目でメイジを見つめた



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