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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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俺の死をきっかけに誰かの人生が狂いますように

作者: 白樺土竜

友達に触発されて短編を書いてみました

 この世界の大半の人間が、そいつ一人いなくなっても世界に影響を及ぼさない。しかし、そいつを取り巻く人間関係には影響を及ぼすだろう。


 俺はずっと他人に干渉せずに生きてきた。いてもいなくても同じ。空気よりも必要価値がない。ただそこに存在しているだけの人間。物質。それが俺だ。

 人一人いなくなってもこの世界は回っていく。所詮人間はちりなのだ。俺はその中でも別格……といったら聞こえはいいがただの可哀想な奴だ。数学的に言えば「独立」か?

 さて、そんな俺にも、いやそんな俺だからこそ唯一の願いがある。それは誰かに影響を与えることだ。言い換えれば俺の生きた証を残すこととでもいうのかな。俺は今から自殺する。理由は特にない。強いて言うならば生きる理由が見つからなくなったからか?

 あぁ、願わくば、俺の死をきっかけに誰かの人生が狂いますように。


 普通の人は誰かを愛したり誰かに愛されたりするものだと思う。でも私は違う。三親等以内の人はどういう神様のいたずらか全員いない。お母さんもお父さんもおじいちゃんもおばあちゃんもみんなみーんないない。だから今は遠い遠い親戚にお世話になっている。

 ドラマなんかだとその人達、親代わりの人達に親切にされたりするんだけど私は違った。ここまできたら神様を恨むどころか、一周回って仲良くなっちゃいそうだよ。

 私の願いはただ一つ。誰かに愛されたり愛されたい。だけど今のところ、誰かに愛されたことはない。そもそも誰かに愛されるなんて、みんな普通にやってるけど結構凄いことなんだよ。

 私は決めた。愛されるのは難しいから誰かを愛そうって。そうだな、愛すなら、いっそ燃えるように熱く、その人が死んだら一緒に死ぬ位愛したいな。

 というわけで、私はこの学校で愛する人を決めた。暫くクラスを眺めているとある男の子を見つけた。

 いかにも暗そうな男の子。誰にも話しかけられず、視られず相手にされない。そんな男の子。私に似てる男の子。

 これが私の運命の出会いだった。あぁきっと探さなくてもきっと見つけただろうな。

 それから暫くして、その男の子は死んだ。遺書とかは無かったらしい。誰もその子が死んでも気に留めない。まるで最初からいなかったかのように。

 私は泣いた。悲しんだ。それと同時に、その男の子のことがどれだけ好きだったのか分かった。

 あぁ、私はちゃんと誰かを愛せたんだ。

 死のうと思った。その子の後を追って。

「あーあ、あなたがいなければ、私は死なずに済んだのにな。あなたに私の人生狂わされちゃったな」

 私は笑いながらそう言って、屋上から飛び降りた。

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