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仲間集め

 さあ、まずは酒場だ。ここで魔王退治という同じ志を持つ仲間を集めに行こう。

俺はワクワクしながら酒場の扉を開けた。


やはりかなり広い。1000人くらいはいる。そしてみんな冒険の仲間を探しているようだ。レオ、スタンリッド、ショウジの3人は特に人気で、多くの人々にもみくちゃにされていた。


よし!俺もとりあえず、マスターに話しかけよう。ふふふ、素晴らしい仲間を見つけてやるぞ!



「おおアンタ新入りの冒険者かい?」


「いや、俺は勇者だ。名はエスウィン、マスター覚えておいてくれ」


「ははっ、こりゃ面白いな。じゃあ勇者様ぜひここで仲間を探してくれ!

 ここには戦士、武闘家、魔法使い、僧侶、商人、魔物使い、豊富な人材がそこいらにいるぜ!」


ふっ、俺にとって職業など些細なものだ。大事なのは何者にも負けない「己」を持つことだ・・・



「マスター、体重55kg以下、Dカップ以上、25歳以下の女の子をできるだけ紹介してくれ。職業は何でもいい」


「は?」


ふふっ、酒場のマスターのヒゲもひくついてる。俺の確固たる信念にあっけにとられているな。


「おい、自称勇者様。その正直な考えは嫌いじゃねーが。周りを見てみろ・・・アンタやべーぞ」


マスターに言われて周囲を見回してみる。妙だな・・・俺に冷たい視線が向けられている。特にそれも女性から。いったいどういうことだろう。



「何アイツきっもーい!」「ここは出会い系喫茶じゃねーんだぞ!消えろー!」


「不謹慎!」「女の敵!!!」


酒場にいた冒険者達からは俺に対する非難の言葉が向けられていた。


「なっ、なぜ俺が罵詈雑言を受けているんだ!?俺はただ、いてっ、誰だ卵を投げたのは!?」


「ここは君のような軟派な男が来るようなところではない」


「なんだとっ!?」


「僕の名はカインド、僕こそが真の勇者だ!我が家に代々から伝わるこの『魔法返しの盾』でこの世界を魔王から救ってみせる!」



やけにピカピカで煌びやかな盾をかざしながら、カインドはドヤ顔で言ってのけた。わざわざ皆の前でご自慢の盾をかざしてる時点で相当キザな男だ。ああいうタイプは嫌いだな。だが・・・。


「きゃーっ素敵!!!」「ゴロツキから私たちを守ってー!!!」



なんだなんだ、酒場の女共が群がっていってるぞ。カインドとかいったな、・・・そう言ってる間にカインドは体重55kg以下、Dカップ以上、25歳以下の女性を次々と仲間にしていった。ふっ、世の中とは皮肉なものだ・・・。



「山賊を追い出すカインド様ホントかっこいい!」「山賊帰れー!」


なんかいつの間にか俺は山賊扱いされいた。そして、その山賊を追い返したカインドは英雄扱いされている。かたや勇者カインドコール、かたや山賊帰れコールが酒場から巻き起こっていた。・・・カインドに勝てる自信はあったが、勝っても総スカンくらいそうだったので、とりあえず酒場を出て行った。


・・・気を取り直そう。逆に考えるんだ。同じ場所で同じタイミングで仲間になる奴らなど全く以ってドラマチックでない。まるでモブキャラが仲間になるみたいだ。そう、もっと運命的な出会いをして1人1人仲間にした方がよっぽどドラマチックだ。うん、その方が導かれし者たちって感じがする。

・・・とりあえず次の町の酒場では本音、いや雑念を持ち込むのは止そう。




酒場を出てしばらく目的の場所へ歩いた。すると、黒髪の少女がよたよたと俺に近づき話しかけてきた。


「こっちこっち~、待ってたよ~」


「ああ、待たせて悪かったな」


「やっぱり1人だと心細かったよ~。けど、わたしも待ってる時間にいっぱい買い物できたし許してあげるよ。はい、これあげるね。」


そう言って黒髪の少女は笑顔で俺にアイスクリームを手渡してくれた。この少女の名はエリリン、癒しの魔法を使う僧侶だ。その上優しくて料理も上手い。嫁にするならこんな少女がいいだろう。しかし、嫁ではない、だってエリリンは俺の妹なのだから。そして俺のたった一人の肉親なのだ・・・。


「ねえねえ、お兄ちゃん、アイス美味しい?」


「ああ、ありがとう。素材を使って練成してくれたんだろう?相変わらず料理が上手だな。ホントに美味しいよ」


「えへへー褒めても何も出ないよ~。けどありがと~。

・・・ところでどうだった?王様と話せた?仲間見つかった?」


「ああ、王様への挨拶は済ました!緊張したけど精一杯自分の意気込みは伝えることが出来たぞ。それに貰った支援金で毒消草を買っておいた」


「へー、凄い!それで、仲間は見つかった?」


「その後、お城に集まった冒険者500人で誓いの儀をかわしたなあ・・・。その中には勇者の末裔レオやスタンリッドもいたぞ!」


「へー、有名人と肩を並べたんだ~!凄い!で、仲間は見つかった?」


「・・・得たものはなにもなかった」


「わたしたち、剣術や魔術よりもコミュ力を高めるトレーニングした方がいいのかな・・・?」


「・・・かもしれないな」


そうして、俺は妹エリリンと共にスタット王国を2人で旅立った。

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