ランキング2位御礼小話
日間2位!?再びびるちかーむです。
よんでくださってありがとう!な御礼小話。
できるだけマメに御礼小話が書けたらいいなとは思ってます。
読んでくださっている皆様への感謝のきもちをこめて!
時系列は本編の少し先、本編ではさらっと流される職場の話です。このあたりちゃんと書きたいのですが…書いてたら「竜のしにかけつがい」おわらないよね?ってことで。
まずは毛を刈るところまで。
そうしたら、もう少し番外編で書こうと思ってます。
では、皆様の大切なお時間をいただけることに感謝して…
狐はルールルルルと呼ぶと来る。
確か、そうだった気がする。
みた限りほぼ狐のイキシュさん。
赤みの強い狐だ。
頭の上の大きな耳。耳の中の白いふわふわの毛、そして狐そのものなフォルムのあのしっぽ!!
じゃあ、イキシュさんをルールルルルって呼んだらどうなる?
気になる。
厨房から食堂を見渡せるカウンターごしにもぐもぐと今日の晩御飯を食べてるイキシュさんを見ながら思う。
ちいさい声でよんだらこっちみるかな?
大きい声だと何もなかったとき変な人にだし?
うん、よし。
「ル…うっ!?」
ルールルルルって言おうとしたら頭をガッと掴まれた。
「なんだ?自分の番に見とれてんのか?」
頭を掴んだその手の先には仕事仲間の狸のチーニ。金髪なのに頭には狸の耳。金髪なのに茶色い耳。そしてたれ目!猛烈たれ目。
「いや、そういうわけでは…」
「かーっ!ガキが色気付いてるんじゃねぇよ!」
チーニはそういって私の頬をひっぱった。
「かひひゃないひ!」
「なにいってるかわかんねーよ。」
なかなかに酷い扱いだ。最初からこいつは私の扱いが酷い。
「もー!やめてチーニ!」
ヒリヒリする頬をさする。イキシュさんがいた席を見たらもうそこには誰もいなかった。
「あーあ、いっちゃったじゃないですか。」
せっかくの機会だったのに…
「ん?なんか頼み事でもあったのか?…じゃぁさ、なんなら俺が代わりに…」
がっかりする私にチーニが何かいいかけたとき
「ご馳走さまユア。」
目の前に居なくなっていた赤い狐獣人が現れた。
「あ、イキシュさん」
イキシュさんはニコニコと笑って食べ終わったトレイを渡してくれた。
「私に、何か用が?」
首をかしげて聞いてくる。耳がピコッと動いてこっちを向いた。
「いえ、そうじゃなくて…うーん…」
こっそりはダメだったけれど、せっかくなのでそのまま聞いてみることにした。
「ルールルルル…って聞いたらどう思います?」
するとイキシュさんの尻尾がボンッって感じで膨らんだ。おお…膨らむんだこの尻尾…顔を見たら頬を赤くして。口許を押さえて横を向いていた。
「…いえ、…そ、そうですね…ゴホッ。」
「あれ?風邪ですか?」
風邪に効くものってなんだろ?って横にいチーニに聞こうとしたら…今度は狸が消えて…いると思ったら下にしゃがんでた。肩が震えてる。笑ってるのか?
目の前のイキシュさんもちょっと目が泳いでる。
「昔、狐はそう呼ぶと来るって聞いたんですけど…違うんですね。」
残念、そうだよね、狐はコンコンだもんね。
「だ、誰にきいたんですか!全然違いますよ!!」
「とんでもねぇガセだなおい!」
狸も立ち上がった。
顔が赤い。風邪が流行ってるの?
「いいですか、その声は誰かを呼ぶものではないですからね。もうこんな所でつかってはいけませんよ。」
めっ!って感じで怒られた。
どうやら使用法が違うらしい。
「そうですね、ルールルって言わなくてもイキシュさん来てくれましたしね。」
あのドラマみたいにはいかなかったけど、まあ、いいや。「おーい!ユア!!」厨房の奥で頭に白いものが混じった熊の料理長が呼んでる!いかなきゃ。
「じゃあ、二人とも風邪お大事に!!」
そういって私は厨房の奥に戻った。
「狸、番のいる雌に手を出すのは紳士的ではないね 」
私は年下の狸に釘をさす。この歳の獣人はまだ情動に突き動かされやすい。
「出してねぇよエロ狐。何て声出させてんだ。」
目のはしが赤い。番のあんな声をこいつに聞かせたのは業腹だが…仕方がない。
「ユアは人族だ。我々の常識に疎いのは仕方がない。」
体の奥であおられた熱がくすぶる。その熱を狐火に変えて尾にともらせる。
「あの子に手を出したら消し炭にするからな。」
そういって食堂を後にした。狸の情けない顔など見る気はなかった。
「俺だってあいつを好きだよ。」
そう呟いた言葉は誰にも届かない。
ただの狸が敵うわけがない火狐になんて。
言えるわけがない隊長の番に好きだなんて。けれど…
耳に残るあの子の声。
恋しい獣を呼ぶその声の先に自分がいればいいと思わずにはいられない。
狐といえばルールルルル
多分平成生まれじゃない人には伝わるよね!
ちかーむの年齢がバレるよ。
さて、
狐は色々な鳴き声で会話をするそうです。
残念ながら求愛の声はルールルルルじゃないのですが…
もし「ルールルルル」が求愛の声で
狐が聴こえてくる「ルールルルル」に振りかえってみたら…
ただの汚いおっさん!!
ってことだったら…
さぞかしその狐は振り返ったことを悔やむだろうな。
って思ったので書いてみました。